今年、初の「ごみ問題」記事では、県西部水源地への巨大管理型処分場計画「赤穂市西有年(にしうね)産廃」の件をとりあげます。これについては昨年、「兵庫県知事の犯罪」で記者会見しました (12/15) で書いた通り、許認可権者である井戸兵庫県知事が、大栄建設の便宜をはかるような「指示」を出している文書を見つけ、記者会見しました。でも、大手メディアは書こうとせず、今年になってようやく地元の赤穂民報が報道してくれました。
全文はこちら→http://www.ako-minpo.jp/news/14276.html
《西有年産廃》公文書公開請求後に知事発言録を破棄
本紙が入手した発言録画像を見ると、協議中の会話を再現した「主なやりとり」が大半を占めている。ピントが合っていない4ページ目と5ページ目を除き、ほぼ判読できる。
それによると、井戸知事は同計画に関し、災害で遮水シートが破損した場合への対策、景観悪化への対応、予定地に含まれる保安林の解除、国道2号から処分場へのアクセス道路などについて言及。「やはり一番問題なのは水質だ。止水壁を作るのは大変だ。やはり高砂のPCBの防護壁だ」「見えないようにしたらいい。木を植えて。要は視界の中に入らないようにしたらいい」「正々堂々と保安林(解除)をやっていけばいい」「道路と並行してもう1車線作るか」などと、本来は事業者が考えるべき計画案に踏み込んだ発言がみられる。
また、別の事業者が福浦地区で進める産廃処分場建設計画に話題が及ぶと、「本当は福浦の方がいいんじゃないかと思っている」と発言。環境整備課長が「場所的には一番いい」と応じると、「あれは採石場後だろ?岩盤だし」(原文ママ)と述べている。
一方、環境部長が「これだけのことをやりなさいと言って、事業者からやりますというこたえを引き出しながら、進めていく」と語ったのを受け、井戸知事が「引き出さなくてもよい。やれなかったら終わりだから」と突き放す場面も。また、「(事業者側が予定地周辺に)2~3倍の土地を手に入れているので、20年後か30年後か分からないがまた拡張するかもしれない」(西播磨県民局長)との見方がある中で現計画の埋立処分面積が環境アセスメント制度の対象(15ヘクタール以上)よりも小さい規模で事前協議書に記載されている点を踏まえ、「ますますずるいじゃない。13haなんて」と事業者に批判的な発言もみられる。
「知事協議記録」をめぐっては、昨年7月17日、姫路土木事務所が保管しているのを市民団体が突き止めた。その場で公文書公開請求の手続きをとったが、文書の件名を特定できなかったこともあって公開されなかった。翌月21日に件名を特定して再請求したところ、「要点のごく一部を抜き書きしただけの簡単なもの」(市民団体)が公開されたという。
県は赤穂民報の取材に、「発言録は、市民団体が確認した時点では存在していたが、不正確な情報や推測が含まれており記述内容が正確でなかったので、正式なものに更新した。2度目の公文書公開請求がなされた時点では、すでに正式な『知事協議結果の記録』に更新されていた」と説明。更新した時期については、「7月末ごろだったと思う」(環境課)とし、更新前の文書データは「パソコンで上書き修正したため残っていない」(吉村参事)と話した。
「不正確な情報や推測」を含んでいたにも関わらず、発言録を「知事協議記録」として関係部署に配布した理由について、出席者の一人でもある遠藤英二・西播磨県民局長は、「今後の対応の方向性を速やかに関係者で情報共有すべきとして配布した。今回は精度よりも迅速性を優先させた」と回答。「事務手続きを迅速にやっていくためには必要だった」と話した。
「知事協議記録」の存在を公表した「播磨自然高原地区連合自治会」と「赤穂の環境を守る会」は、「表向きは『公正・公平』をうたいながら裏では住民の権利を無視し、知事を中心に産廃処分場計画に肩入れしており、県民への重大な裏切り行為だ」と批判。県が文書を破棄して差し替えたことについては、「県民に知られてはまずいことを隠ぺい・改ざんしたもので、公務員による犯罪だ」と強く非難している。
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この内容なら、見出しは「兵庫県知事、西有年産廃に関与、公文書の改ざん・破棄を認める」とした方がいいけれど・・・ま、ここまで書ければ十分かも。
ただし、読者の誤解を招きかねない部分(マーカー部分)もあるので、以下、そこを説明しときます。
★本来は事業者が考えるべき計画案に踏み込んだ発言がみられる。
そんなものじゃありませんよ。県が隠ぺい・改ざんした文書は他にも副知事協議記録、県民局会議記録もあり、いずれも、兵庫県がこの計画を推進するために、県の組織をあげて審議し、内部の意思統一をはかっていたということが示されているのです。
つまり、表向きの「法手続き」に入る頃には、必要な手はすべて打ってあるということですね。産廃の許認可権が知事にあることを考えると、これはいわば「事前許可」の証拠であり、れっきとした脱法行為(というか不法行為)です。
★文書の件名を特定できなかった
文書名の特定は県がやります。市民が「特定できなかった」のではなく、県が不適正な件名を伝えたのです、いわば不作為。
★「発言録は、市民団体が確認した時点では存在していたが・・・正式なものに更新した
なんですか、これは。市民団体に公開請求されて、存在している文書を破棄し、「正式なものに更新した」というなら、これは公文書の違法破棄、改ざんを公然と認めていることになりますよ。
★2度目の公文書公開請求がなされた時点では、すでに正式な『知事協議結果の記録』に更新されていた」
つまり、改ざん文書を「正式な記録」と言っているだけです。
なお、この件で、県の公文書隠ぺい・破棄に手を貸したのは、当時私がコンタクトしていた一部の市民運動家です・・・こういうことは往々にして起こりえるので、あえて書いておきます。私は「反対派」に、この「森崎ファイル」に含まれる文書名のリストアップを求めることや、法的根拠、公表の方法などかなり詳しくアドバイスしました。でも、彼らは私に連絡しないまま、勝手に「知事協議記録のことは持ち出してはいけない」と決め、情報を闇に葬ったのです。
これはいったい何のための反対運動か。他の魂胆があるとしか思えません。
市民運動の場合、情報はみなに公平に流す必要があります。もっとも普通の市民には、情報そのものを分析し判断する能力はあまりないため、私のようなアドバイザーも必要となるでしょう。その私を招き、その求めに応じて私が貴重な資料を発掘したというのに、市民団体側がそれを非公開とするなどは初めての経験でした。それが、昨年、一番腹が立ったことです。2020.1.11