桐生市民怒るー汚染状況重点調査地域にがれきを持ち込む愚行

 富山県と立山町のあまりのデタラメさにうんざりした私が、次に向かったのは桐生市でありました。ところが、ここではさらなる狂気が。織物などで栄えた北関東の優雅なこの町は、今、フクシマの影響で、放射能汚染対処特措法の「汚染状況重点調査地域」に指定されています。平たく言うと、無視できない汚染があるから、調査した上で、除染などの措置が求められている地域です。これは、市町村が申請することになっているのですが…そこが、「がれきを受け入れ」に手をあげた、と聞いて。
 はっ? 汚染地域に指定してくれと言いながら、さらなる汚染を持ち込む? 桐生市にはすでに、高濃度の放射性物質を含む焼却灰や下水汚泥焼却灰が、行き場もないまま積み上げられているというのに? 
 桐生市役所に行ってさらに驚いたのは、「放射能調査係」という部署のカウンター上に、プラケースにいれたがれきが飾ってあること! 密閉もされず・…話を聞くと、ここの市長さんは、どうも国・県のシナリオを粛々とこなすだけという構図が見えてきました(不在で面会できず)。市民を守るべき市町村が、すっかり「絆」催眠にかかっているのです。これじゃあ、怒れる市民が直接行動に出ても不思議じゃない!

写真はサンケイ。顔を隠して警告カンバンを出すおまわりさん、あなたも被害を受けるのよ!空にはケム? http://sankei.jp.msn.com/region/news/120526/gnm12052615280005-n1.htm
 
群馬・桐生のがれき搬入、妨害で2時間半遅れ
 
2012年5月26日13時43分  読売新聞
 
岩手県宮古市のがれきの受け入れを表明した群馬県桐生市で26日朝、市清掃センターに試験焼却用がれき約4・3トンが搬入された。反対する市民ら約20人が同センター前の公道でトラックの前に立ちはだかり、搬入が約2時間半遅れるトラブルがあった。 午前7時半頃、木くずやビニールなどのがれきを積んだトラックがセンター前に到着。「宮古はガレキをもち帰れ」などと書かれた段ボールを掲げた市民らが搬入を阻止しようとしたため、警察官約10人が駆けつけ警戒にあたった。ゲート付近で反対派と市職員らが押し合いになったが、午前10時頃にようやくセンター内にトラックが入った。桐生市は今年3月にがれき受け入れを表明し、地元住民への説明会も開催。5月31日、6月1日に約43トンを試験焼却して放射線のデータを収集し、受け入れ可能かどうかを判断する。

 「妨害」って言葉はひどいね。環境中にこれほど大量の放射性物質を放出していること自体がいかに重大な違法状態か、マスコミは知ってて報道しない。従って、試験焼却も、本焼却も、違法行為です。その違法行為を止めるのは市民の義務であり、責任です。ここに至って、まだ政府の「がれきは安全」を信じている人、早く目を覚まして、政府と東電がどれだけひどいウソ↓をついているか気づかないと、後悔しますよ。
東電 90京ベクレル放出の試算

 5月24日 6時25分
 東京電力福島第一原子力発電所から外部に放出された放射性物質の量について、東京電力は、これまで原子力安全委員会が公表していた量よりも1.5倍多い、90京ベクレルと試算したことが分かりました。福島第一原発では、事故の直後、1号機から3号機の原子炉がメルトダウンを起こし、大量の放射性物質が外部に放出されましたが、実際にどれだけ放出されたか確定していません。これについて東京電力は、メルトダウンした原子炉の解析結果や、原発周辺で測定された放射線量、それに土壌の放射性物質の濃度などから放出量を試算した結果、事故の翌日から放出されたヨウ素131とセシウム137の量は、合わせて90京ベクレルと評価しました。この値は、これまで原子力安全委員会が公表した57京ベクレル、原子力安全・保安院がことし2月に出した48京ベクレルの、およそ1.5倍から1.8倍と増えましたが、チェルノブイリ原発事故の放出量の520京ベクレルの20%以下にとどまっています。東京電力は24日午後、これらの試算結果を公表することにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120524/k10015337481000.html
 放射能が、宮城・岩手だけを迂回するなんてありえん。静岡県の島田市では、焼却炉周辺で放射能値が上がったという報告が出ているし、福島のがれきや産廃だって、もう流通しています。がれき広域処理なんぞにつぎ込む金があれば、フクシマを早く収束させろ!
2012.5.26

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/