御前崎の砂丘に巨大産廃施設

 静岡県御前崎市で、大型の産廃焼却施設計画が進んでいます。それに反対する市民が、市に住民投票条例案の直接請求を提出し、議会はそれを審議中とのことですが・・・ちょっとチェックしたら、なかなかすごい「ウラ」がありました。

御前崎市

大型ごみ焼却施設計画 住民投票、成立要件で対立 市議会委 /静岡

会員限定有料記事 毎日新聞201983日 地方版

 御前崎市議会の産業廃棄物処理対策等調査特別委員会は2日、大型ごみ焼却施設に関し、建設の賛否を問う住民投票条例案についての4回目の閉会中審査を行い、成立要件や投票形式などで各議員が意見を述べた。投票の成立要件では「条件を付けず結果を尊重すべきだ」との意見に対し、「投票率50%以上が必要」などの反論も出た。投票形式は賛否の二者択一方式と、「どちらでもない」の選択肢が必要との意見で対立した。「条例制定から投票実施まで約3カ月の準備期間が必要」との市の説明に、県の環境影響評価の進み具合を勘

 

 ★まず、この事業は、産廃大手の「大栄環境」です。山本は「がれき騒動」をきっかけに同社を知りましたが、どの地域でも独特の手法を駆使し、法制度にひっかからないように、住民やNPOも抱き込んで計画・建設に持ち込むのが得意な企業。最近の動向を見ると、国との黙契でもあるんじゃないかと思われるほどです。

 ★それを裏付けるのが、大栄環境が2017年12月、御前崎市長(財産区の管理者)と結んだ、事業計画の予定地についての賃貸借契約です。当時の市長の立場は不明。住民はその後になってこの計画を知るのですが、大栄環境は、何よりも先に市議会に事業を説明(2017/12/21)しています。この異例の展開は、議会には事業を推進の議員がいることを示しています。

 ★それを受けてか、御前崎市議会ではこの問題に関する質疑を拒否するという考えられない事態まで起きています。その質問の内容を見ると、議長自らあるいは議員の相当数がすでにこの計画実施のために動いているとしか考えられません・・・大型公害事業をやる場合、企業がよく使う手だけどね、限りなく「あっせん利得処罰法」に抵触する。

 ★予定地は浜岡大砂丘の隣。そりゃあ環境的に「センシティブ」な場所(水源地と同じ)であり、土地にはそれなりのゾーニングもあるはずです。しかし、そんな場所で日量400トンもの産廃を処理する計画が出てきたということ自体、計画のウラで静岡県が糸を引いている可能性は捨てきれない。だとしたら、ゾーニングは恣意的に外されるでしょう。

 ★住民は問題を知るとすぐ監査請求に持ち込みましたが、それが却下されると、住民投票を求める直接請求に訴えています。その成立には有権者の50分の一、588人の法定署名が必要ですが、実数はこれを軽く超える11,829に上りました。有権者の44%が投票したとのことで、この問題に対する市民の強い反感がうかがえます。

 ★この投票結果を受け、市長は6月28日、住民投票条例案を議会に上程しました。そこで初めて、他ならぬ議会(特定議員がいるんでしょうな)が、条例案をつぶし、建設を推進しようとしているのが誰の目にも明らかになったわけ。↑の記事はそれを物語っています。

 議員でありながら、民意(産廃施設ノー)を否定し、条例案をつぶそうとするのは、事業者との利害関係があると宣言しているようなもので、住民はそこを突けばいい。私は同じ大栄環境の施設計画では、今、赤穂市の産廃処分場の件を追っていますが、ここでターゲットになっているのは千種川の水道水源地域。そこに至るまでの大栄の暗躍については、すでにいろんな資料を入手しているので、いずれお伝えしたいと思います。2019.8.4

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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