「風力はもういらない ネットワーク@秋田」

前記事の続き:

 前田建設はなぜ山口県では事業を強行しようとしているのか? そこには、政治的支援(政府と特定政党の支持)と企業的野心(国内最大級の洋上風発計画を完成させる)があるからだと思われます。だって再エネは国策事業であり、日本は「温暖化対策」として、一刻も早く洋上風発のモデルケースを成功させなければならないから。その「国策優先」を示すのが、裁判所の企業寄り判決です。民事訴訟ならまだしも、行政の許認可権がからむ裁判では、裁判官は迷わず権威とカネの方になびきます。第一、政治的に腐敗した国で、司法制度がまともに機能することはありません。

 では、その前田建設は、山形県ではなぜ「即刻」計画を引っ込めたのか? 察するに、東北地方の風発はすでに過剰気味なこと、表には出てきませんが、深刻な被害も出ていると想像できること、また、今回の計画への批判が他社の計画にも影響を及ぼしかねないことから、同業他社の注意もあったかも。そして何より、ここにきて東北地方の住民運動間に、ようやく「連携」の動きが出てきたのは大きかったと思われます。その連携団体が、「風力はもういらない ネットワーク@秋田」。

風力発電乱立に反対 住民らが団体設立 秋田

 秋田県で風力発電の乱立に反対している3つの住民団体が1日、「風力はもういらない ネットワーク@秋田」を設立した。

 3団体は「由利本荘・にかほ市の風力発電を考える会」(佐々木憲雄代表」、「AKITA あきた風力発電に反対する県民の会」(金森信芳代表)、「能代山本洋上風力発電を考える会」(中根慶照会長)で、会員は計約400人。

 秋田県内の風力発電は、沿岸を中心にした陸上部だけで300基以上の大型風車が稼働している。

 加えて1・5~2キロ沖の沿岸海域でも能代市・三種町・男鹿市沖と由利本荘市沖が国の大規模洋上風力発電構想の促進区域に指定されて事業化が進み、八峰・能代沖も促進区域の前段の有望区域に選定されている。事業化されると全高300メートル近い大型風車が数百基建ち並ぶ。同ネットワークは「まず事業化ありきで、国も県も地元の市や町も住民への具体的でわかりやすい説明をしないまま計画をどんどん進めている。海辺や高原の自然や景観が破壊され、住民の生活環境が脅かされている」と指摘する。

 そして「自分の家の周りに“風車が回る東京タワー”が建ち並ぶことを想像し、一人でも多くの人に自分の問題として考えてほしい」と訴える。同ネットワークでは、風力発電のさまざまな弊害について県内での啓発活動で連携し、最終的には大規模洋上風力発電の促進区域指定の撤廃をめざす。「隣の山形県でも出羽三山地域での大規模風力発電計画に反対運動が起きており、全国の反対運動とも連携を図りたい」としている。

 秋田県民には黙って耐えるというイメージがありますが、「地方の殻」を破って連係したのは素晴らしい。もっとも、同ネットワークは「風発反対」をあげているわけではありませんが、それぞれの地元では反対でがんばっている。

私達は、風力発電を考える会です。 反対派ではありません …

これ以上風車を増やしてほしくないとの共通の思い …

 ・・・この辺が甘いのね。だって「これ以上増やしてほしくない」のは、「ここまでなら許す」という意味だから。再エネはNWOの一貫(SDGx持続可能な開発目標)であり、エネルギーを通じて世界的統制を狙う仕組み(=もっともっと風発を増やす)です。従って稼働率とか二酸化炭素排出量論議はむしろ些末な問題。そのあたりの理解がないと、明確な反対は言えないのかもしれませんが。

offshore wind rough seas

洋上発電:https://climatechangedispatch.com/から

 忘れないようにしましょう。企業活動は利益のためであり、本音では二酸化炭素削減などどうでもいいのです(特に廃棄物処理は今後、地元で大きな問題になってくる)。そして、その企業が最も困るのは、独立した思想を持つ人々の団結と、確固とした反対運動です。2020.10.5

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/