撤回なんかしていない! 神奈川県のがれき受け入れ

  読者から「神奈川県はがれき受け入れを撤回して、よかったですね」というコメントがありました。ん? 撤回? してませんよ、そんなの。あわてて言われたツイッターを見たら、確かにそう書いてありました。それもひとつではない……ありゃ、ま。
 撤回した、なんて誤解だって!確かに、処分場のある現地町内連合会の役員は、いったん県と手打ちをして見せてはいますが、役員氏は知事に対して、はっきりと「100パーセント拒否ではない」と述べています。100%反対じゃございません
 さらに、BSフジライブ、プライムニュースが2月24日に流した『細野豪志環境相に聞く:進まぬがれき処理問題』という番組を見ると、状況はもっと危なくなっていることがわかります。http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d120224_0 (発言は簡略化しました。赤字筆者。)    
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 「(がれきを目にすることによる)精神的な問題が一番重要」
  …つまり、「量」は問題ではないわけです。
 「岩手と宮城は放射能の心配はない」
  …放射能は岩手と宮城を迂回したらしい。北海道でも九州でもセシウムが出ているのに。
 「最近、賛成派が増えてきた。原発事故を起こした責任から、あきらめず(広域処理)を訴えかけてゆきたい」(環境相)
 …こういう事業に賛成できるのは、処理業や関連業界の関係人が多くて、常識ある一般市民はごく少数なのでは。軍国主義への道もこうやって敷かれたのかも。ぶりっこおっさん。
 「(全国の)ブロックごとに強制的に処理を割り当てたらどうだ」(元岩手県知事増田寛也)
 …今は野村総研勤務とか。公の立場ではできない発言。それを平気で煽り立てる。毒蝮おっさん。 
 「最後の最後は、しかるべき立場にある人が(広域処理に)踏み出していただけると信じている。もう少しというところまで来ているような感覚もある」(環境相)
 …何回も打った新聞全面広告と、地方に落ちるカネのお約束が効き目をあらわしているのでしょう。
 「100ベクレル以下は、法律的に放射能に汚染されていないという意味だ」(黒岩神奈川県知事)   
 …まだ言ってる。シナリオおっさん。
 「今後二度と交渉しない、といわれてしまったら、これはつらいなと思っていたのですが、あそこ(相手)は町内会の連合会。ひとつの町内会とではなく、連合町内会と話を続けてくれと言われたのが救いでした。ひとつの窓口を用意してくださったので、この間まで出していた案は一応取り下げて、もう一回知恵をしぼり、改めてご提案をさせていただく。今度は静かな環境の中でじっくり話会いたい」(黒岩知事)
…何の話を続けるかって? もちろん受け入れ条件や見返りなどを取り決めるのだ! これほどの証拠があがっているのに、「撤回した」なんて情報をばらまかないでほしい。
       
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 この町内会は、処分場問題の時だって、県の接待攻勢にはまり、十万の反対署名を反故にして、独断で建設を受け入れてしまったという過去があります。その責任は誰も問うていないから、歴史は必ずくりかえす。 
 *芦名町内会役員が町内会員に協定を結ぶと、回覧2002.7.7
 県より接待を繰り返し受けたことへの経過、及び、協定を結ぶかどうか住民説明会を開くこともなく、「アンケートで集計した安全への申し入れ」を協定を結ぶことにすりかえ、県の着工を進めようとする芦名町内会役員の行動は許されません。
 http://www.cam.hi-ho.ne.jp/s-kangaerukai/katudoukeika.htm
  横須賀市芦名地区産業廃棄物最終処分場を考える会

 この処分場について、黒岩氏は上のビデオで、「じっくり話を続けた中で、じゃあ、わかりました、と。ですから最終処分場ができている。だから私は(今回も)悲観はしていない」そうです。すでに大きなすり替えが。法律の根拠を持たないがれき広域処理に、「民主的な手続き」なんてありえないことを知って下さい。国策で決まったものを、あの手この手で受け入れさせるだけ。今、この段階で問題をきちんとしておかないと、がれきを燃すのは、各市町村の焼却炉なんですよ。
 
 おまけ:ふくいちライブカメラ は今日も停止中。火災は収まったのか? よほど見せられない事態になっているのでしょうね。 2012.3.8
 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/