イレッサ訴訟の痛ましい「決着」に、日本は何も変わらない、と感じました。800人もの死者を出しながら、「助かった人もいる」との口実で、司法は被害者の訴えを切り捨てるし、訴えを起こした遺族は、製薬・医療業界にとことん嫌がらせを受ける。「いじめ」がはびこっているのは、何も学校だけではありません。
「教訓、今後に生かせ」=全面敗訴にイレッサ訴訟原告
時事通信
4月12日(金)20時12分配信
原告側の全面敗訴とした12日のイレッサ訴訟の最高裁判決を受け、東京訴訟原告団長の近沢昭雄さん(69)と弁護団が都内で記者会見し、「最高裁の判断は将来に禍根を残す過ちだ。国と製薬会社は改めて検証し、教訓を今後に生かす責務がある」とする声明を読み上げた。近沢さんは2002年に次女を亡くし、04年に提訴した。副作用の被害を訴えてきたが、「訴えれば訴えるほど、倍返しの批判を受けた。夜に寝られないほどの電話を受けた」と振り返った。厳しい表情を崩さず、「怒りはなく、淡々と受け入れた。闘いはこれで終わりにします」と述べた。一方、「日本の医療そのものが訴訟で変わったのではないか。表面上の敗訴だけで判断してほしくない。二度と被害を起こさないようお願いしたい」と語気を強めた。会見では「国は何人の死者を出せば目が覚めるのか。こんな薬事行政では必ずまた薬害が起こる。この裁判で止めたかった」とする大阪訴訟原告団長のコメントも読み上げられた。アストラゼネカの代理人弁護士も会見し、「裁判では勝ったが、(製薬会社側も)きちんと情報提供をしていくという使命が重要なことは、十分わきまえている」と述べた。
日本政府が他国にさきがけてアストラ-ゼネカ社の「イレッサ(ゲフィティ二ブ)を認可したのは2002年。日本政府としては異様な早期認可は、あるいは日本の患者を「実験台」にしようとの密約があったのかもしれません。下は認可時の報道。
■ 2002年5月25日 朝日新聞東京朝刊
◇ 新抗がん剤、日本が世界初承認へ
肺がん治療に期待、異例の早さ
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は24日、肺がん用の新型抗がん剤「ゲフィチニブ(商品名・イレッサ)」の輸入を承認する方針を決めた。7月上旬までには承認される見通しで、一般に新薬を認めるのが遅い日本が、世界で最も早く承認することになる。厚労省によると、英国アストラゼネカ社が開発した飲み薬で、正常な細胞も攻撃してしまう従来の抗がん剤と異なり、がん細胞のみを標的にするという。非小細胞肺がんに効果があり、重い副作用も少ないとされる。
今年1月に同社の日本法人(大阪市)が申請。ほかの治療法より有効との推定から優先的に審査され、異例の早さで承認方針が決まった。ただし、販売後も有効性や安全性を確認するため、国内で臨床試験するとの条件が付いた。
この後、イレッサは8月30日に、これも異例の早さで保険適用となり、それまで一錠9000円もした「夢の治療薬」に、多くの患者が飛びついたようです。しかし、それからわずか1ヶ月半後、アストラゼネカ社は、イレッサの副作用で多くの患者が間質性肺炎を起こして死亡しているため、服用に注意をうながす緊急安全情報を出し、患者たちの夢を打ち砕いたのです。
「副作用のない安全な薬・・・」なんて真っ赤なウソだったわけ。
なのに製薬企業が、過大広告や詐欺に問われることはないのよね・・・で、その後の経過は、エイズも、子宮頸がんワクチンも、みんな同じ。この国には、「責任を取らせるシステム」がないというのが最大の問題なのです。だから、後で泣くより、まず情報収集と学習を。
フクイチ放射能によるがん患者が今後も増えることが予想されるので、「イレッサ薬害被害者の会」のサイトは必見です。http://i250-higainokai.com/sinzita-iressa_yumenosinyaku.html
2013.4.17