12日、NHKの「クローズアップ現代」は、都市部の焼却炉や公共水路でおきている放射能濃縮を伝えていました。例えば茨城県守谷市の親水公園では1.3μシーベルト/時、そして、そこに流れ込む人工河川では3.8μシーベルト/時と避難が必要な値を記録していました。また千葉県柏市の焼却炉では、焼却灰の放射能濃度は、埋め立ての目安である8000ベクレルを十倍近く上回る7万800ベクレル/Kg。焼却灰を入れたドラム缶の表面も、4μシーベルト/時と避難が必要な数値で、職員は今や放射線防護服を来て処理にあたっているとか。(テキストはここから→全文読めます。 http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3133)
ほら、見たことか。
ところが番組は、これを「新たな脅威」「なぜ高濃度の放射性物質が検出されるのか」と、まるで初めてわかったかのように言っているのですね。でも、ごみ焼却炉が有害物質の生成・濃縮装置であるということは周知の事実であり、この番組はまったく誠実ではありません。たとえば、ダイオキシン問題の解決として、国はガス化熔融炉など高温炉を推進してきましたが、これは、有毒物質を「濃縮して、閉じ込める」手法。ただし、外部排出分は「バグフィルターに補足されるとして」無視されます。「焼却炉の神話」は国家ぐるみのペテンであり、焼却炉は毒ガス発生装置に他なりませんが、まだ「クリーンセンター」だと信じている人は少なくないかもしれません。どうぞ拙著「ごみを燃やす社会」をお読み下さい。
環境省はそういう「焼却派」のたまり場です。だから、今回もすぐに「放射性廃棄物の広域焼却処理方針」を打ち出しています。番組に出ている東大の森口教授も「高効率発電併設の高温熔融炉」の支持者ですが、彼の主張は、むしろ地元で新施設を建設し、焼却・発電を行なうというもの。すでにどこかでひそかに実験が進められている模様です。
女川町のがれき東京に到着 清掃工場で試験焼却へ
焼却炉が原発化する
この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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