国は廃棄物処理に関与できない――黒岩知事の無知な「要望」

 「根拠法」質問がじわじわと効いています。それに焦った黒岩知事、特措法を要求するなどという血迷ったことを言い出しています。これで、どっかの大学のセンセイだったって?
震災がれき、特措法を 知事、国に制定要望へ/神奈川
毎日新聞 2月14日(火)10時57分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120214-00000050-mailo-l14
 黒岩祐治知事は13日の記者会見で、東日本大震災で発生したがれき(災害廃棄物)について、「国が震災がれき処理と安全性の責任を持つ法的な枠組みが必要」と述べ、国に特別措置法の制定を要望することを明らかにした。がれきの受け入れを巡っては、県は横須賀市内の産業廃棄物最終処分場に埋め立てる方針だが、地元町内会が反対の方針を決めるなど反発が強く、計画が進んでいない。
 住民向けの説明会の中で、県は産廃処分場で一般廃棄物である「震災がれき」を受け入れる法的根拠を問われていた。また、地元町内会でも反対を示している点に関しては「冷静な議論をする場が欲しい。町内会の反対要望を受けるよりも、いろんな形で相談できる方法を考えたい」と冷却期間を置く姿勢を強調。その上で「法律で強行突破しようとは考えていない。協定書の改定が必要なのは変わらない」と語った。
 おそらく、黒岩氏をかつぎ出した財界・産業界のつきあげがあるのでしょうが、少しでも知識があれば、こういう要望は恥ずかしくて出せません。なぜなら、一般廃棄物の処理は市町村の「自治事務」。国がその処理に乗り出すということは、その市町村の自治事務を奪いとることになるわけだから、彼は「憲法違反でもいいじゃないですかー」と要求しているのと同じなのです。
 「自治事務」だから、市町村は住民の要望を尊重する義務があるのです。市民はがれきビジネス振興など望んでいません。ただただ、現在と将来の子どもたち、そして環境をなんとか守りたいと思っているだけ。知事とその支持者は、そんな市民を国が叩き潰すシステムを作ってほしいと言っているようなもので、不見識もはなはだしい。これは市民に全面戦争を宣言しているのと同じです。
 説明会では、「あなたみたいな知事は要りません」という声が飛びました。ほとんどの一般市民は同じ思いを抱いているはずです。真剣に「リコール」を考えるべき時が近づいているのかも。
2012.2.14 
(参考)【東日本大震災】「がれき処理の法的根拠必要」黒岩知事国に要請へ
16時間前 – 震災がれきは一般廃棄物の処理を市町村、産業廃棄物を事業者の責任とする現行の 廃棄物処理法の枠内で対応する。このため、の責任が明確にされておらず、黒岩 知事は廃棄物の区分を取り払うことを主張。処理費用の負担についても… sankei.jp.msn.com/region/news/120213/kng12021322290011-n1.htm

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/