放射能で14000人死亡―アメリカの医学雑誌

 311からもう十ヶ月。フクシマで、また作業員が死亡したとのニュースが入っていますが、東電も政府もメディアも、「放射能は関係ない」「放射能で死んだ人は一人もいない」という恥知らずな態度をくずしていません。
 一方、アメリカでは昨年12月、フクシマの放射能汚染による死亡者を14000人とする推計が発表されました。疫学者のジョセフ・マンガノと内科医・毒理学の専門家であるジャネット・シャーマンの両氏が医学雑誌『International Journal of Health Services』12月号に発表したもので、それによると、フクシマのメルトダウンから14週以内に(放射能の影響で)死亡したアメリカ人は約14000人。これは1986年のチェルノブイリの事故後、17週以内に死亡者数16500人に匹敵する数字とのことです。中でも、放射能の影響が最も強い胃のは一歳以下の乳幼児。2010-2011春季の乳幼児死亡率は、それまでの14週の8.37%減少に比べ、1.8%上昇していました。
 アメリカでは、フクシマの事故からわずか六日後に、アメリカ大陸に放射性物質が到達したことが確認され、その後、アメリカ環境庁も大気、水、牛乳に、基準値の何百倍にも達する放射能を計測したのでした。同じ時期、日本は「安全、大丈夫」の大合唱だったっけ。
 記事にはアメリカ各地に降った雨に含まれる、ヨード131の最高値も示されています(平常値は2ピコキューリー/リットル)
 ボイズ、アイダホ州       390
 カンサスシティ       200
 ソルトレイクシティ     190
 ジャクソンビル、フロリダ州 150
 オリンピア、ワシントン州    125
   ボストン、マサチューセッツ州 92 

 「放射能と公共衛星プロジェクト」理事でもあるマンガノ氏は、「これはフクシマの健康影響について、科学雑誌に初めて発表された論文だ。我々は(事故の影響を)とても心配している。フクシマが日本と世界に及ぼす本当の影響を理解するために、今後も健康調査を続けなければならない。そこで得られた発見は、現在進行中の議論――新たな原発を建てるかどうか、古い原発の稼動時期をどれくらいにするか――にとって、非常に重要な意味を持っている」と述べています。
 また西ミシガン大の副教授で、『チェルノブイリ―人と環境に対する災難の影響』の編著もある
ジャネット・シャーマン博士は、「私たちの研究によれば、実際の死亡率は18000を越えるだろう。同じ時期(直前14週)に比べ、インフルエンザや肺炎による死亡が五倍にもなっているからだ。全年齢で死亡率は増えているが、幼児への打撃が一番強い。幼児は細胞分裂が活発で、免疫機構が未発達なため、放射性同位元素の(影響する)比率が大人より高いからだ」と述べています。
 アメリカ政府「疾病統御予防センター(CDC)」は、人口10万人を越える122の都市における死亡週報を出していますが、そこでも、フクシマの放射能がアメリカに到達した後の3月20日から6月25日までの14週における死亡率は、2010年同期に比べ4.46%増加しています。この時期以前の増加率は2.34%に過ぎず、そこから「余分な死」の14000をはじき出したようです。まあ、日本では「笑っている人には放射能は来ない」とのたまうセンセイでも「放射能医学の専門家」で通りますから、きっとこういうリポートも完全に無視することでしょう。議員を動かして、論文を研究させるべきですが。
 出典はこちら→http://www.radiation.org.マンガノ博士とシャーマン博士の音声の説明、Q&Aも聞けます。・・・これを聞くと、少なくとも日本の魚は子どもには食べさせたくないと思いますね。2012.1.11

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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