昨日の記事では島根県宍道湖の話を取り上げましたが、その隣の鳥取県では、「知事主導」の「産廃処分場」問題に、動きがありました。「県独自の調査結果次第では(計画は)白紙」という、反対派住民なら目を剥くであろうニュースが流れたのです。
淀江処分場 県、独自の地下水調査 知事「結果次第では白紙」
2019.11.20日本海新聞 米子市淀江町小波での産業廃棄物管理型最終処分場建設計画を巡り、鳥取県は19日、地下水や水質、地質などの専門家でつくる調査会を立ち上げ、計画地の地下水が水源地に流れ込まないか県独自の調査を行うことを決めた。今後、住民説明会を開き、本年度中に予備調査、来年度に本格調査に着手する。 処分場の建設計画の法手続きで必須ではなかった地下水調査を県が実施し、調査結果を重視することで、安全性や公平性を担保する。調査会は各分野の第一人者をそろえる。 調査の実施に向け、県は総務部と県土整備部が担当する施設設置審査室を新設。調査会の運営や事業主体の県環境管理事業センターの設置許可申請後の審査など、これまで生活環境部が担っていた業務を審査室に移す。調査費などは11月補正予算案に計上する。 平井伸治知事は同日の定例会見で「調査の結果次第では従来の計画が白紙になる可能性もあると述べ、調査結果に重きを置く姿勢を示した。同センターは来年7月には県に許可申請する計画だが、県は調査結果を申請受理の判断材料にする考え。 同センターは「調査の終了時期次第では申請がずれ込む可能性もある」としている。
…でも、この見出しは住民にあらぬ期待を抱かせるだけで、「白紙もあり」なんてとんでもない。これまでの経緯から判断すると、県は事業実施に向けさらに一歩を踏み出したと考えるべきでしょう。
だって、知事はすでに、この調査についてに9月定例会本会議(10/9 )で触れているのです。
2019/10/10 https://www.47news.jp/4093360.html 日本海新聞
米子市淀江町小波での産業廃棄物管理型最終処分場建設計画を巡り、鳥取県議会は9月定例会最終日の9日の本会議で、県が提案していた県環境管理事業センターへの調査・設計支援費9600万円を含む本年度一般会計補正予算案を賛成多数で可決した。事業主体の同センターや県に「丁寧に調査を行い、説明責任を果たす」ことを求める意見を付けた。平井伸治知事は今後、事業計画を審査する前の段階で、地下水脈への影響など安全性を確かめる調査を行う可能性を示した。
「審査前安全調査」あるいは「安全性を確かめる調査」とは、知事の意を受け、「危険性などありえないとの前提で行われる調査」という意味です。従って、知事の指示通りの結論を出すことが決まっていると判断すべきです。
それが、昨日の記事では「地下水が水源地に流れ込まないか」「県独自の調査」と表現が変わっています(注:ほとんどの新聞記事は、行政のプレスリリースをそのまま流しているので、どの社も同じような表現になっているのです)。
「県独自」とは、いわば「平井知事独自」のことで、やはり「県の指示通りの結論を出すことが決まっている」ことを意味し、公正中立な第三者による調査のことではありません。当然、「各分野の一人者」も、これまでも公害事業をヨイショしてきたイェスマンのセンセイたちでしょう。学者・専門家とは、研究費と引き換えに環境・健康をめちゃくちゃにしてきた実績があり(ごく一部の例外を除き)、中でも悪質なのが○○審議会や長のポストについている連中で、彼らは政治的な結論を出すことでのし上がってきたのです。「本年度中に予備調査を終わらせる」とは、すでに「各分野の一人者」の人選も終わり、出すべき結論についてもおおむね同意が得られているということのはず。おおこわ。
県はさらに、法定されてもいないこの調査のために住民説明会を開くようですが、これはおそらく住民を「白紙」でたぶらかし、条件闘争に引き込もうとしているのでしょう。公害事業は最初から最後まで策略とペテンに満ちているものです。淀江の問題の闇も濃いし、住民はおおむね無知・無邪気。だからこそ、住民は「県独自調査」に踊らされず、米子市有地の問題、そして過去の違法埋立の問題(米子産廃問題、医療廃棄物の違法埋め立て、県市も共謀 (02/24)をしつこく追及するのがベストです。2019.11.21