コロナ「名古屋とばし」と官民癒着

 昨日政府が発令したコロナ「緊急事態宣言」に、愛知県が入っていなかったことに疑問をもった人は多いことでしょう。それを称して「名古屋とばし」と言います。↓の日刊スポーツの報道を読むと事情がよくわかるでしょう。

緊急事態宣言「名古屋飛ばし」一時トレンド入り

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202004070000287.html

 安倍晋三首相が7日にも発令する新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の対象地域に、愛知県が入っていなかったことから、「名古屋飛ばし」が一時トレンド入りするなど、ネット上で話題になっている。「名古屋飛ばし」とは有名歌手のライブやイベント、有名チェーン店の進出、鉄道の停車などが他の都市圏では行われても、名古屋では行われないことを指すもの。ツイッターなどでは、「地元住民は慣れているけど、まさか緊急事態宣言まで名古屋飛ばしとは」「名古屋は都市だと認められていない?」「トヨタさんがいらっしゃるからですか?」と言ったさまざまな声が上がっている。緊急事態宣言の対象地域は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県。6日正午現在、愛知県の感染者数は対象地域となった埼玉や兵庫、福岡よりも多い228人で、死者は東京に次ぎ、全国で2番目に多い20人となっている。

 ね?前記事で書いた通り、「緊急事態宣言」は政治的決定であって、科学・医学にもとづいたものではないのです。

 愛知県を「パス」したのは、上の記事にある通り、「トヨタさんがいらっしゃるから」でしょう。官民癒着、官民共謀。

 で、自動車業界の情報を検索したら、案の定、2月にはコロナ騒ぎを見据えて、自動車業界を守るための組織がー経産省がらみでー設立されていました(↓)。

自工会、部工会、経産省が「新型コロナウイルス対策検討自動車協議会」を設置 2020年2月20日

 日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、経済産業省は2月20日、「新型コロナウイルス対策検討自動車協議会」の立ち上げを発表した。同協議会は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、自動車サプライチェーンへの今後の影響拡大の可能性に備えたもの。具体的には、防疫対策、サプライチェーンや物流など業界の共通課題と対応策、政府施策の情報共有のほか、影響が長期化した場合の資金繰り対策や各種政策支援など各種対策の検討が行なわれる。検討内容については、今後の状況の変化に応じて追加されるという。同協議会の設置目的は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自動車サプライチェーンへの影響は個別地域限定の問題でないため、多くの企業に影響が及ぶ可能性があること、終期が見極めにくく影響の長期化も懸念されること、中国当局関係者との情報交換など政府レベルの対応が求められること、といった性質を有していることから。今後の影響拡大の可能性に備えて、自動車メーカー、部品メーカー、政府が連携して、迅速な情報共有や必要となる対応策を検討する場にするとしている。

 大企業がいかに中央省庁と結託し、自社や関連会社の利益を確保する対策をとっていたかを示す発表ですが、このような組織の設立に至るには、遅くとも1月には協議を始めていたはず。つまり、日本人が「中国大変」を他人事としてのんびり見ているウラで、コロナ・プロパガンダ戦略が官民連携で秒読み段階に入っていたのです。

 政権に直結する資金力と人脈を持つ大企業は、このような「緊急事態宣言」を事前に知り(あるいは指示し)、その「異常事態」を利用して利益につなげるものであることは、歴史が証明しています。先の大戦でも(帝国主義)資本主義国家=大企業の利益最優先=国民皆兵(企業兵士)=他国への侵略と資源争奪(戦争)とつながって行った・・・しかし敗戦後、天皇制(=旧体制)が保持されたため、日本の社会システムは変わらなかったというわけです。

 ちなみに、コロナ騒ぎの「ずっと先」を見越していたトヨタは、緊急事態宣言が出されたその日、すかさず「コロナ・ビジネス」を打ち出していました。

トヨタ、医療現場や医療用品への支援を表明  2020年4月7日 発表

 トヨタ自動車は4月7日、トヨタグループ各社とともに医療現場や医療用品への支援を表明した。医療用フェイスシールド(防護マスク)の生産、人工呼吸器を始めとする医療機器の増産に対してトヨタ生産方式(TPS)のノウハウ活用などを検討していくというもので、生産活動に必要なマスクの自社内生産による自給自足への取り組みも発表した。こうした医療現場や医療用品への支援の表明は、「安全・安心を最優先に現場で戦っている方々、苦しんでいる方々の気持ちに寄り添いながら、私たちにできることを即断、即決、即実行していく」という、トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏の方針に基づくもの。現在、社会的な最優先課題となっている感染拡大の抑制や医療現場の支援に向けて、自動車産業が持つ製造・物流面でのノウハウや、グローバルに広がるサプライチェーンを活かし、さまざまな側面から対策を検討して迅速に取り組んでいくという。(後略)

 具体的には医療用フェイスシールド(防護マスク)生産や、医療機器増産への支援、患者のサポート、医療備品の供給などをあげており、国としても、これだけ「国策」に協力している大企業の本拠地がある県を「緊急事態宣言」の対象地にはしたくなかったことでしょう。そうして「名古屋とばし」が起きた。

 もちろん、トヨタのこれらの「対応策」は、決して「博愛精神」にもとづくものではありません。グローバルエリート企業に「人類愛」や「社会福利」ほど無縁なものはないし、中でもトヨタは劣悪な労働環境で有名。

 例えば;

(トヨタでは)長時間残業が、依然として野放しになっている実態が浮き彫りになっています。過労死・過労自殺で認定された労働者は合わせて158人(2018年度)で、前年度の190人よりは減っていますが、「過労死・過労自殺ゼロ」には程遠い実態です。 (http://toyotaroudousya.blog.fc2.com/blog-entry-3383.html)

 自社の労働者さえ守れない企業が、第三者に「慈善」をほどこすわけがありません。トヨタ労働者の過労死・自死は、認定されなかった分を加えると、コロナによる死者(4月5日現在で104人)より多いはず(なお、死亡の原因が「コロナウイルス」であることは、どの国でも確認もされていません)。

 トヨタはこれまで日本経済のけん引役でした。しかし、急激に進む少子高齢化でその成長路線に陰りが見える中、同社がクルマに代わる最大の成長分野として、「医療」分野に目をつけるのはごく自然な成り行きだったはずです。上の記事にも、同社が今後、「治療薬開発や感染抑制に向けた研究支援へ参画」し、「現時点では構想段階のものや着手直後のものも含まれており、トヨタグループとして可能な限りの協力をしていく」とあり、医療ビジネスへの野心を隠していません。それに、世界のグローバル企業はみなカネとNWO (New World Order)でつながっているから、トヨタの医療分野への進出にはいや~な想像を掻き立てられます。

2020.4.8

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/