環境省の早わざ、改悪施行規則がもう施行された!

 先日、パブコメ出した(放射能汚染特措法施行規則改正案への) でお伝えした件ですが、パブコメ締め切りから4日後の2012年4月13日にはすでに公布・即日施行されていました。
 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15114
 公布は今月末くらいかと思っていたのに、驚くべき早わざ! 重大な結果を招きかねない改悪が、閣議決定だけで施行されるのは、住民の権利侵害になります。野田政権は私たち納税者を道連れ意、がれき広域処理、大飯原発再稼動と危険な道へまっしぐら。これが政府って言えるか!
 上の通知には次のような補足説明があります:
● 警戒区域等では、事業所付近が一定の空間線量以下であること等を条件として、市町村等が基準に適合していると認める場合に事業活動を再開することができるとされています。 
● 今回の施行規則改正により事業者が自ら処理を行うこととなる廃棄物は、上記のような手続を経て十分に線量の低い事業場で行われる事業活動に伴い生ずるもの(製造工場で生ずる原材料の切削くずや事業所で生ずる紙くず等)が主に想定されます。 
● 環境省が実施した安全評価では、8,000Bq/kg以下の廃棄物については、特別な処理方法をとることなく、住民・作業者のいずれにとっても安全に処理することができることが確認されています。今回の施行規則改正により、事業者が自ら処理を行う廃棄物も、特別な処理方法をとることなく、住民・作業者のいずれにとっても安全に処理することができるものと考えられます。 
● 仮に、事故由来放射性物質の放射能濃度が8,000Bq/kgを超える廃棄物がある場合には、指定廃棄物として国が処理を行います。 
● なお、警戒区域等内の災害廃棄物(がれき)や、放射性物質汚染対処特措法に基づく除染に伴い生ずる廃棄物は、今回の施行規則改正の対象ではありません。これらの廃棄物は、今回の施行規則改正にかかわらず、国が処理を行う対策地域内廃棄物になります。


 下線部の意味を平たく言うと、今後、警戒区域などで発生する産廃は、この法律で安全とされるから、フクシマ以前の方法で処理していいよ、ということ。あ、それから、これからやることだから、安全なんて「確認」されてもいないし、「安全に処理できると考えられる」のもウソ。でも、経済振興のためなら日本ではウソも法律。ほんとにすごい国になってしまったんだ・・・・・・これが戦後政治の帰結ですが、最後は、議員や公務員に厳しい任期制を導入するところまでやらないと、治癒は無理でしょう。
 でも、この改正案に全国から5273通という異例の数の意見書が出されました。パブコメ期間わずか7日間、しかも法律ではなく、施行規則に対する意見書ということを考えると、これは快挙です。普通、法律へのパブコメだって100もあれば多いほうだから。 
<主な意見>
・汚染された廃棄物を警戒区域等の外に持ち出して処理を行うことは反対である:2041件
・災害廃棄物(がれき)の広域処理に反対である(※):1540件
・汚染された廃棄物は、東京電力又は国が処分すべきである:1041件
(※)災害廃棄物は今回の施行規則改正の対象でないため、本意見募集の対象外の意見です。
 パブコメの詳細は以下で見てください。反対意見がほとんど。回答はハンで押したような文のみ。
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=19740&hou_id=15114
 悪法も法。今後、警戒区域内で事業活動を行う業者に厳しい目を向ける、事業を行わせないなどの取り組みが必要です。一方で、悪法の廃止も求めてゆかないと。でもね、がれき広域処理にはその悪法さえないんですよ。この記事、アップを忘れていました。2012.4.15

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/