逃亡!黒岩知事の卑怯

 さて、8月3日午後2時半、わずか4日間で集めた「魚網入れるな」署名300余筆をもって、各地の反がれきメンバーと知事室へ向かいました。ところが知事室への通路には、立ち入り禁止のロープが張られている! エレベーターの前も、階段をあがったところも! 要するに、知事室にいたる通路はすべて通行止め! 見たことありませんねえ、こういう光景。
 で、立ち入り禁止を無視して知事室の前に行きましたが、知事はすでに記者会見室に出かけたと聞き、あわてて後を追いました。しかし、知事はすでに記者会見室に入った後、仕方なく、外で待つことにしました。駆けつけた市民は最大で30人ほどだったでしょうか。おとなしく待つつもりだったけど、担当課が「私が代わりに署名を受け取ります」などとうるさく、つい押し問答しているうちに、記者会見室のドアが開きましたい。会見が始まって20分もたってない。
 ン? 黒岩は? え、いない? 見ると、背の低い彼は、何人かの職員に取り囲まれるようにして、別のドアから逃亡中。すぐ、後を追いました。ところが彼はふっと向きを変え、スチール製の壁に仕掛けられていたドアを押し開き(お付きが)、そこへささっと逃げこんでしまったのです! その間、わずか1,2分。あっというまの出来事。県庁に秘密のドアがあったなんて、初めて知った。
 卑怯者!その筋の人間から逃げるならまだしも、市民に背をむけるとは!
 その後、秘書課の前で、知事の帰りを待とうと思いましたが、この頃になると、庁舎管理のおっさんたちや、担当課の職員がぞろぞろ出てきて、秘書室のドアを守ります。……神奈川県庁で、こういう状況は経験したことがない。がれき問題は、原発より重要なのだ、ということを思い知らされる一幕でした。それどころではなく、市民の「県民には意見を言う権利があるでしょ?」という言葉に、担当課の玉木は「さあ…」 県民に意見を述べる権利は「ない」と言っているのです。
 こういう人間に、みなが必死になって集めてくれた署名を渡すわけにはゆきません。そこで、あくまでも、秘書課の、室長、課長、あるいは副知事に手渡そうとしました。取次ぎもしないので(秘書室のドアは固くしめられ、ガードマンが3人張り付いていて、近づけない)、次の予定を取ろうとしましたが、が、間抜け顔の明氏はにたにた笑いながら、頭を下げるだけ。気持ちが悪いし、顔を見たくもないタイプ。こういう人間が秘書とは神奈川県も落ちたもの。
 その後、怒りの記者会見の後、場所を用意してもらって担当課と話をしましたが、彼らによると、当事者は「芦名のボス」だけ。そのボスたちが2月に「撤回要請」した時には、黒岩はニコニコわらってその書面を受け取ったのに、同じような要請を持参した私たちには会わないというのは、筋が通りません。芦名の地元ボスと水面下交渉をしているのは、この対応の違いからもわかります。彼らは2月の時点で、「次」があることを約束していたのでした。それどころか、現地ではもう不燃物を埋設し始めているかもしれない、とさえ私は思います。線量測定すればわかることだけど。
 それから、神奈川県は、特措法の「読み替え」をちゃんとしっていました(説明略)、その上で、「法律ができればそれに従ってやるだけだ」とうそぶくのです。環境省に質問さえ出していないというのは、神奈川県は、特措法制定の協力者だったのかもしれません。まともな県なら、あの特措法の異常さに、ひとつや二つくらいの質問は出すでしょうから。彼らが署名を受け取る、というのを拒否して、この日はこのへんで切り上げることにしました。
 最後まで残ってくれた15名の勇士、ありがとう。今の行政って、こういうところなのです。最後に出てきた木島?が、説明に答えず、十回も「公務」を連発したのは(説明略)、それが通るような組織になっているということです。非民主的な、闇政治。これでは、芦名の処分場を―多くの住民の反対を押し切って―接待攻勢で受け入れたのと同じような手段を使っている、そうみた方がよさそうです。
 とにかく、日本は相変わらずでした。これであきらめはしないけど。2012.8.3

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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