がれき受け入れと「地元詣で」

 引き続き、前回アップしたユーチューブの動画の「ウソ」についてコメントしておきます。動画には次のような解説(青字)が流れました。
 「横須賀市の最終処分場は、反対運動の中、『神奈川県内の廃棄物』しか持ち込まない」として地元の理解を得た経緯があるのです」
 http://www.youtube.com/watch?v=WPKGuft3RTs 
 ★「地元の理解」なんて得ていません。これが役員会の独断だったのは撤回なんかしていない! 神奈川県のがれき受け入れなどで書いたとおり。
 ★この処分場には特定の産廃しか入れない、とする協定書があり、がれき(一般廃棄物)焼却灰などを入れるのは改訂できる範囲を超え、契約違反となりますよ。この協定書の当事者は、役員会ではなく住民全部です。

 「それが今回、地元への根回しなしにがれき受け入れが知事によって表明されたのです」
 ★もちろん、「根回し」はありました。まず、副知事ら事務方が役員らを訪問しています。その結果、1月15日の現地説明会がもたれたのです。15日当日も、知事は別室で役員らと会談しています。
 ★ 公共事業に「地元もうで」はつきもの。これに接待攻勢、見返がセットになるので、一般市民はカヤの外に置かれることが多いのです。
 ★ それから一ヶ月、私たちが「ちゃんと反対して!」とのチラシをまくまで、地元「役員会」はだんまりを続けました。
 ★それが、突然、知事に「撤回要請」を提出。知事はこれを笑みを浮かべて受け取っています。「根回し」なしではありえません。
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 そういえば…三回の対話集会で、黒岩氏は、くりかえし「(芦名)の人々にご理解いただいたおかげで、処分場ができている」と述べていました。必要以上に何回も。その度に、ふっとうしていた会場が一気にシーンとなったのに、実に奇妙な感じがしましたが、これは、地元の人々に対する一種の威嚇(いかく)だったのですね…。詳しくは書きませんが、なかなかよく、社会心理を利用しています。
 一度、弱みを見せると、行政はそこにつけこみ、とことんふみにじるものなのです。原発を受け入れてしまった福島県の市町村は、結局、そこに住む人々から生きる場を奪い、自治体そのものの解体にまで追い込まれています。地方自治体の役目は、そこに生きる人々の健康と日常生活を守り、将来につなげることにあります。汚染を強いるなど、もっともやってはいけないことをカネで強行しようとしている政治って、何? 2012.3.15

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/