南京だより:怪しい電話(2008年10月1日)
国慶節この日、アパートに電話がありました。携帯は
持たないし、電話をくれる相手はごく少数。誰だろ。
受話器を耳にあてると、男性の録音の声が流れ出しまし
た。きれいな標準語で聞き取りやすい。
話はこう始まりました。
「今、子供たちが大変なことになっています。粉ミルク
に入っていた毒物のせいで、大勢の子供たちが病気にな
りました。母親は心配して子供を連れて病院におしかけ
ています。死者も出ました。政府はいろいろやっていま
すが、問題は解決していません。田舎の貧しい人は、ま
だ汚染されたミルクを飲んでいるんです……」
妙に耳に染み込む声で、ついつい聞き入ってしまいま
した。もちろん中国にも勧誘の電話は多いから、これも
「ウチのミルクは大丈夫」という宣伝だろうと思ったの
です。人の不幸につけこむとは、なんて倫理観のない会
社だろう、と思いつつ。
ところが、途中から突然、声のトーンが変わりました。
「このようなひどいことが起こるのは、みな中国共産党
のせいなのです」ん?ん?
「中国共産党は、人権を侵害し、多くの法論功の人々を
とらえて拷問し…」その後は、激しい口調で悪口が続き、
最後に「私たちの話をもっと聞きたい人は1を、連絡し
たい人は2を押して…」などと続き、話は終わりました。
はあ。法輪功。中国政府に弾圧されたと主張し、欧米
や日本で反共活動をくりひろげている問題グループです。
日本ではその主張がそのまま受け入れられているようで
すが、中国では、この団体は「邪教」とされていて、そ
のサイトにはアクセスできません。
「人権問題」に関しては、何を言っても中国が悪者扱
いされ(チベットがそうでしたね)、客観的な発言がし
にくいところがあります。でも、不特定の相手に、コマ
ーシャルもどきの勧誘する宗教団体なんて、怪しすぎ。
それにこの団体、過去にも中国の放送衛星システムに
侵入を試みたこともあるし、一般の「宗教団体」とは
考えにくい気がします。…ま、そのうち歴史が明らかに
することでしょう。