知らされなかった核融合研の火災

 今回の岐阜ツアーでは多治見市と「核融合研の火災」について行政交渉しました。参加者の一人がその録画をアップしてくれたので、ぜひ見てください。①が20分、②が5分、➂が10分程度。公害施設を迎え入れてしまった自治体の職員の態度、思考形式がよくわかるかと思います

https://www.youtube.com/watch?v=ps4RZvN_hIY  多治見市役所1


https://www.youtube.com/watch?v=-A0vKNHMGL4 多治見市役所2


 念のためポイントを書いておきます:

  • 核融合研究所の所在地は、多治見市の東隣の土岐市ですが、研究所に一番近い滝呂地区は、多治見市にあるのです。
  • この地区は長年、強い反対運動を行っていたのに、ある時、突然、「もう反対しません」と白旗を上げ、実験に同意してしまった経緯があります。この間、核融研の所長自ら反対派に電話するなど、切り崩し工作を続けていたとのこと。
  • ちなみに核融研の前身は名大プラズマ研。初めは土岐市もその移転に反対していましたが、今は「夢の技術」を大歓迎、大賛成。放射線廃棄物等(放射性物質含む)の持ち込み、発生を禁止する条例があるにもかかわらず、それは無視するという違法行政が続いています。この件は多分、実験差し止め訴訟等に発展するでしょう。
  • そんな核融合研で、今年(2015)8月4日に火災が発生、作業員一名死亡。原因不明。最終的な事故報告書は出ていません(核融研は自前の報告書を出している)。
  • ところがこの火災事故の情報が滝呂地区には流れなかった。核融研は関連自治体に事故の発生及び鎮火を報告したけれど、その情報は「行政の判断で」遮断されたわけです。
  • そこで、その理由を聞き、住民の「知る権利」を保証するよう求めて行政交渉したのですが…

 とにかく態度が悪い。無知なくせに傲慢で横柄。批判すると、席を立って帰ろうとするし(帰ってみろって)、私に見せた書類のコピーを要求すると、核融研に電話して「出せない」という。核融合研の事業に根拠法はないと断言(無法事業だった…)。
 自治体は正しい情報伝達を最優先すべきですが、情報を握りつぶしたことを恥じるどころか、今後は県と3市で事故情報をレベル1とか2とかに分類して情報を流すことを考えているようです。これは、核融研の都合に合わせ、住民がパニックを起こさないような情報だけを流すという意味。私はそんな情報操作のための防災計画の策定は止め、今ある地域防災計画に、核融合研の情報を生のまま流すよう求めました・・・現地の人が求めればもっといいんですけどね。
 それにしても、行政はフクイチで起きたことーー政府や東電の情報隠しによって住民が被爆を強いられたーーに何も学んでいません。今の日本で最優先で取り組むべきは、汚染の拡大を阻止する、汚染源を増やさない(再稼働・原発新設・放射性ごみの焼却を禁止する)ことです。たかがお湯をわかすために、この先、また放射線を発生させるのがなぜ「夢の新技術」か。反原発派の方々、ぜひ核融合にも目を向けてね。2015.11.21

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/