放射能汚染ごみのゆくえ






 原発の最大の問題は、「放射性廃棄物(核のごみ)をどうするか」ということでした。どう処理すればいいか、誰にもわからない。だから「トイレなしのマンション」なんて言われているのです。この一点をとっても、原発の導入は誤まった選択でしたが、今、自公民の中にこんな↓動きがあるそう。(下線筆者)
汚染がれき、国直轄で処理=新法策定へ調整-民自公有志


 民主、自民、公明3党の有志でつくる「日本の復興と再生を実現する議員連盟」(復興再生議連)は17日、福島第1原発事故により放射能に汚染された土壌の改良やがれきの処理を国直轄で行えるようにするため、新法を策定する方向で調整に入った。3党の執行部に働き掛けた上で、22日までの会期の大幅延長が見込まれる今国会に提出し、成立を目指す。現行の土壌汚染対策法や廃棄物処理法では、放射性物質に汚染された土壌や廃棄物には対応できない。このため福島県などでは、原発事故により放射性物質が付着した土壌やがれきをどう処理するかが大きな問題となっている。復興再生議連が検討している新法では、汚染がれきについて市町村に代わって国が処理作業に当たることができるよう明記。汚染がれきの処分に関する基準を新たに設け、これに適合する事業者を国が認定する。土壌に関しても、放射能に一定以上汚染された地域を「要措置区域」に指定。国が都道府県に代わって除去作業に当たることができるようにする。時事通信 618()232分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110618-00000009-jij-pol

  ごみといえば「燃やす」としか考えない連中が考える法案です。適当な基準をでっちあげて、ごみ処理施設をもつ自治体に、かたっぱしから放射能汚染ごみの焼却を命じる制度を作るのではないでしょうか。自治体を「産廃処理業者」として認定し、事業として(費用を国が支払う)形になると思いますが。 →→→ でもこれは憲法違反。ごみの処理は自治体にまかせられた「自治事務」ですから、国は強権で命令することはできないからです。それに、自治事務とは、その地域の住民の意思を体現し、必要な事業を行うところ。当然、住民意見を尊重しなければなりません。
 フクシマからかなり離れた地域でも、下水汚泥に放射性物質が発見されていますが、これは氷山の一角で、実際はかなりの汚泥がすでに焼却され、環境を汚しているのではないかと考えられます(下水汚泥の焼却-スラグの再利用は国策)。今後、放射能汚染ごみにも焼却処理を認めてしまうと、日本の環境はおそらく住むに耐えないものになるでしょう。
 原発とごみ焼却炉はとてもよく似ています。双方とも深刻な環境影響、人体被害を与える。原発の放射能は、焼却炉のダイオキシン。排出が続く限り、環境と人体に蓄積し続けるので、住民は常時、「汚染」にされされることになるのです。どうぞみなさん、この法案のゆくえを注意しておいてください。2011.6.19

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/