大荒れ「全協」、米子の産廃処分場問題

前記事の続き。全協にはかつてなかったほどの市民がつめかけ、9人の退場者を出すほど荒れました。

 

米子の産廃処分場計画 「市民の声を聞け」傍聴者から怒号 市議会全員協 /鳥取

毎日新聞2017117日 地方版 https://mainichi.jp/articles/20171107/ddl/k31/010/508000c

米子市議会の傍聴席に詰めかけた市民ら=鳥取県米子市で、小松原弘人撮影

 県環境管理事業センターが米子市淀江町小波に計画している産業廃棄物管理型最終処分場について話し合う同市議会全員協議会が6日、開かれた。計画に反対する傍聴者からは「市民の声を聞け」などと怒号が上がり、審議は断続的に中断。尾沢三夫議長の指示で9人が退場になるなど混乱した。9月29日にあった前回の全協は県漁協淀江支所の抗議行動で流会となっており、今回は議場入り口前に通行整理柵を初めて設置。全席指定の傍聴券も配布するなど、緊張した雰囲気に包まれた。市民団体「大山ふもとの自然環境と米子の水を守る会」や淀江支所組合員ら59人が傍聴に訪れた。

 この日は、センターがまとめた周辺住民の事業に関する理解の現状が報告された。市議からは、処理水が放流される塩川や、処理場の近くにある水源地が汚染されるのではないかと懸念する意見が相次いだ。伊木隆司市長は「一部自治会員に理解が得られていない」などと記載した、県の照会に対する回答案を提示。市議の意見を添付して、近く提出する考えを明らかにした。守る会の山根一典代表は「センターの報告書は自治会名の記述がなく、内容が検証できない。中身も偏っている」と批判。県漁協淀江支所の藤井邦浩・運営委員長は「反対の意見を押し切ろうとする姿勢に腹が立つ」と話した

 

 現地からの報告によると、市庁舎には朝からあちこちにバリケードが設置され、市民の自由な通行が妨害されていたそうで、市がどれだけ市民をこわがっているか、市民が怒っているかがわかります。

 市民の怒りは当然です。市が県に提出予定の「回答案」は、事業者である「環境管理事業センター」が行った説明会などの報告を元にしたものですが、この報告書は、①「関係自治会」名を特定していない(アルファベット表記)、②一般住民には知らされていない、③報告書内容にはウソがある、④関係6自治会のうち4自治会では事業に反対署名者が過半数である事実を無視、⑤過去の説明会記録はほとんど墨塗り、などほとんど虚偽文書というべきシロモノなので。そういえば、今年初めの事業計画縦覧では、土地関係書類をすべて抜き取るという不作為もやっていた・・・とても普通の自治体とは思えず、共謀罪で訴えられないかと思うほど。

 穏やかでやさしい米子の人々が、退場を恐れず怒りの声をあげるだけの理由は山のようにあったのです。

 しかし、産業界のホープとして市長に就任した伊木氏の任務は、たとえ中身が「ウソばかり」でも、回答案を県に提出すること。これによって、県条例の手続きがひとつ進み、次は、「鳥取県廃棄物審査会」の審査が始まるからです。これは「問題はない」「産廃処分場を建設してよし」という回答を出すためだけに作られた産業界の下請け組織であり、このイエスマン集団が、事業にゴーサインを出すのは間違いありません。

 というのは前段で、すでにこんな↓見解を出しているので。

 

米子の産廃処分場計画 見解書、異論出ず 県審議会 /鳥取

201768https://mainichi.jp/articles/20170608/ddl/k31/010/508000c

 米子市淀江町小波に産業廃棄物管理型最終処分場の建設を計画している県環境管理事業センターは7日、同市内で開かれた県廃棄物審議会(会長、田中勝・公立鳥取環境大客員教授)に、計画に対する住民の意見への回答をまとめた「見解書」を提出した。審議会で大きな異論は出ず、月内に7日間の縦覧を実施することが決まった。センターは今年1~3月、米子市内の16カ所で建設計画に関連する書類を公開したほか、住民説明会も7回開催。これに対し自治会や農家、水利権者から質問や意見が出されていた。見解書では計画地選定の経緯や、漏えい検知システムの詳細、地下水汚染対策など22項目(167件)に関して説明。審議会では一部の表現を修正する以外に指摘は出なかった

 

 彼らは、地方自治のことも、廃棄物処理法の仕組みも何も知りません(だからこの計画を容認できる。知っていれば到底承認できない)。こういう頭の悪い連中―ー汚染事業を地域振興などとごまかすーーに血税から報酬を払っているのかと思うと、腹が立ってワナワナしますが、彼らをなんとかお縄にできないものか。この事業に関する知事・市長・廃棄物審査会の関与はほとんど犯罪的で、市長と議長がごみ問題で逮捕された埼玉県上尾市よりずっとたちが悪い。なんといっても、大きな汚染事業であるにもかかわらず、半径500m以内、約200世帯の人々しかモノが言えないというのは、地方自治の本旨に反する違法事業です。2017.11.8

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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