経産省の「核ごみマップ」が各地に波紋を引き起こしているようです・・・
<核のごみ>最終処分場 東北は太平洋岸中心に「好ましい特性」
2017年07月29日土曜日http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201707/20170729_71023.html
経済産業省が28日公表した原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関する「科学的特性マップ」によると、東北は太平洋沿岸を中心に最終処分の候補地になり得る地域が存在する内容となった。内陸の火山周辺や日本海側の油田など鉱物資源がある地域は「好ましくない」と位置付けられた。東北分は地図の通り。「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」として適地に分類された面積が最も広いのは岩手県で、海岸から約20キロの地域は全て「輸送面でも好ましい」と最適な地域に色分けされた。宮城県は東北電力女川原発(女川町、石巻市)が立地する沿岸北部を中心に「輸送面でも好ましい」に分類された。青森県は原発の使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクル施設の立地を背景に、国から「最終処分地としない」と確約を得ているものの、沿岸の広い範囲が最適地となった。東京電力福島第1原発事故の被害に遭った福島県でも適地が示されたが、世耕弘成経産相は「福島には負担をお願いしない」と候補地選定から除外する考えを示した。
マップの要件・基準作りに携わった東北大災害科学国際研究所の遠田晋次教授(地震地質学)は「下北半島から福島県沿岸に至る太平洋岸には安定岩盤がある場所が多い。日本海側は地盤の隆起速度が速い所や油田があり、適さない場所が目立つ」と説明する。ただ、適地とされた地域にも不確定要素はあり、遠田教授は「マップはあくまで目安。活断層は地表の情報を基に考慮されており、新たに見つかる可能性もある。処分場の立地には地下の詳細な調査が必要となる」と指摘する。
◎海岸から20キロ、最適な地域
高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の科学的特性マップは、活断層の周辺や火山の中心から半径15キロの範囲などを「好ましくない特性があると推定される」地域とし、オレンジ色で塗った。油田やガス田、炭田がある地域も将来、掘り起こされる可能性があるため「好ましくない」に分類し、銀色で塗り分けた。一方、火山や活断層が周囲になく、地層や地質が安定していると期待される地域を「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」として適地に分類し、黄緑色に塗った。船による搬入に適した海岸から約20キロの範囲を「輸送面でも好ましい」とし、最適な地域として緑色で表示した。
マップと記事を見ると、「東北の核ごみ処分場は岩手へ」と言っているように思えるけど・・・・。そして、この発表で誰もが「えっ?」と思うのが、「海岸から20キロの範囲は好ましい」という部分でしょう。あの東北大地震がもたらした巨大な津波は、海岸近くに巨大建造物ーー原発や核・公害施設ーーを作るのは危ないという教訓を与えたと思っていましたが、それがまったく生かされていない。それどころか、しかも、このマップ作成に協力したのは、311後に設立され、地震・津波予測技術や防災研究などに取り組んでいるという「東北大災害科学国際研究所」(http://irides.tohoku.ac.jp/outline/history.html)のセンセイというから、さらに驚き。
この研究所のサイトには、「地震・津波・洪水などの自然災害を対象とした防災に関する研究・開発を行う研究開発部門と防災研究成果を社会に普及するための活動を行う研究成果普及部門の2部門で構成され」「研究開発部門には地震地域災害、津波学、災害ポテンシャルの3研究分野が、研究成果普及部門には、地域減災実践学と東北地区自然災害資料室の2研究分野がある」とありました。つまり、「防災」を目的にできた研究が、「安定岩盤」などという言葉を振りかざして、核のごみの地下埋設策に協力しているわけで、その矛盾と倫理観のなさに言葉を失います。
もちろん、彼らは国から今後の研究資金を約束されているのでしょうが、国に丸がかえされた研究機関など何の存在意義もありません。まともな研究機関だというなら、あの311地震が自然界では起き得ない四連発地震だったという「意味」を探求してみんかい。・・・それにしても原発ムラ、こんなところにまで手を回しているとは。2017.8.1