公害防止協定の「効き目」

  「公害防止協定なんか役に立たない」というアホ連中ーーまれには弁護士も含むーーのために、最近のニュースもあげておきましょう。長野県の岡谷、諏訪市などの広域の最終処分場の立地をめぐる問題に、公害防止協定がからんでいます。

特集 針路はどこへ・諏訪市長選への課題【下】焼却灰最終処分場
2015
323()
http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=33779

 岡谷、諏訪、下諏訪の2市1町でつくる湖周行政事務組合が計画する、広域ごみ処理施
設の焼却灰を処理する最終処分場を諏訪市に整備することが決まって4年。諏訪市は候補地の地元と協議を続けているが、場所は依然として公表されず選定は難航している。最終処分場の整備は広域の自治体にも関係する“約束事”。安全面などに十分な配慮が必要な施設で、簡単ではない事情があるとはいえ、先送りできない課題だ。
 同組合のごみ処理基本計画では、ごみ焼却施設の整備後、2016年に最終処分場を稼働させ、民間施設を併用しながら焼却灰の受け入れを開始する予定だった。処分場の設置場所が決まっても環境アセスメントや建設などに3年程度かかる見通しで、基本計画のスケジュールは間に合わない状況だ。市議会3月定例会で候補地選定の現状について問われ、上原哲夫副市長は「安全性が一
番大きな課題。将来にわたって残る施設なので、安全性を地域の皆さんに理解いただくよう取り組んでいる」と述べるにとどめ、慎重な姿勢を崩さなかった。山
田勝文市長は、処分場の形式は処分場が建築物に覆われ、環境への負荷を減らすとされる「クローズド型」が望ましいとの考えを示している。市は地元との交渉
の詳細を明らかにしていないが、「(施設に対する)地元住民の理解は深まってきている」(市民部)とする。
 
現在、諏訪市内のごみの焼却灰を埋め立てる大曲最終処分場は市東部の角間新田にある。現在の処分場は19994月から稼働しており、使用期限は延長し上で20173月末までとする公害防止協定書を市と角間新田区が取り交わしている。こういった面から、新たな処分場は西側の山間部では―との見方もあるが、市は「新たな処分場は角間新田以外で整備するとしか言えない」とする。岡谷市内に建設する広域ごみ処理施設「諏訪湖周クリーンセンター」は16年9月の稼働を予定し、焼却灰は当面、県外の複数の民間施設で処理する方針でいる。今期限りでの退任を表明している山田市長は、任期中に候補地を公表したいとの考えを示しているが、任期は残りカ月しかなく、表明できるかは見通せないまま。一方で、ごみ処理は市民生活に直結する問題であり、いつまでも持ち越せない。地元住民への丁寧な説明を続けつつ、着実に前に進める姿勢が欠かせない。

 ね、公害防止協定はこういう時に、立派に役割を果たすものなのです。広域行政組合としてはどんなに現在地に隣接した場所に作りたくても、協定が歯止めとなって、現在地「以外」で探すしかないわけ。
 EUでごみ最終処分場の健康被害が問題化し、「埋め立て禁止」指令が出たのはもう十年以上前ですが、毒性のある焼却灰を中心に埋めている日本の処分場による健康被害は、EUよりはるかに大きいはず。飛灰のリサイクルの問題を含め、行政も市民も実態を知らなさすぎ。普通、諏訪地域のような人口密度が低い農村地域なら、コンポスト主体の「燃やさない代替案」で大減量が可能です。なのに、長野日報の記事は
処分場建設のハタを振っていてとてもいやな感じ。市民が立ち上がればいいのにね。2015.3.25

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/