記事によれば、部屋にたちこめる薬剤の煙に火災警報機が反応して鳴り出し、それを止めようと室内に入って薬を吸い込むトラブルが急増しているとのことです。厚労省の発表によるもの。しかし、健康被害については、「重症例はなかったが、のどの痛みや嘔吐、呼吸困難などを訴えたり、救急車の出動を要請したりしたケースもあった」とあるだけ。
その原因といえば、「住宅用火災警報器の設置が義務付けられた(消防法改正で06年6月から)ことが一因」。被害が起きたのは、薬剤使用前に警報機をカバーするなどの注意を怠ったからで、同省は「使用時は説明書をしっかり読んでほしい」と話しているとか。……この手の薬剤そのものの潜在的危険性については、何ひとつ言及していないのです(知っていながら)。メディアも追っていない。
でも、「バルサン」や「○○ジェット」などの家庭用発煙剤(私は勝手にこう呼びます)は、部屋のすみずみまで薬効を行き渡らせる、きわめて効率の高い殺虫剤です。自分で呼吸困難を経験しなくても、ひっくり返った虫がもがきながら死んでゆくコマーシャルを見れば、この薬剤の危険性がよくわかるはず。ヒトへの影響はすぐに現れないかもしれませんが、長期的な健康被害につながっていると考えられます(特に痴呆症など)。しかも、これは年々濃縮されてゆくから、怖い。この記事を読んでいるみなさんは、とっくに殺虫剤とおさらばしていると信じたいのですが。
それにしても、日本人の「きれい好き」って、ちょっとヘン。薬剤や洗剤で身の回りをきれいにするというのは、それらの化学物質に使われた有毒成分で環境を汚すことにつながるのですが。この季節、体調を崩す人がいるとしたら、大量に使われる薬剤と、おせち料理の保存料も一因かもしれません。2009.12.30
薫煙殺虫剤、人への危険性
この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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