福島県の林業は停止を

  避難区域が一部解除された福島県の田村市都路地区、河内村、飯舘村では、政府が「追加」被爆線量を推計したところ、どういう生活をしても1ミリシーベルトを超えることがわかりました。もちろん、そこには、住民を帰村させて、原発事故はたいしたことはなかった、とPRしたい政府の思惑があるから、これでも低めの数値のはず。

全生活パターン1ミリシーベルト超 川内、飯舘の推計値

 …東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域(一部は解除)がある田村市都路地区、川内、飯舘両村について、政府が帰還住民の生活行動パターンを想定して算出した年間追加被ばく線量推計値の概要が17日分かった。政府が算出した川内、飯舘両村の生活行動パターンの年間追加被ばく線量推計値は、避難指示解除準備、居住制限両区域と、福島第1原発から半径20キロ圏外の旧緊急時避難準備区域を測定地点にして導き出した。農林業だけでなく、自宅や学校の中にいる時間がより長い無職の高齢者や教職員を含め、全ての生活行動パターンで年間1ミリシーベルトを超えると推計された。川内村では、農業は年間1.3~3.5ミリシーベルト、林業は年間4.8~5.5ミリシーベルトと見込んだ。飯舘村でも農業は年間7.1~16.8ミリシーベルト、林業は年間8.8~17ミリシーベルトを示した。飯舘村蕨平(わらびだいら)地区では高齢者でも年間16.6ミリシーベルトと推計され、避難指示の目安となる年間20ミリシーベルトに近い水準に達した。内閣府は、今回の推計値に昨年9月以降の除染の実施状況は反映されていないとした上で「3市村を代表する数値を示すものでもない」と説明する。 (2014年4月18日 福島民友ニュースhttp://www.minyu-net.com/news/news/0418/news8.html

 もっとも線量が高いのは、当然ながら森林地帯です。中でも、田村市都路地区で居住し、小宮地区の山林で林業を営む場合、追加被曝量は17.0ミリシーベルトに達するというから、本来、帰村なんかできるはずがありません。しかし、福島民友によれば、林業者は、

 >「山林の線量を下げてほしい」。農林業を続けるため業者は対策を求めた。http://www.minyu-net.com/news/news/0418/news9.html

 と発言しているのだそう。過去3年で、環境中の放射能も蓄積・濃縮が進んでおり、もうこれまでと同じような林業は成り立ちません(それなのに、以前と同じような林業が行われているため、各地で汚染チップの不法投棄などの事件が起きている)。あ、農業も止めて欲しいもんです。「食べて応援」は東電関係者と議員だけが実行してほしい。

 汚染地区における今後の「林業」は、放棄された森林で火災が発生しないように、定期的な見回りと伐採が主にならざるを得ないはずです。もちろん、役に立たない除染事業や、汚染をさらに拡大する焼却処理はやめ、そこに注ぎ込まれている膨大な補助金を、現地で汚染再拡散を阻止する作業員の手当に回せばいい。その間、事故処理能力ゼロが証明された東電を解体し、東電保護連合がこれまでためこんできた利潤を吐き出させる必要もありますが。2014.4.19

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/