鎌倉新ごみ焼却炉基本計画にパブコメ出した

 (6月22日が締切。閉庁時間の一時間前になって気づき、急いで書いたパブコメです。一部説明が必要ですが、ま、いいだろ~ということで。参考に海外文献の翻訳をつけました。)

  鎌倉市のゴミ行政には本当に腹立ちを覚える。ストックホルム条約は水銀条約など、大気汚染の規制を求める国際条約があいついで発効しているのに、いまだに焼却炉でごみを処理するというのは現状把握ができていない。燃やさない代替案を考えるべきだ。

  環境省と業界の共謀によって、焼却炉の危険性は完全に隠蔽されている。焼却炉は雑多な物質を高音と酸化作用で破壊・微小化する化学反応釜であり、化学反応の過程で無数の有害物質が誕生していることはよく知られている。ダイオキシンはそのごく一例にすぎず、今や問題はVOCsやナノレベルの有害重金属、ナノPMに移っている。
 
 その危険性は、焼却炉がPRTR法の対象施設であること、同法規定の第一種指定化学物質のほとんどが焼却炉から排出されている
 (ダイオキシン類有害重金属類酸性ガス類PM2.5揮発性有機化合物(VOCs)温室効果ガス(CO2など)ことからも明らかだ。

 これらの有害物質により、焼却炉付近の住民の間で、慢性気管支炎、呼吸困難、胸痛、肺機能低下、肺がん低体重児、新生児死亡、奇形、死産心筋梗塞、リューマチ、糖尿病、甲状腺機能不全アトピー、アレルギー、うつ病などが有意に高いことは、さまざまな論文で裏付けられている。
 
 また、焼却処理の副産物である灰(特に飛灰)は、毒物の塊で、特別管理産廃とされている。鎌倉市はこれを、市外で処理しているが、フクイチ事故の影響で灰の線量が高まっており、いつ市外での処理が中止されるかわからない。ごみを焼却しなければ、灰処理の懸念はない。

 新焼却炉は、山崎にもどこにも要らない。谷戸の多い鎌倉市は、これ以上ごみを焼却処理すべきではなく、市民の協力を得て、全戸コンポスト配布など、「燃やさないごみ処理」に取り組むべきだ。
以下、参考として、海外論文
から結論部分を引いておく。

  1. 焼却によってごみがなくなるわけではない。それは物質を他の形態(ガス、微粒子、灰)に変えるに過ぎず、それはもとの形に比べ、より有害で、より見えにくいものとなる。

  2. 大規模な疫学調査によって、焼却炉付近では成人と小児のがん、先天性障害の発生率が高いことが示されている。

  3. 最近の研究によって、微粒子、特に焼却排ガスに含まれるPM2.5は、
    心臓病、肺がん、その他の病気に寄与し、死亡率の線形増加を招くことがわかった。また、短期的、長期的な焼却排ガス暴露による死亡率などは以前考えられて
    いたより影響が大きいことが明らかにされている。焼却炉から出る微粒子は、それに結合している毒物によってさらに危険性を高める。


  4. 金属と各種の有機化合物は、発ガン物質、環境ホルモン、性変換に関連する物質として知られており、行動の変化、免疫システムへの障害、知能低下を招く。こ
    れらの物質には閾値(訳者注:ここまでなら安全という数値)はない。これらの物質は発生源から何百マイルも離れた場所でも発見される。

  5. 放射性物質を焼却すると無数の放射性微粒子が生まれ、人体に入り込むと体内からアルファ線やベータ線を照射し、内部被爆の元となる。このタイプの(人工)放射性物質は、自然界のそれと比べ、質的に全く異なるもので、はるかに危険性が高く、はるかに悪質である。放射性廃棄物を扱うのに、焼却を用いることを正当化することなどできない。



  1. 現代の焼却炉から出る飛灰は、過去の焼却炉のそれよりはるかに毒性が強く、安全に処分することなどできないほどのダイオキシンを多く含んでいる。焼却灰の埋め立ては、長きにわたって水系の安全性を脅かし、場合によってはその地域全体が避難するようなことも起きかねない。

  2. 焼却炉がきちんとした基準の下で操業されていない場合に起きる地域住民のリスクは考慮されていない。特に焼却炉の立ち上げ、立ち下げの際の二日間は、基準を守って焼却炉を6ヶ月以上運転した場合よりも大量のダイオキシンが排出される。


  3. 却排出物による長期的影響について、もっとも懸念されるのは胎児と幼児であり、性差の変化は現実的に起き得ることで、さらに次世代に引き継がれる。毒物に
    対する胎児の脆弱性は資料によって裏付けられており、ガンや自然流産、先天性障害あるいは一生続く認知能力の障害がおこる。最近行われた二つの、胎児の
    臍帯血の研究により、有害物質による生体への負荷の大きさが確認されており、非常に懸念される。


  4. 康被害を考慮した場合、ごみの焼却はとてつもない費用がかかる処理法だ。政府の研究を含む数多くの調査から、一基の巨大な焼却炉は、納税者に年間数百万ポ
    ンドの健康のコストになっていることがわかっている。つまり、政府のデータそのものが、焼却炉は大きな健康被害をもたらしていることを証明しているのだ。

  5. EUの、EU ヨーロッパ排出権取引スキームに、予測どおり廃棄物業界が参入したことによって、焼却炉がある地域の納税者は、の予測された参入によって、汚染された場所で済まなければならないだけでなく、上記システムの下でそのコストも負担しなければならない。


  6. み焼却は社会のなかで最大の弱者である胎児、幼児、貧困世帯、化学物質過敏症の人々に最大の影響を与える不公正である。それは国連人権委員会(基本的人
    権)、欧州人権条約の生命の権利、ストックホルム条約に抵触し、また、政府に、人の健康を害する有害物質の排出防止を義務付けたイギリスの
    1990
    年環境保護法に違反する。

    提言:我々は、これ以上の焼却炉建設は認可されるべきではないと提言する。

2 焼却炉の周辺住民にはがん死のリスクが高い

スペインの研究者チームが「インターナショナル・エンバイロンメント」に発表した論文、「都市の焼却炉と有害廃棄物のリサイクル・処理施設近隣のがんによる死亡率」から。http://news.newclear.server279.com/wp-content/uploads/2012/11/1-s2-0-S0160412012002279-mainIncindeaths.pdf
「結論として、男性も女性も、同じように、焼却炉や有害廃棄物の処理施設の近くに住む人々は、あらゆるガンで死ぬリスクが、統計的に相当高くなる、という仮定を支持するものとなった・・・」

 行政は環境犯罪を平気で犯す組織になっています。日本の「焼却病」がどれほど異常か、多くの人に気づいて欲しい。2015.6.23

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/