中国の土壌汚染

 今日は自分の備忘録として、中国の土地調査の話題を提供します。
 昨年末、中国で第二次全国土地調査完了したというニュースが入りました。いろんなニュースをまとめると、以下のようになります。組織名などは定訳ではなく、山本の勝手な訳なのでご注意ください。参考記事例:http://news.xinhuanet.com/yzyd/local/20131230/c_118764006.htm?anchor=1 

 1230日、第二次全国土地調査が終わり、その結果が発表された。王世元・国土資源部副部長兼国務院第二次全国土地調査班主任と、張為民国家統計局副局長らが説明した。

 第一次調査は1996年から十年間にわたって行われたが、その後、土地利用の変化が非常に大きかったため、当時のデータは需要を満たさなくなっており、第二次調査は200612月に始まった。
 第二次調査は、
12委局による指揮部(リーダ班)の創設や、
国務院によるテレビ電話会議(07年7月)などを通して、全部署がこのプロジェクトに関与した。
 2009年現在の全国耕地面積は20.31亿亩(注:亩はエーカーのこと)だったが、調査班はその後、毎年の土地利用変更調査を通じて、第二次調査の手法に併せて調査方法を変更している。その結果、2012年の耕地面積は20.27億。これは以前の方式で得たデータと比較すると、2億多くなるが、これは決して「実用耕地」の面積が実際に増えたという意味ではない。
 今回の調査であきらかになったのは以下のとおり;
 第一、耕地分布と利用状況から見て、生態系修復と建設に関しては、ある程度、検討の余地がある。東北と西北地区の森林と草原、及び傾斜25度以上の急傾斜地の1.49
の相当部分の耕作が停止される。政府は来年からこの方面の計画をすすめる。
 第二、耕地のかなりの部分が中度から重度の汚染によって耕作に適さなくなっている。これも来年から修復作業が開始される。
 第三に、かなりの耕作地が、鉱工業による陥没、あるいは地下水の過剰汲み上げによって耕作に適さなくなっている。


 つまり、中国の耕地は多いが、安定的に利用できる土地は18ほどにすぎない。第二次調査報告書後に行ったヒアリングの後、中央政治局が強調したように、我が国の基本的な状況は変わっていない。最も厳格な耕地保護制度と用地節約制度を続ける必要があり、それによって18の耕地を食料生産の最低ラインとして、安定的に耕作可能な耕地を保持しなければならない。

 土地汚染に関して言えば、環境保護部の土壌状況調査の結果、中度重度汚染の耕地面積はだいたい五千万亩前後だ。この数字は、国土資源部の地質環境調査とほとんど同じだ。党中央、国務院、地方政府はこれを重く見、これらの土地で耕作しないような措置をとっている。以前、米のカドミウム汚染が報道されたが、これらの土地での耕作はすでに厳しく阻止されている。次は国と地方政府が相当の資金を出して土地修を修復し、人民の声明財産に足して責任を負わなければならない。
 国は毎年数百億円の資金を出し、重金属汚染耕作地を修復し、地下水過剰汲み上げを地域の総合修復のモデル事業を始める。汚染が激しいのは、いずれも過去、経済発展が比較的早く、工業化が進んだ地域で、具体的には東中部地区、長江三角地区、珠江三角地区、東北の古い工業基地、湖南の一部地区である。すべて重工業地区であり、これらの地域では土地修復と総合治理、そしてさらに耕作停止区域を林野や草原に戻す必要がある。

 五千万エーカーの耕地が汚染!! でも、これはあくまでも「耕地」をベースにした数値で、耕地以外の土地の汚染はどうなっているの?と聞きたくなります。中国の土壌汚染を友人らと調査した経験から、山中や人里離れた地域の汚染は把握されていないのではないかと感じます。
 私が見るところ、土壌汚染の三大元凶は1鉱山汚染、2工場排水、3農薬の多用、ですが、いずれも地元産業界や自治体、経済発展と直接関係しているので治理が難しい。
 健康な土地・農地の保持は、国民を飢えさせないためにも、戦争を起こさないためにも非常に重要です。日本の中国侵略は東北の冷害・不作による飢饉が原因の一つでしたが、今また、放射能汚染と農薬多用(世界一の農薬使用国・ネオニコチノイドも拡大)、GMO栽培(最大のGMO輸入国)などで、耕作不適地が増え、食料自給率はさらに下がるでしょう(ジャンクフードや危険食品はたっぷり出回る)。食品の放射能汚染に気を配っている方、どうぞその関心を土壌汚染にも向けて下さい。2013.12.30

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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