コメント欄に質問をいただきました。
「瓦礫広域処理の件です。細野環境大臣がテレ朝系モーニングバード7月5日の放送で宮城の瓦礫は砒素や六価クロムなどが付着していて防潮堤の埋め立てには使えないと言っているのですが、そういうものを焼却してよいのかと疑問です。北九州市は燃やしてもバグフィルタがあるし、飛灰は薬液処理してから埋め立てるから大丈夫といいます。真相を知る為にはどのように調べればよいのでしょうか?色々調べても素人では言い負かされてしまいます。」
はいはい。7/5テレビ朝日 モーニングバード「細野大臣に聞く ガレキの広域処理必要なの?」という番組ですね。http://www.dailymotion.com/video/xryzrp_20120705-yyyyyyy-yyyyyyyyyyyy_news?search_algo=1
反がれき派の評価も低くはなかったようですが、政治家が出てくる番組なんぞすべてやらせです。問題は、彼らが語らない部分にあるものなので、ちょっとそこを見てみましょう。
まず、ここでいうヒ素や六価クロムとはCCA(クロム・銅・ヒ素を主体にする殺虫剤)処理された木材に含まれているもので、その汚染は早くから問題視されていました。アメリカでは2003年12月、居住用建物への使用を禁止していますが、どうも日本ではいまだに使用されている模様。しかし、番組ではこの点に触れていません。
次に、「CCAは有毒物質、埋めてはいけない」という細野に対し、コメンテーター氏は、「じゃあ、どうすればいいのか?」と聞いていません。それがすべてを物語っています。だって、細野の使命は「可燃物を全国拡散=焼却処理による汚染拡大」。なんとしても広域に回す可燃物を確保しなければならないため、この番組を使って、ほんとは言いたくなかったCCAの毒性をアピールし、木くずは広域で燃やせ、と言ったのですね。そこは、コメンテーターも心得ていて、厳しく追及するフリをしながら、「では焼却は安全なのか?」とは、決して追及しなかったわけ。
埋立てできないような有毒物質を燃していいはずありません。焼却は開放系処理法。バグフィルターは気化した物質(特にPM2.5以下)は捕捉できず、大気中に出ていくか、焼却灰に高度に濃縮されてしまいます(環境省は、この焼却灰の「再利用」も進めているのですが)。
さて、そのCCA木材、Wikiにはこう書かれています。
・CCAが開発された当初は、CCAの成分は木材に強固に結合するため、毒性等の問題は無いと言われて来た。しかし、近年の研究で雨に濡れると徐々に溶け出し、周辺土壌等の環境を汚染したり、人体に触れると慢性毒性により健康被害が発生するリスクを指摘されるようになった。
・CCA系木材保存剤は発癌性のある六価クロム、ヒ素を含むため、使用後の大量の建築廃木材が重篤な環境汚染を引き起こすことが懸念されている[1][2]。
・国土交通省は建設リサイクル法基本方針で、CCAを含むおそれのある建築廃木材は分別した上で、適切に埋立て又は焼却することと指導している[3]。
・しかし、不十分な設備で安易に焼却処理を行うと昇華し易いヒ素化合物が排煙として飛散し、周辺地域土壌を汚染することが懸念されている。また、密閉の不十分な処理場に埋立てると周辺の土壌、水源を汚染する心配もある。
・(処理方法)超臨界流体を用いた処理方法等が研究・開発されているが、経済性などに問題があり、未だ実用化には至っていない。
つまり、CCA加工された木材は燃すのもダメ。「十分な設備」なんてありえないから、放射性廃棄物同様、遮断型の処分場などで管理し続けるしかありません。なお、CCA材の焼却処理がいかに危険か、についてはアメリカのEPA他いろいろなサイトから情報をキャッチできます。たとえば:
・CCA加工木材を燃した残りの灰には、致死量のヒ素が含まれている
・もっとすごいのはCCA焼却後の飛灰で、すさまじい健康被害が裏付けられている。
・ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーションは、CCA加工された薪を燃した家族が、脱毛、鼻血、極度の疲労、頭痛、数時間にわたる失神などの症状が現れたと報告している。
・この家族の子ども二人は、てんかんを起こすようになり、植物は枯れ、金魚は死んだ。
・調査の結果、家族は、暖炉から出た飛灰をほんのわずかの量、吸いこんだだけだということがわかった。http://www.permies.com/t/11110/stoves/Burning-Treated-Wood
CCAの焼却処理がまずいことは、細野だけでなく、環境省もよ~く知っているんですよ。だから、私は、毒物を拡散するのが彼らの目的だ、と主張しているわけ。明日から第三弾の関西キャラバンに向かいますので、関西の方、よろしければ話を聞きにきてね。2012.7.10
ヒ素六価クロムは埋立不可、じゃあ焼却は?
この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/