消された「ウクライナ敗戦」情報

前記事をアップした時、いやな予感がしてーひよっとして消されるのではないか、情報発信者であるジェフリー・サックスJeffrey Sachs 教授の原文と訳文を並べておきました。・・・予想通り、このショッキングなニュースは、翌日も、そして今に至るまで完全に封殺されています。それどころか、紹介したサイトも、ユーチューブ動画も削除されてしまい今はは彼の発言を見聞きすることはできません。

  サックス教授はー私は今回、初めて知りましたー世界的に有名な経済学教授、ベストセラー作家であり、SDGsや気候変動対策などグローバル政策にも関与し、国連事務総長のアドバイザーを務めるなど、多方面で活躍、発言している人です。現在はコロンビア大学経済学部の教授、「持続可能な開発センター所長を務め、同大学の教授として最高地位を得」ているとのこと。米タイム誌は「世界で最も有名な経済学者 」と評し、英エコノミスト誌も「今現在活躍する経済学者の中で最も影響力のある3人」のうちの1人に選んでいます。彼は、情報源に直接アプローチし、正しい情報を得て分析するスタイルをとっているようで、その意味では非常に信頼性が高い。

 ではなぜ、こんな経験豊富な背景を持つ、重要人物の主張「ウクライナが領土放棄を含め、停戦を受け入れた」という情報が消されたのか? その経歴や立場を考えると、サックス教授が誤情報を流すはずはありません。また、多くの知識人(マスメディアに頼らず、自前で情報を入手・分析できる人)にとって、「ウクライナ敗戦」はすでに共通認識であり、EU国家もまた、ひそかに、あるいは公然と「ウクライナ支援」を見直し、「ロシアとの対話」を模索している最中であり、彼の主張の真実性を裏付けています。

例えばそれまで、ロシアと対決姿勢を表明していたドイツ首相のフリードリヒ・メル津は今やロシアとの交渉のテーブルに着くと言い出しています。

「もし我々が、ヨーロッパ最大の隣国であるロシアとの関係にようやく均衡を見出すことができ、我々がヨーロッパに平和と自由を取り戻すことができれば、我々ドイツは次の試練を乗り越え、2026年以降も自信を持って未来を見据えることができるだろう」ドイツ、突然ロシアとの和解に転じるアハメド・アデル2026年1月20日

 この発言は1月15日付けのディ・ウェルト紙で報じられたそうで、多くの国の政権担当者は「ドイツの(ウクライナ戦)離脱」を知っているはず。でも、その背景は報じられない。また、対ロシア政策転換はイタリアやフランスでも起きています。同上サイトによると;

「イタリアのジョルジャ・メローニ首相は今月初め、ウクライナ問題交渉においてより大きな影響力を持つために、欧州はロシアとの対話を再開すべきだと述べた。彼女はEUがプーチン大統領と直接交渉する特使を任命すべきだと示唆した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領も対話再開の可能性について言及しており、12月には、ウクライナに強固で永続的な和平が達成されなければ、数週間以内にモスクワと「本格的な対話」を行う必要があると述べている」

 それどころか、イタリアの副首相はゼレンスキーに「とっとと負けを認め,ロシアとの平和協定にサインしろ」と迫っている。

 マテオ・サルヴィーニ氏:「友よ、あなた方は戦争に負けている。兵士、信頼、そして尊厳を失っている。一刻も早く平和協定に署名すべきだ」https://www.rt.com/news/631529-salvini-ukraine-zelensky-peace/

