自主避難、京都地裁が初の賠償命令

 2016年2月18日、原発事故「自主避難者」へ賠償を認める初判決がありました。集団訴訟ではなく、個人で起こした訴訟での勝訴であり、それはすばらしいのですが、判決内容には重大な疑義があります。また、東電がこの命令に従うかどうかも不明。
 
<福島原発事故>自主避難 東電に初の賠償命令
 
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18()1514http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160218-00000050-mai-soci
 ◇京都地裁 「128月末まで」と3000万円支払い命令
 東京電力福島第1原発事故(20113月)で福島県郡山市から京都市に自主避難した飲食店経営の40代男性と家族が、避難生活で休業を余儀なくされ、男性が精神疾患を発症して働けなくなったなどとして、東京電力を相手取り計約18000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。
三木昌之裁判長は自主避難継続の合理性が認められる時期を「事故による危険性に関する情報が十分開示されていなかった128月末まで」とする初の司法判断を示し、計約3000万円の支払いを命じた。
 原告側代理人の井戸謙一弁護士(滋賀弁護士会)によると、自主避難者への賠償が訴訟で認められたのは初めてとみられる。原告は原発ADR(裁判外紛争解
決手続き)で計約1100万円の賠償額を示されたが拒否して提訴。判決は、国の原子力損害賠償紛争審査会が賠償すべきだとして類型化した損害以外でも「個別的事情に応じて損害と認められる」と指摘、事故と精神疾患の因果関係を認めるなどした結果、認定額はADRを大きく上回った。避難者による集団訴訟が全国各地で起こされており、今回の判決が影響を与える可能性がある。
 判決によると、男性は郡山市に住み複数の飲食店を経営。夫婦で月約160万円の収入があった。原発事故で男性は妊娠中の妻や幼い子どもへの影響などを懸念し、2日後に家族や従業員と避難。各地を経て115月に京都市に移った。男性は飲食店の役員を辞め、避難先でコンビニ店などを起業しようとしたが果たせず、不眠などを訴えて家にこもりがちになり、働けなくなった。訴訟で原告側は「法令は公衆に年1ミリシーベルトを超える被ばくをさせないよう求めているが、郡山市の放射線量はそれを超えている」などと避難の必要性を主張した。
 
これに対し、三木裁判長は、国際的に合意された科学的知見などを検討した結果とし「年20ミリシーベルトを下回る被ばくが健康に被害を与えると認めるのは困難」と判断。「郡山市の線量は年20ミリシーベルトより低く、129月以降は、事故の危険性が残っているとか、情報開示が十分ではな
かったとは認められない」と結論付けた
。一方、男性が115月に不眠症、その後はうつ病と診断され、今も症状が続いていることについて、避難との因果関係を一定程度認定。訴訟が結審した昨年11月までの間、男性が就労できなくなった損害の4割について東電の賠償責任を認めた。妻の休業損害は128月末までとした。また、事故で生じた精神的
苦痛への慰謝料も男性で100万円、妻で70万円と算定した。関係者によると、この額はADRで通常認定される額より多いという。
 原子力損害賠償紛争審査会は、避難指示が119月に解除された地域について、12年8月末までを目安に賠償の対象とするとの指針を示した。これを受けて東電は同年12月、自主避難者への賠償についても、同年8月末までとすると発表した。今回の判決は、国の指針や東電の決定を追認した形だ。

 事故後、国は原発の半径20キロ圏内と放射線量が年20ミリシーベルト以上と見込まれる地域の住民に避難を指示。その外側の福島、郡山、いわき各市などから避難した人は自主避難者と位置づけられ、福島県によると約1万8000人と推定される。自主避難者に対しては東電が一定額を賠償しているほか、原発ADRでも賠償が認められている。【毎日新聞 鈴木理之】

 東京電力広報室のコメント 原発事故で広く社会の皆様にご迷惑をおかけしていることを改めておわび申し上げます。判決内容を精査し、引き続き真摯に対応します。
 ◇原発事故自主避難訴訟判決(骨子)
・年20 ミリシーベルトを下回る被ばくが健康被害を与えると認めるのは困難
・2012年9月以降、郡山市では年20ミリシーベルトを大きく下回り、自主避難を続ける合理性は認められない
・男性が発症した不眠症やうつ病は原発事故が原因の一つで、症状は現在も続き、休業損害が認められる
・妻は郡山への帰還が困難だった12年8月まで休業損害が認められる

 記事にもあるように、裁判所は「国の指針や東電の決定を追認した」のであって、決して司法として独立した判断を下したわけではありません。最悪なのが20mSv/yまでなら健康被害はおきないとしている点。つまり、「国際的に合意された科学的知見」とはIAEAなど国際原発・核マフィアの原発推進側データのみを採用している、という意味・・・これで「独立・中立」の判断と言えるかい!
 低レベル放射線被ばくによる健康被害は認めない一方、不眠やうつなど「精神障害」は認めているのも、国策、産業界の意図に沿った判断。男女で慰謝料に差があるのも、「生む性」への尊重と考慮に欠けており、差別に近い・・・これで誰も不満は述べないのか?
 自主避難者が賠償を求めようとすれば、こうやって長い時間をかけて裁判を闘わなければならず、ほとんどの人が入り口であきらめてしまうでしょう。避難者には「訴えの機会均等」も含めた、社会的・行政的支援が必要です。彼らに罪はないのだから。2016.2.21

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/