長野県の処分場、排水を水道水で希釈

 ちょっと驚くような情報が入っています。どこの自治体も、広域組合も最終処分場から出る排水は「基準値以内」「安全」といいますが、市民がこうやって公害防止協定を結び、具体的な数値を取り決めない限り、ほとんどの処分場は「流しっぱなし」でしょう。誰も何も言わなきゃ、それで通ってしまう。

排水を水道水で希釈 松塩広域組合の最終処分場 /長野

中日新聞 http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20180804/CK2018080402000013.html

 松塩地区広域施設組合が管理する朝日村の最終処分場で、排水の水質検査を行う際、汚濁の数値を地元と結んだ協定の基準値内に収めるため、排水を水道水で薄める操作をしていたことが分かった。組合は七月から、同処分場への焼却灰などの搬入と、排水の下水道への放流を停止している。同組合は松本市、塩尻市、山形村、朝日村で構成。同処分場には塩尻市と朝日村から出たごみの焼却灰などを埋め立てている

 組合によると、二〇一三年十一月の検査で、水の汚濁度合いを示す化学的酸素要求量(COD)が、協定値(一リットル当たり七〇ミリグラム以下)を超える八三ミリグラムになった。その後、三〇~四〇ミリグラム台に下がったが、一四年九月に六八ミリグラムに再上昇したため、組合の当時の担当職員が管理業者に指示し、排水を希釈する操作を今年六月まで続けていた。排水は、村の下水処理施設の処理を経て河川に流されている。現時点で自然環境への影響は確認されてないという。COD上昇の原因は調査中で、処理メーカーと対応を検討している。組合の担当者は「改善策を住民に丁寧に説明し、理解を求めていきたい」と話した。

 今回の問題を受け、塩尻市は三日、今後の対応を市議会議員全員協議会に報告した。それによると、処分場への搬入停止により、処理できなくなった全量を三重県の民間の処分場に運び、埋め立て処理する。本年度の経費は約三千五百六十万円を見込み、うち朝日村の負担金は約百七十万円。市は民間処理業者への委託料を盛った補正予算案を市議会九月定例会に提出する。下水道への放流を止めた排水は、最終処分場内にある貯水施設にためている。(一ノ瀬千広)

 

 でも、焼却灰は産廃です。

 廃棄物処理法第四条 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物(後略)

 したがって、産廃を埋め立てているこの施設も産廃処分場ということになり、CODだけでなく、ダイオキシン値も重金属類も相当高いことでしょう。でも、市民も広域組合も、焼却灰は環境を汚染する毒物であるという認識がなく、「一般廃棄物処分場」は産廃施設ほど汚れていないとでも思っているのでしょう。

 でも、ここでは、それをいったん貯水施設に溜め込み、いずれ三重県の中央開発㈱に持ち込むということ自体、「焼却灰=産廃」を意味しているんですけどね。

 同じような問題が起きている鳥取県米子市では、一般廃棄物処分場に埋め立ててきた焼却灰を、今度は産廃処分場に埋め立てる計画ですが、その予定地は一般廃棄物処分場にしか使えないという「協定」があるため、計画が宙に浮いています・・・いずれにしても、ごみの焼却処理は環境を汚染する、燃やさないごみ処分をもっと勉強してよね。

 ちなみに、三重中央開発はこういう↓企業。経産省から「よい子」されているくらいだから、今後とも各地の汚染焼却灰などを喜んで受け入れることでしょう。

 

『地域未来牽引企業』に選定されました。

 この度、三重中央開発株式会社は経済産業省より地域経済牽引事業の担い手の候補となる地域の中核企業として「地域未来牽引企業」として選定されました。

■選定企業:全国2,148社

■選定方法地域における多様な事業活動を適切に選考するために、複眼的な観点からの評価に基づく丁寧な選考プロセスと、経済産業省の企業情報のデータベースから高い付加価値を創出していること等の定量的な指標に加え、自治体や商工団体、金融機関等の関係者から今後の地域経済への貢献等が期待される企業の推薦という2つの方法により、外部有識者委員会の検討も踏まえて選定。(経済産業省HP引用)

地域の経済成長を力強く牽引する事業を更に積極的に展開されることを期待されておりますので、我々はその期待に応えるべく成長していきます。

詳細http://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/chiiki_kenin_kigyou/index.html

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/