芦名の全戸配布チラシ

 以下が全戸に配布したチラシの全文です。写真はカットしました。実物が欲しい方はコメント欄にその旨お書きの上、メルアドをお知らせ下さい。ただし実名でね。なおコメントは非公開です。 

 芦名にお住まいのみなさま

 神奈川県はすでに「がれき焼却灰」の現地交渉を始めています。誰かが「動いてくれる」のを待っていたら、「処分場」と同じことが起きるでしょう。どうぞ行動を起こして下さい。私たちも支援します。(ガレキ広域処理に反対する会
2012.2.2)



 
芦名の谷に震災ごみ(がれき)焼却灰がやって来る! このことを私が知ったのは、2012114のことでした。以前、処分場反対運動に多少かかわっていたことから、それはありえないと思いつつ、115、現地の説明会に行きました。120の横須賀対話集会にも、30
日の横浜対話集会にも行きました。
 説明にならない説明会、対話にならない対話集会



 でも、黒岩知事は、住民の「なぜ
芦名なの?」「なぜ神奈川に?」の疑問に全く答えようとしませんでした。「とにかく被災地復興のため」、「誠心誠意説明して、理解をいただく」「持ってくるのは100ベクレル/Kg以下、放射性廃棄物とはみなされない。安全」
これのくり返しです。そして、言います。 「放射能をこわがるのはアレルギーだ」、「被災地は東北ではなく関東だ(東北のがれきは関東のものより汚染されていない)」


このため、対話集会はどこも大荒れに荒れました。


黒岩知事が答につまると、環境省の官僚や、東大のおえらい先生などが、「安全、安心」と念仏のように唱え、集まった市民をさらに怒らせたのです。


ガレキ受入れは被災地復興につながりません



 すでにネットで騒がれているように、ガレキ処理は巨額の事業費をねらった利権事業です。東京都でがれき処理を請け負った「東京臨海リサイクルパーク」は、あの東電の子会社で、初めからここに委託するように仕組まれていました。がれきの広域処理は、このように、大企業が現地の雇用も復興費用も奪ってしまうので、被災地の復興にはなりません。神奈川県に至っては、本来、汚染施設など作れない「首都圏近郊緑地保全地域」に、違法に処分場を作ったのです。でも、今回の事業は、それをはるかにしのぐ巨大な利権がかかわっています。


「単なるがれき」ではないのです



 100
ベクレル/kgとは、原発施設の廃棄物を扱う時の基準であり、これをもって一般ごみの焼却炉や処分場で処理することはできません。もし、芦名が焼却灰受け入れてしまうと、ことは深刻になります。各市町村が一斉にガレキを燃やし始めることになるため(焼却灰受け入れと引き換えに)、放射能の拡散・蓄積がさらに進んでしまうからです。


 


信じられない「協定書」破棄



 県外のごみは持ち込まない、規定した品目しか入れない。県と芦名町内会の「協定書」はそう決めています。協定書は、
処分場を押し付けられた屈辱から生まれた契約ですが、黒岩氏は、その最後の防波堤をやぶり捨て、想定されてもいない放射能汚染がれき焼却灰を持ち込もうとしているのです。これは芦名の住民だけでなく、当時、運動に関わった人々や、県民すべてに対する侮辱であり、裏切り行為です。おまけに、がれきの広域処理の根拠になる法律は存在せず(130日の説対話集会で環境省認める)、行政は無法をしりつつ事業を進めようとしているのです。


「がれき焼却灰」がもたらすもの



 一般のごみ焼却も、重金属類、ダイオキシン類、
SPMなどの毒物が微小な形で環境に排出されます。放射能の灰は広く関東にもふり注いだため、がれきどころか、一般ゴミの焼却さえ避けるべきなのです。PM2.5は小さすぎて、政府が言うようにバグフィルターでとらえることはできず、有毒物質はすでに国境を越えて広がっています。そのため、海外からがれきの焼却停止を求める声があいついでいます。焼却灰にはこれらの毒物が高濃度に凝縮されており、完全密閉型の処分場に「保管」するしかありません。それはやはり発生源近くに作るのが妥当でしょう。処分場の防水シートは必ず破れます。こうして、放射性物質を処理した焼却炉も、処分場も、いずれ原発化し、その周辺にはガン・白血病が増え、健康な子どもはいなくなる…これがチェルノブイリの教訓です。


「協定書を守る」と表明して下さい
 
上述のように、放射能に汚染された焼却灰を芦名に持ち込むのは、違法であり、環境的不正義です。でも、住民のみなさんがちゃんと声をあげないと、県はあらゆる手段を使ってこの違法事業を押し付けるでしょう。処分場の時と同じように。


どうぞ、同じ歴史をくりかえさないで下さい。一部の人に交渉をまかせないで下さい。


協定書の主体は「町内会」なので(署名押印は代表の町内会長)、町内の全員が当事者として発言する権利があります。協定書を守るのは簡単で、町内会名で、「協定書は絶対に改訂しない」、「ガレキ焼却灰は決して受入れない」と意見表明すれば、それでことは決着します。それをせずに、今日までぐずぐず引き伸ばしていることに、みな不安を感じているのです。知事は早期決着をめざしているのに。どうぞ、勇気を出して行動を起こして下さい。がれき焼却灰に「ノー」を言い、子どもたちの将来を守ってあげて下さいい。私たちも、力いっぱい支援しますから。2012.2.2




 このチラシの作者:山本節子 反焼却市民の会代表、
調査報道ジャーナリスト、著作;『ごみ処理広域化計画』『ごみを燃やす社会』『ラブキャナル』など。ご質問、ご意見は、下のブログからどうぞ。http://wonderful-ww.jugem.jp/ (ワンダフル・ワールド)

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/