輪島市、がれきを違法搬入、「抵抗せな」

   気になる輪島のがれき搬入と試験焼却のニュースの続きです。結論を先に言うと、反対していた区長らは、輪島市に押し切られてがれき違法搬入を許してしまっています。その様子をIWJが伝えているのでご覧ください。ただし、電波状況が悪いらしく静止画面が多いです。6本の動画のうち、動きがあるのは4から。
【石川】輪島市の試験焼却用がれき搬入の模様



 2012年12月26日(水)、石川県輪島市の輪島クリーンセンターから、輪島市の試験焼却用がれき搬入の模様を中継した。輪島市職員は「明日の試験焼却の実施のため、なんとか搬入させてほしい」と説明、それに対し住民代表は「反対の意思に変わりはないのでなんとか再考してほしい」と訴えた。http://iwj.co.jp/wj/open/archives/46669
 元気のない区長連に比べ、おばちゃんたちの怒りの声がすばらしい。「こんなことを当たり前にしちゃいかん、みんなで抵抗せなねえ」。周囲の雪景色を一瞬、溶かしてしまうかのような強い言葉。地方の女たちがみな、こういう決意がもてれば、腐った政治風土も変わるはずですが。
 ところで、現地のブロガーはこの事件をこう↓伝えています。赤字筆者。
茶番!試験焼却中止の申し入れ
2012年12月26 | 震災がれき 今日の夕方、美谷町のクリーンセンターに震災がれき6.9トンが搬入された。
明日、試験焼却される予定である。今日の朝まで美谷町、光浦町は試験焼却であっても反対の方針を貫くことが確認されていた。多くの両町民にとってはまさに急転直下の搬入容認であった。上の写真(省略)は、がれきを積んだごみ収集車が到着後、ゲート内で行われた搬入反対の申し入れであるが、まさにセレモニーとしての申し入れであった。

副市長からの何とか試験焼却をさせてほしいという回答後、立壁区長はあくまで反対だと回答し、力ないガンバローをしたあと、ピケ線をあっさり解除してしまった。この時点で参加した住民の中には受け入れ容認の方針を知らない人もいた。当然阻止するものと思い、家で待っていた人の中には、搬入の知らせを聞いて「エッ!なんで」という声も聞かれた。
 
もっとも今月6日に輪島市が試験焼却の延期を決めて以降、あの手この手で切り崩しが試みられていた。特に美谷、光浦と私たち守る会の分断を狙ったデマも飛び交い、両町の区長の対応は確実に変化していた。

 最終的に今日阻止しても、明日も、あさっても搬入するまで繰り返されぞ、一旦受け入れたがれきは返せないと法律で決まっとる、逮捕者も出るかもしれないぞといった脅しや騙しの言葉にあっけなく屈した形のようだが、20日の美谷町と梶市長との話し合いも含め、市役所と両区長、さらにはおそらく輪島署も一枚かんで仕組まれた茶番劇であった。年明け後、試験焼却の結果をふまえた6000トンの本格焼却の阻止が大きな課題となる。http://blog.goo.ne.jp/wajimagareki/e/4210fdf4dca38befdf54fcc29ec78f85


 地元民には、区長らの突然の受け入れは「裏切り」にしか写らなかったでしょう。でも、地元メディアを含めた「受け入れキャンペーン」が強かった輪島で、美谷町の反対はウソではなかったはず。漁協などが(恥知らずにも)賛成に回っても、反対をつらぬき、議会陳情も出したほどですから(不採択となったけれど)。そして6日のバリケード・・・これに、行政は大弱り。
 で、こういう時、彼らがよく使う「奥の手」があります。行政組織が持っているあらゆる情報を統合して、地元リーダーの弱みを探し、それにつけこむやり方。あるいは強い影響力のある人脈を使って圧力をかけるやり方、または、家族への影響をほのめかす「脅し」、無知につけこむ「騙し」…警察情報も入っています。個人情報を特定目的のために使うという違法行為ですが、ターゲットになった人は抵抗できない。記事から判断する限り、ターゲットは一人ではなかったはず。
 同じように輪島市も脅迫されているのです。暮れも押し迫った雪の中(明日は仕事納め)、反対を受けながら違法事業を強行するなんて、普通はありえない。「年内に一箇所でも多くの地域で試験焼却を」「そうしないと、今後、地方交付税は出さんぞ」「これまでの支出も返してもらうゾ」なんて環境省の脅しが聞こえてきそう。とにかく不要な譲歩。再度、地元の反対意思を固め、来年に備えてほしいものです。2012.12。27

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/