ごみ処理施設にリスクはない?―徳島市の虚偽説明

徳島市がHPで、現在進めている広域ごみ処理施設についてのQ&Aをアップしているのに気づきました。質問項目を見ただけで、住民にはほとんど何も知らせていないこと、むしろウソを吹き込んでいることがわかります。・・・

 

説明会時に寄せられたFAQ(よくある質問)

最終更新日:201941

·         なぜ飯谷町が最有力候補地になったのですか?

·         複数の建設候補地から選定したとのことですが、残りの候補地は公表しないのですか?

·         新たな焼却施設ではどのようなごみを処理するのですか?

·         ごみ処理施設は危なくないのですか?

·         ごみ処理の広域化とは、全国のごみを受け入れて処理するということですか?

·         災害廃棄物の処理とは、どのようなごみを想定しているのですか?

·         施設内で出た排水は、どのようにするのですか?そのまま川に流すのですか?

·         施設が建設されることで、地元住民の受けるリスクにはどのようなものがあると考えていますか?

·         新しい施設は民営化されるのですか?

·         煙突から排出されるガスの中に重金属は含まれませんか?

·         放射性物質に汚染されたごみが持ち込まれませんか?

·         新たに橋を架ける必要があるのですか?

 私の経験では、地元の人々が「なぜここが候補地になったのか」と質問するような計画では、すでに行政と地元有力者、事業者三者間で取引が成立し、住民にはぎりぎりまで何も教えないことが多いのです。行政や事業者は、公共事業を行うに当たっては「説明責任」を果たす義務がありますが、地元民が無関心、のんびりしている地域では、公務員は平気で義務違反、法令違反(自治法、各種環境法令、地方公務員法など)を犯すもの。住民は、飯谷が候補地になった理由、どこからどんなごみが来て、どのように処理されるのか、施設の危険性、健康や環境へのリスクについて知る権利があります。そのことを強く自覚し、行政に真摯な対応を要求し、質問には論理的科学的に答えるよう求めないと、事業は頭ごなしに進められてしまうでしょう。

以下、特にひどいQ&Aに山本のコメント★()をつけました。

 

Q施設が建設されることで、地元住民の受けるリスクにはどのようなものがあると考えていますか?

A : 煙突から排出されるガスは法令等の基準を満たすものとし、さらには自主規制値も設定するなど環境に配慮したものとするため、健康面や環境面への影響は無いものと考えています。一方、ごみ収集車両の通行による交通量は増加が考えられるため、搬入ルートを十分に検討し安全確保に努めます。

★ひどすぎ~リスクの種類の質問にまともに答えず、「影響はない」とウソの回答。そして「自主規制値」などでごまかしている。

 事実は、ごみ焼却炉は法的にも公害施設であり、大気汚染を招く最大のリスク要因です。ランセット(医学学術誌)委員会は、大気汚染は最大の死亡原因であり、年間900万人もが「若死に」していると発表していますが、ごみ焼却炉はその大気汚染につながる物質を毎日24時間、大量に吐き出しているのです。https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)32345-0/fulltex

 

Q:ごみ処理施設は危なくないのですか?

A: ごみの焼却において、煙突から排出されるガスは、排出前に急冷却を行うことで、金属類を除去したり、ばいじんや有害物質を活性炭に吸着させ、フィルターを通して除去するなどの措置を取り、国で定められた基準よりも大幅に下回る状態での排出に努めるなど、環境に配慮した形で排出を行っています。これらの数字については、ホームページで公開するとともに、近隣の住民の皆様にも定期的に説明を行い、理解をいただいており、現在の施設が建設されて以降、これまでごみ焼却を原因とする健康被害報告は、6市町で1度も受けておりません。次に、ごみ処理施設の煙突から排出されるガス中に、ダイオキシン類が含まれることを心配する意見を多く聞きます。ダイオキシン類は、炭素酸素水素塩素が熱せられる過程で生成されるため、昔から自然界に存在しています。紙や木、草であっても燃やすと生成されると言われています。平成27年度の現有施設から排出される、排ガス中に含まれるダイオキシン類の測定値は、法規制値5ng-TEQ/立方メートルN)に対して東部環境事業所が0.02ng-TEQ/立方メートルN)、西部環境事業所が0.009ng-TEQ/立方メートルN)であり、法規制値を大きく下回っており、健康に影響を与えるものではありません(以下略)

★「リスクはない」と言った以上、ごみ処理施設が危険だとは口が裂けても言えませんね。ダイオキシンのことを持ち出していますが、日本ではダイオキシン測定は年に一度、事業者自ら行うため、第三者の保障なし。この回答は焼却炉メーカーの売り文句をそのまま引き写しているだけの低レベル。話にならない。

★ごみ処理施設は土壌汚染や大気汚染、水質汚染につながる物質を垂れ流しているだけでなく、物理的な危険(爆発、火災、ガス漏れなど)もあります。でも、どんな問題も表に出ないような隠ぺい策が張り巡らされているため、その危険性に気づく人は少ないのです。

★ダイオキシンは「昔からある」ものではなく、人間の産業活動によって生成され、その最大の発生源がごみ焼却炉であることは、国際条約にも明記されている。だから海外では多くの自治体がごみの焼却を法律で禁止しているし、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/pops.htmlによって、ダイオキシン類の生成を抑えようとしているのです。「ごみを燃やす社会」である日本は、この世界の動きを完全に無視。長くなるので続きは明日。

2019.5.5

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/