黒岩神奈川県知事が、ふたたびがれき(魚網)の説明会をするそうな。懲りない人です。処分場の地元、大楠連合町内会(地元町内会長らで構成する任意団体)が、今年2月に出した「がれき受け入れ要請を撤回しろ」との文書を無視したわけだから、住民は以前にも増して怒るはず。
被災地漁網ごみ問題 黒岩知事が住民説明会
2012年11月3日
東日本大震災で生じた岩手県の不燃性の漁網ごみを、横須賀市にある県の最終処分場に埋め立てる計画案について、黒岩祐治知事が23日、同市で住民説明会を開くことが2日、地元関係者や県などへの取材で分かった。黒岩知事が7月、処分場の地元の大楠連合町内会役員に初めて計画案を伝えてから約4カ月、役員以外の住民への説明はなく、計画は全く進んでいない。
説明会に参加できるのは、大楠連合町内会員とその同居家族が対象。定員は約六百人で、週明けまでに連合町内会の全戸に案内が出される。事前に申し込みをした人に入場券が配られ、住民以外は入れない。大楠連合町内会の長谷川俊夫会長は「説明を聞いたからといって、受け入れるわけではない。住民の意見が一つにまとまることも難しいだろう。つらいところだ」と話す。
県外の廃棄物を受け入れる場合、処分場の建設時に県と連合町内会が交わした「県内の廃棄物に限定して受け入れる」という協定を変更する必要がある。しかし、長谷川会長は「協定の変更の手続きを相談したことはない。まず、受け入れ案に対する考えを決めてからだ」と強調した。県資源循環課の担当者は「受け入れ可否の決断の期限は考えていない。説明会は地元住民の理解を得るために開く。協定の変更は、まだ話をする段階ではない」と話した。一方、横須賀市の吉田雄人市長は週明け以降に岩手県を視察し、大楠連合町内会役員と面談する方向で調整している。黒岩知事は昨年12月、可燃性の震災がれきの焼却灰を県の最終処分場に埋め立てる計画案を表明。しかし、焼却灰は、がれきに含まれる放射性物質の濃度が濃縮されるため、処分場の地元住民らが猛反発。県は、ほとんど放射能汚染されていない漁網の埋め立て計画案に変更した。URL:www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20121103/CK2012110302000107.html
こういうことになったのは、連町が「現行の協定書は書き換えない」とは書かず、「焼却灰は入れない」としたため、県は「焼却灰以外ならいいと判断した」とのこと(9月22日、担当課回答)。「焼却灰は入れない」=「焼却灰以外なら入れてもいい」というのが行政的解釈なのですが、このことは連町側も承知していて、「以後、交渉相手は連町に限れ」との条件をつけていたのです。つまり、「別の案を出してよ、オレたちが窓口になるから」と伝えたわけですな。上の記事の長谷川会長というのが、この、疑惑の「撤回要請」の根回し役。以下は彼の発言の分析です。
〇「説明会を聞いたからといって受け入れるわけではない」
→→といっても、県は「地元の理解を得るために説明会を開く」んだから、長谷川氏が県の意を受けているのは否定できません。ほんとに反対なら、説明会そのものを拒否しますって。
〇住民の意見がまとまるのは難しい
→→協定書そのものが住民の意見を反映したもので、それは「県外のものは入れない」でまとまっているんですけどね。会長なら協定を守らんかい。
〇協定変更の手続きを相談したことはない
→→その他のことは相談しました、という意味。県も「まだその段階ではない」と同じことを言っているのは偶然か、口裏を合わせか。
〇(協定変更は)まず、受け入れ案に対する考えを決めてから
→→「受け入れるわけではない、まとまらない」などといいながら、受け入れ案に対する考えを決める・・・いったい、誰が、どこで、どういう手順で決めるの? 決定権があるのは、連町ではなく、各自治会の住民。そして決定の場は「総会」なんですけど。
【ポイント】
★ 説明会を一部の県民だけに限るのは、行政の平等の原則に違反します。県民は行政の費用を平等に負担しているんだから、誰でも当日、会場に入る権利があります。みんな駆けつけてね。
★ 事前申し込み、住民かどうかを確かめるというのは、一種の「秘密会」で公開の原則に反する。プライバシー侵害はもとより、情報がどう取り扱われるかも不明で、こういうチェック制度を盛り込んだ規定などないはず。
★ 横須賀市長には、この件で首を突っ込む権限なし。勝手な「調整」役は越権行為だからね。
