米子市の「ブラック」産廃処分場計画

 久しぶりのごみ問題。鳥取県米子市に持ち上がっている産廃処分場の計画は、ねばり強い地元住民の反対で先に進めない状況が続いていましたが、遂に、業者である鳥取県がしびれを切らし、鳥取県に設置許可申請書を出しました。

米子市淀江町の「産業廃棄物最終処分場」鳥取県に設置許可を申請 30年越し”の計画新段階へ2024/05/31 20:31 https://news.goo.ne.jp/article/tsk_tv/region/tsk_tv-2024053100015269.html 30年越しの計画が新たな段階に入ります。鳥取県米子市に計画されている産業廃棄物の最終処分場について、事業主体の第3セクターが31日、鳥取県に設置の許可を申請しました。
県などが出資する第3セクター・鳥取県環境管理事業センターの岡本康宏理事長が31日に県庁を訪れ、地域社会振興部の盛田聖一部長に、廃棄物処理法に基づき米子市淀江町に計画している産業廃棄物最終処分場の設置許可を求める申請書を手渡しました。
鳥取県環境管理事業センター・岡本康宏理事長:
安全対策など調整が整いましたので、今回の提出の運びとなりました。
県内に最終処分場がない状態を解消するため、県環境管理事業センターは1994年に設立され、2008年に米子市淀江町を処分場建設の候補地に選定しましたが、地元住民の反対もあり計画は難航していました。こうした中、センターは環境への影響がほとんどないとする県の調査結果や説明会などを通して地元住民との合意形成に道筋がついたと判断、県に設置許可を申請しました。30年越しの計画は、県がその是非を判断する新たな段階に入りました。
鳥取県環境管理事業センター・岡本康宏理事長:長い時間がかかったというのは事実だが、私どもも粘り強く丁寧に進めてきたつもり。引き続きお問い合わせ、ご意見については真摯に丁寧に対応していきたい。
鳥取県地域社会振興部・盛田聖一部長:
申請に対する処理期間が4ヶ月と決まっているが、そこは丁寧に審査する必要がありますので、いろいろな意見があると思うが、それに従って自然体でやっていけたら。

 とんでもない計画です。まず、土地に関して「黒い」部分が非常に多く、山本が初めて鳥取県庁に取材した時も、まともな答はほとんど返って来なかった。法律に基づいた計画なら、クリアな返答がなければおかしい。そして、アセス縦覧の際は、資料からこっそり何十ページも「抜き取っていた」ことが発覚、それを指摘してもすぐには出さなかった。説明会はもっとひどく、「ていねいに進めてきたつもり」どころか、一部住民以外は傍聴させない(アセス法違反)、質問に答えない(答えられない)、議事録を公開請求してもまともに出さない(情報公開条例違反)と、ルール違反オンパレード。現地住民はこんな痴呆実施体の県や米子市を相手に戦い続けてきたのです。

 最も腹が立つのは、この事業は、「県内に最終処分場がない状態を解消する」を目的に多額の税金をつぎこもうとしていること。必然性からではないのです。だから、県内どの企業がどれほどの産廃を出すかも把握していなかったし、おそらく今もそうでしょう。処分場が完成した暁には放射性廃棄物が持ち込まれてもおかしくない。またこの計画の事業主体は鳥取県出資の三セクで、そこが鳥取県の許認可を得るという、いわば「内部取引」的事業で、第三者の目など届かない。当然、公正、中立などまったく期待できません。

 特に懸念されるのが水の汚染。処分場は表流水も、そして大気も汚染し、その汚染が下流から日本海への流れ込むのです。そして予定地の淀江地区は、全国的にも有名な「名水の里」として知られている地域で、山本もたくさんの湧き水、泉に案内してもらいました。本来なら「清流条例」などを策定し、汚染事業の規制をはかるべきところですが、県は形ばかりの地下水調査を行い、「問題なし」との結論を出してしまったのです。何とか名水を守りたいという住民がこれを受け入れるはずはなく、「合意形成に道筋がついた」などウソです。

天の真名井(あめのまない) | 米子観光ナビ [米子市観光協会] 淀江町の「天の真名井」は、山陰を代表する名水! こんこんと湧き出す澄み渡る水は、1日に約2500トンもの豊かな水量を誇ります。. 環境庁が選定する「名水百選」にも選ばれ、生活用水、農業用水、ニジマス養殖など、地元の人々の生活に欠かせない資源 ..

