ガス化溶融炉に走る上伊那広域と、反対意見書を採択した佐那河内村議会

 ゴミ問題が続きますが、今日は対照的な二つの事例を紹介します。
まず、長野県伊那市の新ごみ焼却炉の問題。この件については、公共事業における自治会の役割 ②長野県のケース …上伊那新焼却炉に地元同意出そろう (07/23)でも書いたとおり、自治会と市がウラで話を決めたもよう。その結果、一歩進んで用地取得へ・・・

新ごみ中間処理施設の用地取得へ
今後は維持管理等の事業者募集選定

2015年3月23日 http://inamai.com/www/ictnews/detail.jsp?id=39997
 上伊那広域連合議会臨時会が23日伊那市役所で開かれ、伊那市富県に建設予定の新ごみ中間処理施設用地取得に関する議案が可決されました。広域連合では今後施設の設計建設や維持管理事業者を募集選定し平成30年度の稼働を目指します。23日は上伊那広域連合から新ごみ中間処理施設の用地取得に関する議案が提出され全会一致で可決されました。取得する面積はおよそ2万4000平方メートル、価格は2億円。契約の相手方は7人の個人と伊那市となっています。新ごみ中間処理施設は処理能力が1日118トン、処理方式は流動床式ガス化溶融炉またはシャフト式ガス化溶融炉で処理の対象は燃やせるごみ、不燃ごみ、粗大ごみ処理施設からの残渣、災害廃棄物となっています。広域連合では事業者の募集選定スケジュールとして6月上旬に入札公告し12月中旬には決定するとしています。また落札した事業者でつくる処理施設の運営、維持管理業務を目的とした会社を設置し平成30年度の稼働を目指します…2015年3月23日(月曜日)

 「地元合意」といっても、自治会町内会の一部にハンを押させ、全住民の合意に見せかけることが多く、住民が沈黙しているとこの詐欺がまかりとおります。上伊那広域はこの「合意」に関する疑問の他、なぜ事故、故障続きのガス化溶融炉を積極採用するのかについても疑問を抱かざるを得ません。だって、ガス化炉はもとのごみの総量よりはるかに多くの廃棄物を環境中に排出するため(微小粒子となるため、目には見えない)、周辺の農地に深刻な汚染が及ぶからです。それなのに、何の危機感もなくこの法案をすんなり可決してしまった議会はもう存在価値なし。この焼却炉、完成後は完全民営化されるようで、市民は永遠にごみを出し続け、汚染を強いられる状況が続きます。この町はリニア誘致にも熱心なようで、住民が目覚めないと将来は暗い。 対照的なのは四国、徳島県東部のごみ問題。

佐那河内ごみ施設計画:今議会でも意見書採択 「拙速判断避けよ」 /徳島
 
佐那河内村議会は20日、県東部7市町村が村内に計画するごみ処理施設について、住民合意を得ていないとして、拙速な判断で施設建設計画を進めないことを村に求める意見書を全会一致で採択し、閉会した。村議会事務局によると12月議会に続き、2議会連続で村宛ての意見書が採択される珍しい事態となった。意見書は拙速な判断で村への施設建設計画を進めないこと、住民…

 ほら! この記事にもあるように「住民合意は必要」なのです!!自治会代表の合意ではダメ。でも、なんとまともな議会でしょう! こういう場合市が「代替案」に踏み出すいいチャンスですが、それをやろうとせず焼却炉にしがみつくとしたら、すでに利権の渦にまきこまれている可能性が高い。ごみ焼却炉計画は、メーカーらが長い年月をかけて「工作」した結果なので、止めるにはその背景を知る必要があります。住民運動も活発なようですが、も少し切り札を知らないとね。2015.3.26

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/