この一ヶ月、メキシコ湾のオイルリグ、「ディープウォーター・ホライゾン」の爆発・原油流出関連情報をおっかけていました。BP(ブリティッシュ・ペトロリアム社)にハリバートン、とくれば何かある、とピンと来たのです。実際、毎日のように新事実がぞくぞく「発見」され、とてもみなさんに伝えるどころではありませんでした。
欧米の環境NGOや市民の怒りと不安はすさまじく、先週、のぞいた小メディアのサイトには、千以上の市民の書き込みがあって驚きました。一番多かったのがBPへの怒り。「BPをボイコットしろ」との言葉も発見。ところが、今日、私がメンバー登録しているサイトからも「ボイコット」の呼びかけが。http://www.beyondbp.org/
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なぜボイコットが必要か? BP社に責任を取らせるべきだから!
1.BPは他の石油会社よりずっと悪質で、アメリカでは環境法を犯して掘削事業を行い、罰金刑7億ドルを払っている。環境復元費はもちろん、漁で生活できなくなった人々の補償すべきだ。
2.BP社の安全策軽視が明らかになりつつあり、取締役らは永久的な制裁を受け、刑法の責任をとらなければならない。
3.BPは流出原油の量について市民をミスリードする発表をくりかえし、科学者にきちんとした分析をさせず、メディアの現場撮影を妨害した。その一方、7千万ドルの予算をつぎこみ、メキシコ湾のビーチは安全だとするPRを続けた。
4.政府の鉱物管理局の発表は信じられず、全面的に同組織のあり方を見直すべきだ。
5.今後、事件が完全に解明されるまで、新たな深海石油探査の許可は全部禁止すべきだ。
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どれも、メディアでもカバーされていて、極端な意見ではありません。量については当初の発表のなんと百倍! 政府のウソもひどくて、アメリカEPAの関連サイトでは、「水質に問題ない」。昨22日は、女性官僚が、「おかげで、海岸の水質は守れているわ」とコメント……聞いてるこっちが恥ずかしい。
この事故は、1989年のアラスカ沖のエクソン・バルディーズ号の流出量をしのぐと言われています。でも、石油運搬船の流出量は「推測」できるけど、海底原油火山に孔を開けたような今回の事件と比較するのはそもそもまちがい。原油帯はすでにルイジアナ州の海岸に達しており、メキシコ湾から大西洋、そして欧州に及ぶのは時間の問題です。(事件の写真はここ↓がお勧め。大きくて迫力満点。http://www.boston.com/bigpicture/2010/05/disaster_unfolds_slowly_in_the.html)
また、同プロジェクトの出資者である日本の三井にも責任を取ってもらわないと。
企業の汚職や汚染事故は、くり返されるものなのです。それを防ぐには、企業資産を全部吐き出させて補償にあて、会社清算に追い込むのが誰にとっても一番なはず。ま、2009年に140億ドルの利益を得たという会社だから、つぶれやしないでしょうけど。
私は97年のナホトカ号沈没―島根沖原油流出事故ーの海岸清掃ボランティアに出かけたことがありますが、油にまみれてねっとり重い砂の感触と、海岸に満ちていた石油臭は今でも思い出します。この事故を機に「石油偏重」の社会が変わればいいのですが。2010・5・23
メキシコ湾の原油汚染とBP社の責任
この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/