どうしても「人為ミス」を通したい、鮫川村焼却炉爆発

 鮫川村の「指定廃棄物焼却炉」に対し、住民がようやく、事業の危険性を訴えて行動を起こしたまさにその日(鮫川村民、立ち上がる! 09/26)、環境省が動きました。「事故原因調査の概要」http://shiteihaiki.env.go.jp/samegawa/なるものを発表し、「住民の反乱」が報道されないようにしてしまったのです。この手も汚いけれど、調査結果はもっと汚い。

[事故の原因]

●詳細な原因究明の結果、事故の原因は、運転マニュアルに反し、主灰を排出する際に開放するゲート(仕切り弁)を「開」にした状態で焼却炉の運転を行ったため、
① 焼却炉の下部にあるプラグの隙間から可燃分を含む灰が主灰コンベアにこぼれ落ち、
② 主灰コンベア内や主灰サイロ内でくすぶって一酸化炭素等の可燃性ガスが発生し、
③ 閉鎖空間であった主灰コンベア内や主灰サイロ内に滞留して可燃限界濃度に達し、
④ 焼却炉からこぼれ落ちた灰が火種となって着火し、一気に異常燃焼し、
⑤ 主灰コンベア内の圧力上昇を招き、破損・変形に至った  ものと推定されます。

 記者発表資料(お知らせ)はこちら↓
 http://shiteihaiki.env.go.jp/pdf/q5_info_samekawa_130925a.pdf?var2
 

 要は、仕切り弁(ゲート)を開けたまま運転していたため、焼却炉下部の「すきま」からこぼれ落ちた「可燃物を含む主灰」から可燃性ガスが発生し、コンベアダクト内にたまって、何かに引火・爆発したということです。「圧力上昇による破損」なんて書いてるけれど、ふんじん爆発であることは否定できず、死者が出なかったのは不幸中の幸いとしかいえません。

 では、いったいコンベアにどれだけの灰がこぼれ落ちたのか? 可燃性ガスの濃度はどれくらいに高まっていたのか? コンベアは24時間動いているから、灰はそれほど大量になるはずはないし、可燃性ガスがずっと下部に滞留しているとも考えにくい・・・で、9月17日、環境省を取材し、これらの質問をぶつけました。ところが、担当官の原田氏は何ひとつ答えられないどころか、破損したケーシングの材料さえ知らないお粗末ぶり(日立に電話させたところ、鉄ではなくスチールとのことですが、まだ「アルミ」と報道しているメディアもあります)。施設のことも廃棄物焼却のことも放射能汚染のことも全く知らない連中が、企業に完全丸投げしているのが、「指定廃棄物焼却」です。

 
 なのに、「人為ミス」というのだから、おかしい。なんたって、作業員は、「焼却炉内で処理対象物を十分に撹拌することを目的として、8 月26 日以降、前日の主灰(もえがら)を炉内に一定量残したままで運転することにした」くらいだから、彼は「ゲート上部で灰が固まる状況」を見て、「自分の判断で」、あえてゲートを開けて運転していたわけ。つまり、すでに焼却炉の運転上、何らかの問題(欠陥)があったことを意味しており、この作業員の機転が、あるいはもっと大きな事故を防いだかもしれない、なんて、私は考えるのです

 また、環境省も、「 なお、第一次報告において、セメント混練機上部点検口を開けたままにしていたため主灰コンベア内も負圧になり、炉内から可燃性ガスが漏えいしたのではないかと推測していましたが・・・」と、第一報の誤りを認めています。さすがに、これは説得力がないというので、新たな原因をあげtるんですけどね、やはり私には創作にしかみえません。
 まさか環境省はこの「人為ミス」説を通して、多少の修理で再稼動しようというのではないでしょうが。もし、そういうことがあれば、「フクイチの再稼動」と同じです。
2013.9.29

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/