民営化されるごみ処理施設

 三重県四日市市の新ごみ処理施設は、今回、すべて民間の経営となります。施設ではコンピューター技術を駆使した「洗脳装置(ごみの焼却処理は安全だ)」を備え、みなさま方のおいでをお待ちしています・・・こう、茶々を入れたくなるヨイショ記事。

 

プロジェクションマッピングで見学コースを演出、四日市市のごみ処理施設

山田 雅子=ライター【2016.6.20】 四日市市のごみ処理施設「四日市市クリーンセンター」は、小学生を中心とした見学者に向けて、ごみ処理の設備や技術を紹介し、循環型社会への理解を深め るための見学コースを整備・稼働している。施設の稼働は2016年4月。一般見学に加え、5月下旬からは市内の小学校の社会見学の受け入れを本格的に開始 している。(中略)四日市市クリーンセンターは、市内唯一のごみ焼却施設だった北部清掃工場(旧施設)の老朽化に伴い、これに替わる新たな焼却施設として公設民営のDBO 方式で整備されたもの。旧施設は、可燃ごみの処理だけを行っていたが、四日市市クリーンセンターは、焼却施設のほか不燃ごみ、粗大ごみの粉砕処理施設を備 えた総合ごみ処理施設だ。旧施設の敷地を含む約12ヘクタールの土地に整備された。総合評価一般競争入札により、応募三者の中から新日鉄住金エンジニアリングを代表とする企業グループが、施設の設計・施工と施工後20年間の運営を受託した。現在、新日鉄住金エンジニアリングらが出資する特別目的会社、四日市クリーンシステムが運営している。見学コースの空間や映像システムの設計と施工、映像コンテンツの制作は、新日鉄住金エンジニアリングによる施工の一環で、シンク・デザインが手掛けた。見学コースは、計画から竣工まで約2年を費やして準備した

 

 正確な住所がなく、検索してやっと旧施設の南側隣接地に作ったことがわかりました。このことからして、すでに、この事業には何かしら問題があることが見えてきます。ほとんど同じ場所だから、本来なら大きな反対があるはず。そこでさらに20年、公害事業を行ない、事実上民営化したため(四日市市は新会社の株主でもなく、発言権を奪われている)、本来なら公害防止協定を結ばなければなりません。行政と企業は、おそらく環境基本法にもとづく「環境保全協定」を結んでいるはずですが、環境保全協定は公害防止協定とは根本的に違い、住民保護のためのものではなく、企業・行政を守るためのものです。契約書は見ていませんが、海外では、こういうごみ処理事業者と契約した場合、市民はごみを「出す」義務を課せられ、ごみが足りないと、他の市町村(海外からも)からごみを「買う」こともあり得るのです。

 

 これが、世界の十代公害で必ず出てくる「四日市ぜんそく」で苦しんだ町の選択肢とは信じられません。

 焼却炉はナノレベルの有害化学物質を休みなく吐き続ける大気汚染装置であり、その健康被害は広く知られています。また、大量の物質を高温で焼却する地球温暖化装置でもあります。だからこそ、海外では「健康被害帽子」「大気汚染防止」「温暖化防止」など、多くの理由をあげてごみ焼却及びごみ焼却炉の禁止を求める運動が活発化しているというのに、なんと時流に逆らった政策か・・・

しかも、小学生にバーチャル画像を見せて「ごみ焼却の安全性」を刷り込む? ・・・これって詐欺ですね。「原発が安全」「核融合(岐阜県)が安全」というのとほとんど同じ。

 

 幼児・小学生は、特に汚染の影響を受けやすいのです(中でも男児)。汚染装置からなるべく遠ざかっていなくてはなりません。もちろん、離れたところでもナノPMを含む汚染大気からは免れられませんが、施設には廃棄物の物理的破壊によるその他の化学物質が充満しており、危険性がより高まるからです。四日市の親たちは、小学生をごみ焼却炉見学に行かせないような運動をしないとね。その前に、四日市公害のことを勉強しなおしていたら、こういう施設にはノーを言えたんじゃないか。2016.6.21

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/