マルクール事故② 死者は被曝していた

 マルクールの爆発事故の続き。あまりにも情報が少ないので、しつこく検索したら、ありました!!この事故、やはり情報規制が相当厳しいようで、私が入手したのは、スペイン語の元記事を英訳したものです。以下はその簡約、( )は、フランスの事情をよく知らない筆者が勝手に入れた注ですが、詳しい方、ぜひ教えて下さい。


マルクール爆発事故の死亡者は被曝していた、政府はデータ出さず


 プブリコ誌(スペインのニュースサイト、元記事②は写真つき)は、マルクール核複合施設爆発事故の詳細を明らかにした。事故で死亡した作業員はかなり強い被曝を受けており、家族は遺体に近づくことさえ許されなかった。解剖も行われず、遺体は放射能を遮断する棺に密閉されて、葬儀場に運ばれた。


 現場に48時間置かれていた遺体には、放射性の砲弾が食い込んでいた。この遺体を収容するために、政府のNRBCチーム(核-放射能-化学-細菌武器の処理部隊のよう)が召集されたが、チームは遺体の解剖を省略することを求めている。


 消防団員は、1300℃の砲弾を浴び、全身の85%以上のやけどを負ったもう一人の作業員の救出に成功し、軍の病院に搬送した。この作業員は初め民間病院に担ぎ込まれたが、後に軍の病院に移されたことから、さまざまな憶測を呼んでいる。
 
EDF(フランス電力公社、日本でいえばTEPCO)とフランス政府は事故による放射能もれはなかったと主張し、クリラッド(CRIIRAD、放射能に関する調査と情報提供を行う仏の環境NGO)もこの仮定を支持している。


 政府は、(事故が起きた時)処理していた廃棄物はどの企業のものだったのかについて公表を拒んでいる。処理対象物を特定する手がかりになるため、フィルターやセンサーのデータ公表も拒否している。また、この事故の前に焼却施設でも事故がおきているが、その問題を含め、作業員の安全問題、また(現施設を)廃止のためにはより大規模な施設が必要だという発言の意味など、さまざまな問題がある。(2011年9月23日)①
 ・・・ん? マルクールでは核兵器を処理していたの?遺族が近づけないほど高濃度の放射能を浴びていたとしたら、この施設は単なる「低レベル放射性廃棄物の溶融炉」などではありえません。記事に使われている”sharpnel”(榴散弾)という用語は、何かしら「放射性物質を装てんした弾頭」を意味します。
 武器弾薬の類は、老朽化すると「処理」(破壊、焼却、溶融)しなければなりません。そのため、武器・戦争大国のアメリカなどでは、その処理をめぐりよく激しい反対運動が起き、軍を悩ませています。日本人は、核兵器といえば、せいぜい原爆とか劣化ウラン弾くらいしか思い浮かびませんが、実は核兵器は大から小までそのラインアップは大変なもので、世界には処理を待っている核兵器は相当多いはずです。原発を作る、というのは、核兵器の生産と処理とも無関係ではありません。「原子力の平和利用」なんてうそっぱちだって。2011.10.4
① Marcoule Explosion Deceased Worker Irradiated, Government Not Releasing Data


この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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