アメリカ環境保護庁(EPA)が、ネオニコチノイドは「効かない」という報告を出しています。まさか!と思いましたが、ほんとでした。調査を実施したEPAの Office of Chemical Safety and Pollution Prevention (化学物質安全性、公害防止局)は、「我々の分析によれば、アメリカ全土において、ネオニコによる種子処理は大豆農家にほとんど、あるいはまったく経済的利益をもたらしていないとの結論に達した」と、非常にはっきり述べています。一応、原文を一番下に貼り付けておきます。
ネオニコチノイド(ネオニコ)といえば、ミツバチのコロニー崩壊(蜂群崩壊症候群、CCD)の、最大の原因として、ヨーロッパでは使用が禁止されていますが、農薬大国のアメリカと日本では今も大量に使われています。その結果、こういう↓ニュースも。
「ミツバチが消えた」 町内養蜂家ら悲鳴
2014年9月26日号 http://www.townnews.co.jp/0503/2014/09/26/253208.html
(ハチがいなくなった巣箱を指さす石井さん) 三浦半島地域で近年、大量のミツバチが突如”失踪”する現象が相次いでいる。昨年は地域内に10軒ある養蜂場のハチほぼ全てが全滅する事態が発生。被害に遭った蜂箱の数は200近くにのぼる。関係者は一部農薬が原因と推測しているが、解決に向けた決定打はないのが現状で苦境にあえいでいる。
働きバチが幼虫や女王バチを残したまま巣に戻らなくなる現象は「蜂群崩壊症候群(CCD)」と呼ばれ、2000年代初頭から日本を始め米国や欧州など世界各国で問題となっている。ダニやウイルス感染、農薬、ストレスなど様々な要因が指摘されているが、正確な原因は特定されていない。
県養蜂組合三浦支部(石井勉支部長)によると、地域内で被害が確認されたのは7年ほど前から。春にいたはずの数万匹のハチが秋には姿を消していたという。同様の現象が毎年のように起こるようになり、昨年は組合員が飼育する計190箱が全滅。
葉山町で2代にわたって70年間養蜂を営む石井さん自身も大きな被害を被った。「親の代から数えてもこんなことはなかった」と戸惑いを隠しきれない。今年は町内に組合員のハチをかくまう「緊急避難場所」を作り、同様の事態は免れたが、被害そのものはなくならなかったという。「毎年買い足すことで何とか凌いでいるが、全国的にハチが不足し価格が高騰している。状況が続けばやっていけなくなる」と窮状を明かす。
農薬が影響か
様々な原因が指摘される中、近年広まった農薬(殺虫剤)との関連性を疑う声が浮上している。ネオニコチノイド系の農薬は少量で長期間持続することで農家や一般家庭でも普及。一方でミツバチなどの益虫にも影響を及ぼす可能性があり、CCDとの因果関係を示す研究結果も発表されている。石井さんも「夏の太陽熱で気化した農薬が南風にのってハチのいる場所まで来ているのではないか」と推測する。被害の多くは8月に集中しており、山間や木の影など南風の当たらない場所では被害が少なかったからだ。だが科学的根拠はないため、現状の対応は農薬の適正利用を呼び掛けるにとどまる。「地道に皆さんの理解を得るしかない。ミツバチがいなくなれば農作物にも影響がでる。私たちの声に耳を傾けてほしい」と話した。
したがって、このEPA報告は、養蜂家にとっていいニュースでしょうね。その分析のポイントは以下の通り(注:逐語訳ではありません)。
- ネオニコ処理のタネでも、農薬未使用のタネでも、大豆の収穫量は増えなかった.
- スプレー式の代替農薬が得られるし、効果もある.
- 代替農薬はいずれも同等のコストだ.
- ネオニコ処理の種子は、非常にまれで予想できない害虫に効果があるかもしれないが、その可能性は大きいとも全国的だとも考えられない
露骨に書いてないだけで、いわんとするところは、「ネオニコは使うな、代替品があるじゃないか」ということ。もちろん、代替農薬だって地力を弱め、益虫を殺すんですが、ネオニコほどの有害性はないと判断したのでしょう。
ネオニコ野放しの日本では、はちみつからもネオニコが検出されています。この問題に目を向け、健康な農業を求めていきましょう。2014.10.17
FOR IMMEDIATE RELEASE
October 16, 2014
EPA Finds Neonicotinoid Seed Treatments of Little or No Benefit to U.S. Soybean Production
Washington — Today, the U.S. Environmental Protection Agency (EPA) released an analysis of the benefits of neonicotinoid seed treatments for insect control in soybeans. Neonicotinoid pesticides are a class of insecticides widely used on U.S. crops that EPA is reviewing with particular emphasis for their impact on pollinators. The analysis concluded that there is little or no increase in soybean yields using most neonicotinoid seed treatments when compared to using no pest control at all. A Federal Register notice inviting the public to comment on the analysis will publish in the near future.
“We have made the review of neonicotinoid pesticides a high priority,” said Jim Jones, assistant administrator for EPA’s Office of Chemical Safety and Pollution Prevention. “In our analysis of the economic benefits of this use we concluded that, on a national scale, U.S. soybean farmers see little or no benefit from neonicotinoid seed treatments.”
During the review of the neonicotinoids, EPA found that many scientific publications claim that treating soybean seeds has little value. Part of our assessment examined the effectiveness of these seed treatments for pest control and estimated the impacts on crop yields and quality, as well as financial losses and gains. The law requires EPA to consider the benefits of using pesticides as well as the risks.
The analysis concluded that:
- There is no increase in soybean yield using most neonicotinoid seed treatments when compared to using no pest control at all.
- Alternative insecticides applied as sprays are available and effective.
- All major alternatives are comparable in cost.
- Neonicotinoid seed treatment could provide an insurance benefit against sporadic and unpredictable insect pests, but this potential benefit is not likely to be large or widespread throughout the United States.
Thi
s analysis is an important part of the science EPA will use to move forward with the assessment of the risks and benefits under registration review for the neonicotinoid pesticides. Registration review — the periodic re-evaluation of pesticides to determine if they continue to meet the safety standard — can result in EPA discontinuing certain uses, placing limits on the pesticide registration, and requiring other label changes.
Sign up for pesticide program updates to be notified by email when the EPA opens the docket and invites comment on its analysis of the benefits of neonicotinoid seed treatments on soybeans. R246