ガレキ拡散、亡国政府

 先日、放射能で14000人死亡―アメリカの医学雑誌 (01/11) をアップしましたが、その医学論文がすごく叩かれているのを知りました。以下の日本語記事は、私の記事と同日に出ています。
 米国で1万4000人の死者?

 フクシマニュースレター、20120111  米国研究者がフクシマ事故の最初の数週間で米国において死者数が約14000人、そのうち一歳未満の乳児が約800人、予想されるよりも増えたことを確認したと、最近になってメディアで報道されています。しかしこの調査結果をよく調べてみますと、その結果が人工的にねつ造されたものであることがわかりました。調査の執筆者はフクシマ後に119都市の死者を調査で数えていますが、フクシマ前には104都市の死者しか計算に入れていません。全体で122都市の公式のデータを調査しても、フクシマ事故の影響は確認できません。最新の 放射線テッレクスの試し読みのお申し込みはこちら(独語)詳細は、アルフレード・ケアブライン氏の記事を参照ください。
 ここだけ読むと、マンガノ氏らの論文は全くうそっぱち、死者など出ていない、ということになります。記事はIPPNW(核戦争防止国際医師会議)の日本語ニュースレターで配信されたものhttp://www.news.ippnw.de/index.php?id=80#c927。ノーベル平和賞をもらっているほどの国際機関による強い非難、とくれば、私も書き直しを覚悟しました。ところが……
 「詳細」を知ろうにも、「アルフレード某氏の記事」のアドレスはなし、、「試し読み」はドイツ語でサインインが必要、HPもドイツ語のみ、さらに、IPPNW国際版(英語)には同記事はありません(私が見た限り)。
 で、検索をかけたら、意外なことが。
 「反原発派の医師」として有名なマンガノ氏は、ことあるごとに「推進派」から嫌がらせを受けていました(カルデコット博士らも)。下はごく単純なバッティングの例(氏の写真あり)ですが、サイト名は、「原発、どうぞ、やってよ」というところでしょうか。「http://nuclearpoweryesplease.org/blog/2011/12/21/3-strikes-and-youre-out-sherman-mangano-does-it-again/
 私の理解によれば、上の論文は政府の統計データを用いた分析であり、誰がやっても結果は同じなはず。マンガノ氏らは、放射能がダイレクトに死につながると言っているわけではなく、免疫系の低下・細胞異常などで多くの病気が誘発され、死に至った人がそれだけいる、と「推論」しているに過ぎません。
 しかし、この研究が意味しているのは、それらの「死」を誘発した放射能は、大気を経由してアメリカに達したという点。ガレキを焼却すると、放射能を帯びた汚染物質が大量に発生しますが、そこには人体に取り込まれやすい微粒子PMが多く含まれるのです。PMが越境大気汚染の主役であることは常識中の常識。ガレキの全量焼却―焼却灰埋立ORリサイクル―を推進している日本政府は、この研究結果にさぞ頭を抱えたことでしょう。・・・だから、こういう立派な組織を通じて、同論文の評価を貶める記事を出したのではないか、私はそう考えます。
 チェルノブイリの死者100万人。そのチェルノブイリより深刻なフクシマでは、すでに相応の死者が出ているはず。しかし、そんな数値は決して発表されず、現場労働者の死さえ「放射能とは関係ない」。そして今、日本政府は、「死亡率はフクシマも他の地域も同じ、汚染はない」と言い逃れするために、ガレキを拡散しようとしているのです。2012.1.19

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/