上海で化学工場反対の大規模デモ

 中国で公害企業阻止のデモのニュース。

 日本のメディアは、中国の市民がデマに惑わされたように書いていますが・・・

上海市政府前で住民拘束か、警官に殴打され 化学工場反対の集会阻止

2015年6月28日http://www.sankei.com/world/news/150628/wor1506280019-n1.html
 中国上海市郊外の金山区にポリエステル繊維の原料となるパラキシレン(PX)工場が建設されるとの情報に反発した住民が27日、市政府前の人民広場で抗議集会を行おうとしたところ、警官に殴打され、拘束された。中国語ニュースサイト「博訊」(本部・米国)が28日伝えた。金山区では22日に反対住民による数千人規模の抗議デモが起きた。区当局は同日、PX工場の建設予定はないと説明、火消しに努めたが、住民側は信用せず、連日デモを継続。27日は一部住民が抗議集会のため人民広場を訪れたが、配備されていた警官が拘束。誓約書のようなものに署名をさせられた上で釈放されたという。金山区では27日夜、約3万人がデモを行ったという。(共同)

 同地は国家級の石油産業基地。PX製造ではないにせよ、新たな石油化学工場のアセスの準備が進んでいたようで、住民はデマに惑わされたわけではありません。写真はネットから。

ここ↓には写真と動画があります。
http://www.rfa.org/cantonese/news/protest-px-06272015123430.html
以下は、BBC中国語の記事の簡訳です。中国でPX工場が嫌われるのは、爆発などが相次いで、各地で環境汚染の代名詞のようになっているから。大規模な反PX工場のデモも多い。

上海终止金山区环评 市民继续上街游行
2015年 6月 28日 http://www.bbc.com/zhongwen/simp/china/2015/06/150628_shanghai_chemical_plant
 上海市政府は先週金曜日、化工区管委員会にアセス準備の停止を求めたが、金山区の市民は土曜夜デモを行い、その参加者は5万人に達するとの報道もある。市民は政府が
(閉鎖された)高橋区のパラキシレン工場を金山区に移そうとしているのを恐れ、22日から区役所の前に集まり始めた(化工区は23日になってアセスのパブコメを公示した)。そして、座り込みと抗議デモが四日間続いた後、五日目に上海市がアセス停止を宣言する事態に至っている。抗議はすでに一週間続いている。政府はHP上で「市は金曜深夜、政府が金山区において市民意見のヒアリングを行い、慎重に考慮した上で、工区管委員会にこのたびのアセス計画の中止を求めた」と発表した。また「工区と金山区の主要な任務は、全力で環境保護と汚染除去のための措置を取り、市民の期待に応えることだ」ともある。(以下略)

 ところで、横須賀の人から聞いた話。新ごみに反対だと言ったら、「どうして? いいもの(焼却炉)ができるそうで、みんな喜んでいるのに?」と言われたんだとか……絶句、横須賀。基地がある街では、市民魂が死んでいるし、反対をもりあげさせない体制が整っていると感じます。中国人に見習ってほしい。2015.6.30

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/