爆発した鮫川焼却炉-環境省、初の説明会

 8月29日、稼動からわずか10日目に爆発を起こした福島県鮫川村の指定廃棄物(8000Bq/kg以上)の実証焼却炉。まさに危険性を実証したわけですが、その後、環境省は村民に対し何の説明もしていません。それが二ヵ月半後の11月14日に、一度だけの現地説明会を開くそうで、現地から(鮫川青生野を守る会)以下のSOSが入りました。
 
◆環境省が説明会を開きます。大勢の方のご参加を
  時間 : 11月14日(木) 午後6時半から
  場所 : 鮫川村公民館にて
  私たちはずっと事故の説明を求めていました。しかし、ようやく実現した説明会は、12月に再稼働をするためのもので、「事故再発防止策」の説明とセットです。
 環境省は着々とその準備をすすめていたことが、確認の電話をしてわかりました。担当の福島氏は12月再稼働を否定せず、条件が整えば再稼働したいと答えたのです。

 この説明会は、「対象:鮫川村民」となっていますが、爆発を起こしながら、私たち近隣住民には何の説明もなく、紙切れ一枚が配られたのみ。事業主体は環境省であり、税金を投入して作った施設である以上、すべての国民は説明を聞く権利があるはずです。

 これ以後の説明会は予定していないとのことですから、余計、環境省は国民への説明義務を果たす必要があります。そこで、環境省に、「みなで説明会に行きます。門前払いはあり得ない!」と連絡しておきました。

 お忙しい中、恐縮ですが、現地に来れる方は駆けつけていただき、一緒に抗議の声を上げて頂きたく、宜しくお願い致します。環境省にもぜひ抗議の電話をかけていただきたいです。また、この知らせを、たくさんの団体や皆さんにお伝え下さるよう、よろしくお願い致します。

 恥知らずの環境省らしいやり方です。同省は、事故のわずか四日後の9月2日に第一次報告書を出していますが、内容のひどさを自覚したのか、9月25日、一次と全く違う第二次報告書を出しています。さらに驚くのは、それと同時に「再発防止策」を出したことです。
 さらにさらに驚くのは、10月10日開かれた「有識者委員会」では、この炉のメーカーである日立造船のヒアリングをもとに、「設備対策は十分」などと再発防止策を了承していること。
ほとんど採用実績のない傾斜回転炉の「不安定性」と「危険性」はほとんど議論していません。
 実際は、愛知県春日井市にあった同型炉(産廃焼却炉)は、ダイオキシン規制をクリアできないなどで、設置許可を取り消されており、「問題が起きる」ことは予測していたと思われます。鮫川の建設場所が、人家からかなり離れていること、「外から見えないように」との条件つきで建てられたことは、こういう「予想された事故」にそなえたものと考えざるを得ません。
 廃棄物を焼却すると、周辺自治体は広く放射能を含んだPM2.5で汚染されます。でも、「汚染」は目に見えないから、なにかしら「異変」が起きるまで、人は気づかない。気づいた時はもう手遅れ。放射性廃棄物は燃やしてはいけないのだ、ということに、多くの人が気づいてほしい。2013.11.11

【関連サイト】
http://shiteihaiki.env.go.jp/04/03.html(指定廃棄物のサイト)
http://shiteihaiki.env.go.jp/pdf/q5_info_samekawa_130925b.pdf
(事故報告書 2013年9月25日)
http://shiteihaiki.env.go.jp/pdf/q5_info_samekawa_130925c.pdf
(再発防止対策案 2013年9月25日)
http://shiteihaiki.env.go.jp/pdf/q5_info_samekawa_131017a.pdf
(第一回有識者会議 議事概要 2013年10月10日)

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/