「指定廃棄物」も焼却へ

 前記事と関連しますが、環境省は放射性廃棄物の焼却方針を固めており、今後、呼気による内部被曝⇒がんも増加することでしょう。記事のマーカー山本。

指定廃棄物 茨城の分散保管容認 国、処分場建設転換
2016年2月4日 夕刊 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016020402000251.html
 東京電力福島第一原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物について、環境省は四日、水戸市内で茨城県内首長らと会議を開き、当面は処分場を
建設せず、現状のまま分散保管の継続を認める方針を伝えた。関東と東北の五県に一カ所ずつ処分場を建設する方針だったが、茨城では例外的に柔軟姿勢に転じる。
 分散保管の容認は初。環境省の提案では、指定廃棄物をコンクリートの容器に入れたり、水を遮断するシートで覆うなど、管理を強化する。国の予算で自治体に委託する。地元自治体が住民説明会を開き、環境省が説明する。茨城県内の指定廃棄物は、主に焼却灰や汚泥などで約三千五百トン。十四市町のごみ処理場や下水処理場など十五カ所に、暫定的に保管されている。県内の首長らは、これまでの会議で「処分場の受け入れは不可能だが、他の自治体にも押し付けられない」などとして分散保管を主張。放射性物質の濃度が低くなってから、一般廃棄物と同様に処分することで、昨年四月に意見が一致していた。
 政府は二〇一一年十一月、指定廃棄物の発生量が多く、既存の施設で処理しきれない宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の五県に、コンクリートで遮断する
処分場を新設する方針を決めた。しかし、いずれも建設のめどは立っていない。候補地になった自治体の一部には、分散保管の継続を求める声もある。丸川珠代環境相はこれまでの会見で「茨城県は指定廃棄物(に含まれる放射性物質)の濃度が低く、量が少ない上、一定程度まとまって保管されている。他県とは全く状況が異なる」と強調。茨城に対する分散保管の容認は例外としている。<指定廃棄物>1キログラム当たり8000ベクレルを超える高濃度の放射性セシウムに汚染された汚泥や焼却灰、稲わらなど。昨年9月末の時点
で、12都県に計約16万6000トンあり、福島県が約13万8000トンを占める。政府は、発生した各都県で処理する方針を決定。宮城、茨城、栃木、群
馬、千葉の5県では計約2万5000トンを保管している。

 なんと無能・無知な首長たちかーー自分たちが汚染したわけでもない廃棄物の処理を命じられても(各県に1ヶ所の処分場)、政府に抵抗もせず、「分散保管」を「容認」されたと喜び? 今後、濃度が下がれば各自治体の焼却炉で燃やしてしまうと言っているのだから。
 一方で、汚染者である政府・東電・原発メーカーは、放射性廃棄物を生み出した責任を何ひとつ問われておらず、かえって、その処理で儲けている。
 しかも、当初の計画がダメになったとみて、環境省はすかさず方向転換していました。

茨城の分散保管継続 環境省合意
毎日新聞
 東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物の処分を巡り、環境省は4日、茨城県と一時保管をしている同県内14市町に分散保管継続を容認する方針を示し、地元側と合意した。東日本大震災から間もなく5年、環境省は発生量の多い茨城など5県に1カ所ずつ堅固な処分場を造って集約する方針を転換し、現実的な解決策を選んだ。井上信治副環境相は会合後、残る宮城、栃木、群馬、千葉の4県についても「1カ所集約の方針は維持するが、それぞれ事情や要望が異なる。丁寧に話を聞きながら対応を検討したい」と述べ、状況次第で柔軟に応じる可能性も示唆した。
 一方、環境省は、指定解除の手続き方針も公表した。自然減衰によって濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下になった場合、環境省が解除し、市町村などが一般ごみと同様に処理できる。処理費用は国が負担する。指定廃棄物を保管している全自治体に適用する。
 環境省は茨城県との会合で、県内の指定廃棄物計約3500トンのほとんどが14市町15カ所の公的な施設で保管されていることなどから分散保管容認を伝達。その上で、国が費用負担し、保管場をコンクリート壁で囲うなど安全対策の強化▽国による住民説明会の実施▽地域振興・風評被害対策--を提示し、地元側からは大きな反対意見は出なかった。茨城県の橋本昌知事は会合後、「現実的な判断だ。1カ所集約といっても何年もかかる。その間に豪雨などが起きる可能
性も踏まえた結論だ」と述べた。【渡辺諒、玉腰美那子】

 事実上、時の経過とともに「指定廃棄物」をなくしてしまうわけ。
 ほんと、やめてよね。法改正もせず「方針」で汚染拡大につながる事業を決めてしまっては、もはや政府の体をなさないでしょう? さらに、「指定廃棄物」でこうなら、8000ベクレル/kg以下の廃棄物は、今後、何の考慮もされず燃やされてしまうことになるのは目に見えています。その結果、焼却排ガスに含まれるナノPMはさらに放射化し、全世界の人々に深刻な健康被害(肺がんだけじゃなく)を引き起こすでしょう。こうして日本は、さらに、地上最悪の汚染源になろうとしている・・・
 そして、日本には、焼却排ガスに含まれる有害物質を規制する法律がありません。発展途上国にだってあるのに、日本では焼却炉反対の市民運動がないため、意図的にその筋の法律が作られてこなかったのです。市民がなおざりにしている問題は、こうして市民を脅かすものとなって戻ってくる。私は社会主義派ではありませんが、「自由主義経済」下の政府は、市民監視がないと、限りなく犯罪組織化するものです。例外なく。2016.2.20

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/