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フランスでは「卵禁止令」、ひどい汚染のため

 実はここ数年、ごみ焼却+処分場による汚染は、以前考えられていたよりはるかに重大であることが明らかにされています。年々、何千種類もの新たな化学物質が使われていること、そしてそれらを含む製品がゴミになったら、平気で焼却していることが、汚染の原因。フランスでは、何百万人もの住民が「卵を食べるな」と禁止される事態に。以下→の記事からMillions in France warned not to eat eggs from backyard … – Euronews 2023年11月21日

フランスの保健当局は、イル・ド・フランス地域の何百万人もの住民に対し、家庭の鶏卵を食べないよう警告した。これは2022年2月の第1回目、2023年5月の第2回目に次ぐ警告で、土壌と卵が永久化学物質と毒素に汚染されていることが新たに確認され、警告対象地域もパリ都市圏を中心に410の自治体に拡大された。

 ToxicoWatch Foundationの2022年の調査では、パリにあるヨーロッパ最大の廃棄物焼却炉近くの家庭の鶏小屋で非常に高いレベルのダイオキシンが検出された。当局は現在、25の鶏舎で独自の調査を実施し、当初の警告を確認し、「パリと都心郊外の家庭の養鶏場の土壌と卵は、ダイオキシン、フラン、ポリ塩化ビフェニル、パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFASまたは永久化学物質として知られる)などの残留性有機汚染物質(POP)によって広く汚染されている」と発表した。(↓は卵食禁止令の対象地域)

The areas affected by the health authority's warning.

  PFASまたは「永久化学物質」とは、何千もの複雑な人工化学物質に付けられた名前で、焦げ防止のフライパンからトイレタリー、食品包装、消火泡まで、あらゆるものに使用されている。1950 年代にこの化学物質群の使用が急増して以来、PFAS は公衆衛生に対する脅威となっている。PFAS は、環境中に非常に長期間残留するため、永久化学物質として知られている。 PFAS の化学組成には、炭素原子とフッ素原子が結合した非常に強い結合があり、一部の化学物質は 1,000 年以上分解されない。地球上のあらゆる場所で、雨水も「永久化学物質」の汚染により飲用には適さないことが判明している。フランスの保健当局は、「数年間にわたり週に数回」定期的に摂取すると「慢性疾患を引き起こし、生殖機能や免疫機能の発達に影響を与える可能性のある内分泌かく乱効果」が生じると述べる。

 なお、警告が自家採卵だけなのは、調査対象が家庭だけだったのと、家庭の鶏は養鶏所の鶏よりも長く飼育され、汚染物質への曝露も長く、汚染濃度が高まるからだという。しかし研究者は、家庭の鶏は屋外の土の上で草や昆虫を餌として食べているため、これは卵の問題ではなく、私たちの環境における有毒な産業排出物による環境汚染の問題だ、さらに研究が必要だ、と述べる。***

 日本ではダイオキシン汚染問題はもう終わったと思っている人がほとんどでしょう。でも、それは世界最多のごみ焼却炉が集中する国では、企業利益が最優先されているため、問題が表面化しないだけ。そして、本来、汚染を止めるべき行政は、企業利益のために働き、環境と人間や動物の健康を犠牲にしている。鳥取県や米子市は、このダイオキシンや永久化学物質について把握しているのでしょうか? 市民はもう一度、この新たな情報を投げかけて答を求めるべきでしょう。2024.6.2

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/