もうご存知だと思いますが、台湾の「全原発停止」が法的に決まりました。
1月11日 22時41分
台湾で2025年までにすべての原発の運転を停止することを盛り込んだ電気事業法の改正案が議会で可決され、今後、再生可能エネルギーへの転換をどこまで進められるかが焦点です。台湾では、現在、3か所の原発で合わせて3基の原子炉が稼働していて、おととしは台湾の発電量全体のおよそ16%を占めました。しかし、2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故などを受けて反原発の機運が高まり、原発ゼロの公約を掲げて当選した蔡英文総統が率いる民進党政権が電気事業法の改正案をまとめました。改正案は議会で審議された結果、11日、賛成多数で可決されました。改正案では、すべての原発を9年後の2025年までに停止するべきだと明記しています。そして、原発に代わるエネルギーを確保するため、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーによる発電や売電に民間企業の参入を認めるとしています。今回の法改正を受けて、台湾の当局は、再生可能エネルギーの発電量の割合を現在の4%から2025年までに20%に引き上げたい考えです。しかし、電力の供給が不安定化し、料金の高騰につながると懸念する声も根強く、今後、再生可能エネルギーへの転換をどこまで進められるかが焦点です。
ただ、この記事から判断すると、法改正の重点は「原発停止」にはなく、「再エネ」振興にあり、素直に喜べません。これは、「電気事業法」が電力供給体制の確保を目的とする以上、どこかの電力源を削れば、別の部分を増やさなければならないということになるので、当たり前のことですが、「反原発派」はそこまで考えていない。それどころか、環境保護団体とともに、「自然エネ(=再エネ)増強」を求める強力な圧力団体なので、まったく疑問などもたないでしょうね。その背景を受けて、時事通信などは「脱原発法」などと書いているほどですが、もちろんこれは間違い。
「脱原発」法が成立=再生エネ普及後押し-台湾:時事ドットコム
www.jiji.com – 11年の東京電力福島第1原発事故後、台湾では反原発の世論が高まった。昨年5月に発足した民進党・蔡英文政権は25年までの原発ゼロを目標に掲げ、発電量の14%を占める原発を順次停止し、再生可能エネルギーの割合を現在の4% …
それに、台湾の反原発の世論は311後に高まったわけではなく、その前から盛んでした。
台湾で可能性があるのは風力です。しかし、短期間に再エネを20%に増やすとなると、法整備が追いつかないなかで建設ラッシュが見込まれるため、美しいFormosa島はズタズタに切り裂かれてしまうでしょう。電力料金だって数十パーセントアップで済めばいいところ、海外では再エネのおかげで電力料金が数倍になり、払えず、電気供給を止められてしまったという事例さえあるのです。
以前の記事で、「再エネは電気料金をあげることが目的」と書きました。なぜなら市民をコントロールしやすいから。だって、高い電気料金は、生活の基盤を大きく揺るがすため、市民は生活防衛に必死になって政府に抵抗する能力など失ってしまうからです。ただでさえ、日本には「風力」など再エネに反対する団体はーー私が知る限りーーない(「考える会」のようなものはある)し、電気料金高騰という現実に直面しても、反対できるかどうか微妙です。だって、大手の環境保護団体もほとんど「再エネ賛成」なんだもの。
「反原発」が「再エネ振興」になっちゃいけないんですけどね。2017.1.12