・・・それにしても突っ込みどころの多い記事です。腹が立つのは、最後の「ほとんど放射能汚染されていない魚網」という表現。行政の言い分をそのまま書かないで、せめてカッコ書きしないと、新聞の信用性が問われる。2012.10.4
2012年11月3日
東日本大震災で生じた岩手県の不燃性の漁網ごみを、横須賀市にある県の最終処分場に埋め立てる計画案について、黒岩祐治知事が23日、同市で住民説明会を開くことが2日、地元関係者や県などへの取材で分かった。黒岩知事が7月、処分場の地元の大楠連合町内会役員に初めて計画案を伝えてから約4カ月、役員以外の住民への説明はなく、計画は全く進んでいない。
説明会に参加できるのは、大楠連合町内会員とその同居家族が対象。定員は約六百人で、週明けまでに連合町内会の全戸に案内が出される。事前に申し込みをした人に入場券が配られ、住民以外は入れない。大楠連合町内会の長谷川俊夫会長は「説明を聞いたからといって、受け入れるわけではない。住民の意見が一つにまとまることも難しいだろう。つらいところだ」と話す。
県外の廃棄物を受け入れる場合、処分場の建設時に県と連合町内会が交わした「県内の廃棄物に限定して受け入れる」という協定を変更する必要がある。しかし、長谷川会長は「協定の変更の手続きを相談したことはない。まず、受け入れ案に対する考えを決めてからだ」と強調した。県資源循環課の担当者は「受け入れ可否の決断の期限は考えていない。説明会は地元住民の理解を得るために開く。協定の変更は、まだ話をする段階ではない」と話した。一方、横須賀市の吉田雄人市長は週明け以降に岩手県を視察し、大楠連合町内会役員と面談する方向で調整している。黒岩知事は昨年12月、可燃性の震災がれきの焼却灰を県の最終処分場に埋め立てる計画案を表明。しかし、焼却灰は、がれきに含まれる放射性物質の濃度が濃縮されるため、処分場の地元住民らが猛反発。県は、ほとんど放射能汚染されていない漁網の埋め立て計画案に変更した。URL:www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20121103/CK2012110302000107.html
こういうことになったのは、連町が「現行の協定書は書き換えない」とは書かず、「焼却灰は入れない」としたため、県は「焼却灰以外ならいいと判断した」とのこと(9月22日、担当課回答)。「焼却灰は入れない」=「焼却灰以外なら入れてもいい」というのが行政的解釈なのですが、このことは連町側も承知していて、「以後、交渉相手は連町に限れ」との条件をつけていたのです。つまり、「別の案を出してよ、オレたちが窓口になるから」と伝えたわけですな。上の記事の長谷川会長というのが、この、疑惑の「撤回要請」の根回し役。以下は彼の発言の分析です。
〇「説明会を聞いたからといって受け入れるわけではない」
→→といっても、県は「地元の理解を得るために説明会を開く」んだから、長谷川氏が県の意を受けているのは否定できません。ほんとに反対なら、説明会そのものを拒否しますって。
〇住民の意見がまとまるのは難しい
→→協定書そのものが住民の意見を反映したもので、それは「県外のものは入れない」でまとまっているんですけどね。会長なら協定を守らんかい。
〇協定変更の手続きを相談したことはない
→→その他のことは相談しました、という意味。県も「まだその段階ではない」と同じことを言っているのは偶然か、口裏を合わせか。
〇(協定変更は)まず、受け入れ案に対する考えを決めてから
→→「受け入れるわけではない、まとまらない」などといいながら、受け入れ案に対する考えを決める・・・いったい、誰が、どこで、どういう手順で決めるの? 決定権があるのは、連町ではなく、各自治会の住民。そして決定の場は「総会」なんですけど。
【ポイント】
★ 説明会を一部の県民だけに限るのは、行政の平等の原則に違反します。県民は行政の費用を平等に負担しているんだから、誰でも当日、会場に入る権利があります。みんな駆けつけてね。
★ 事前申し込み、住民かどうかを確かめるというのは、一種の「秘密会」で公開の原則に反する。プライバシー侵害はもとより、情報がどう取り扱われるかも不明で、こういうチェック制度を盛り込んだ規定などないはず。
★ 横須賀市長には、この件で首を突っ込む権限なし。勝手な「調整」役は越権行為だからね。
・・・それにしても突っ込みどころの多い記事です。腹が立つのは、最後の「ほとんど放射能汚染されていない魚網」という表現。行政の言い分をそのまま書かないで、せめてカッコ書きしないと、新聞の信用性が問われる。2012.10.4