マドックス賞のスポンサー、センス・アバウト・サイエンスって?

 ジョン・マドックス賞の三番目のスポンサー、「センス・アバウト・サイエンス(=SAS)」についても書いときます。

 この組織は、「証拠にもとづく科学を守るため」、無償でキャンペーン活動を展開していますが、その目的は現代医療擁護と、それに敵対する勢力をつぶすこと。さらに、「社会科学」にも手を伸ばしていて、今は「原発をもっと知ろう」キャンペーンも展開中。これは新規原発建設に向けた地ならしか?

 イギリスが本部のようですが、アメリカにも支部があり、同じような活動をしています。

 そして、その会計報告を見れば、これが現代医療制度の権益を守るための、一種の洗脳組織ということは明らか。たとえば、2016年4月5日までの会計年度で、センス・アバウト・サイエンスは576,265ポンドにも上る収入を得ています。

http://apps.charitycommission.gov.uk/Accounts/Ends70/0001146170_AC_20170405_E_C.pdf

日本円にして約8800万円。もちろん、普通のNGOがこんな巨額の資金を調達できるはずはありません。で、どこからそのお金が出ているかというと・・・「身内」からです。

おおまかな分類は↓のとおり。

トラスト・基金    £292,979

出版社        £95,752

研究所など      £91,766

個人         £90,931

その他          £2,668・・・

 医薬産業を含む産業界、学会、出版社(学術雑誌含む)、基金、メディアなどが、こぞってSASのキャンペーンに資金提供しています。たとえば出版社グループではブリティッシュ・メディカル・ジャーナルやElsevierが、そして研究機関では世界の有名大学や研究所が高額の資金を拠出し、一種の言論統制機関を作り上げている感じ。利益相反関係にあたる気がしますが…。

具体的な拠出者名は、この↓内訳を見てね。

http://senseaboutscience.org/wp-content/uploads/2016/10/SenseaboutSciencefundingYE2016.pdf

 SASのプロジェクトは、多くの大学や研究所に侵入していることがわかりますが、これは「若手研究者」をターゲットにしているからでしょう。なぜなら、現代医療は、将来にわたって医薬産業界の利益を代弁する人材を育てる必要があるからです。また、SASは、一見「まとも」に見える活動やシンポジウムを通して、社会的経験が浅い、あるいはあまり知識がない若年層や主婦、子どもへの浸透もはかっていますが、もちろん彼らは将来の顧客、早いうちから「現代医療への信頼」を植えつけておく必要があるのでしょう。

 そして、このSASが成し遂げた最大の成果は、長い伝統がある英国の「ホメオパシーつぶし」でした。

 2006年、国内の著名な医師や科学者らが連名で、国家医療サービスを実施している機関の長あてに、代替医療への補助金支出をやめ、伝統的治療(現代医療のこと)にその金を使うように求めたのです。「有効性が証明されていない(代替)医療に補助金を出していることを憂慮している。私たちは患者がもっともよい治療(現代医療のこと)を受けられるように望むものだが、この憂慮を共に保健医療省に示そうではないか」とかなんとか・・・・ま~、相当な政治的圧力がかけられたらしく、ホメオパシーは国民保健サービスの対象から除外されました。それどころか、10年後の2017年には、医師はホメオパシーの薬剤の処方さえも禁止されています。http://www.independent.co.uk/news/health/nhs-homeopathy-ban-placebo-not-evidence-based-spending-health-government-latest-prescriptions-a7852566.html

 ホメオパシーの息の根をきっちり止める計画が進行中なわけ。これはそのほかの代替医療にも通じているのではないかという気がしますが、そうなると、病人は化学療法と手術、放射線治療しか選べません。いつのまにか医療ファシズムの世界が始まっていたんですね。・・・その準備をしているのがSASです。2018.1.29

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/