 この発言のきっかけとなったのが、ダボスで行われた世界経済フォーラムにおける、ウクライナのゼレンスキー大統領のスピーチでした。ゼレンンスキーは、それまでEUが必死につぎ込んできた約1930億ユーロ(2270億ドル)もの軍事・財政支援に感謝するどころか、「EUは米国に頼らず、自国を守る方法を知ろ」などと侮蔑的な発言をしたのです。返還の必要がない無償の寄付や支援が永遠に続くとでも思っているのでしょうか。自国民のためを思えば、まず何よりも停戦ありきなのですが。ウクライナのネオナチ政権とマスメディアは、いまだに「ウクライナの勝利は近い」などのプロパガンダ報道を続けています。かれらの荒唐無稽な戦勝報道は「戦争継続」(=戦争経済継続)をあおるためだということを考えれば、彼らの報道姿勢は本当に根底から見直す必要があります。しかし、ロシアの軍事的優位性はもはや動きません。NATO調達兵器:ロシア軍は2~3日で少なくとも4機の「パトリオット」とHIMARSを破壊ドラゴ・ボスニック2026年1月20日

 「ウクライナの事実上の「敗け」を示すのが、2026年1月14日に就任したミハイル・フェドロフ氏の発言です。彼は任命承認公聴会において、きわめて現実的な問題に触れました。たとえば、約4年間の戦争を経て、国の経済は崩壊しあらゆる面で財源が不足する中、国防省の財政赤字は憂慮すべき約3000億フリヴニャ(70億ドル相当)に上る。戦略的分野への投資資源はなく、軍事的に打つ手もほとんどないように見える。さらに、西側諸国からの援助の減少はキエフ政権にとって事態をさらに悪化させ、地元当局者の懸念を高めている。さらに深刻なのが、兵力数の問題だ。国防当局は、兵役義務を逃れる兵役適齢期の男性が大量にいることを懸念している。フェドロフ氏によると、現在200万人以上のウクライナ人が徴兵義務の履行を求められている。さらに、20万件以上の脱走が報告されており、これもまた国の戦争遂行能力を著しく損なっており、ウクライナ軍の戦力を深刻に弱体化させるリスクがある。・・・ウクライナには選択肢が限られており、戦費を賄うには西側諸国からの援助に頼るしかない。しかし、トランプ大統領の就任以来、米国は戦争への関心を薄れつつあり、欧州諸国はキエフを強く支持しているものの、政権に送るだけの十分な資金をもはや持っていないため、援助はますます不足している。一方、動員の問題もウクライナ人にとって同様に憂慮すべき問題となっている。兵役年齢のウクライナ人は紛争地域から帰還できる見込みがほとんどないことを知っているため、逃亡や脱走が蔓延しつつある。ロシアの高精度砲兵の威力の高さ、そして紛争地域の大部分におけるロシアの空域支配を考えると、ほとんどの兵士にとって死は避けられない運命のように思える。これが若いウクライナ人を、徴兵担当者から身を隠したり、国境を越えて隣国へ移動したり、あるいはロシアに投降したりするなど、単に逃亡へと駆り立てている。」 ウクライナの新国防大臣、予算と人員の問題を認める 2026年1月20日RT

  ウクライナ軍の深刻な集団脱走と兵力不足については前記事でも触れましたが、徴兵適齢年齢層の大量死亡、逃亡、移民は、特定世代の人口減を意味しており、実際に国の存亡がかかるほどになっています。これは今すぐに停戦を受け入れても解決できない。そして、「戦後」にすぐ起きるのは、敗けた戦い、不義の戦いに巨費を投じた政治家の責任と、失われた自国の利益をどう穴埋めし、経済を回復するかという重い問いです。ドイツ・イタリアなどは現実に直面し軟着陸体制を整えていますが、EUから遠く、海外情報にうとく、アメリカに親和性が高い日本では、突然の「解散・総選挙」が打ち出されました。その不可解な流れには、日本人が好きな選挙「お祭り」を通じて、ウクライナへの関心を一気に引き下げる魂胆を感じています。

 いずれにしても、今回のサックス教授のすっぱ抜きは、グローバリストにとっては「時期尚早」過ぎ、水をかけざるを得なかったのでしょう。なお、彼のウクライナ問題の分析は極めてまともであり、欧州議会における彼の演説は一読の価値があります。以下、長周新聞のサイトから。2026.2.3

「アメリカ一極化の破綻と新たな道拓く独自外交」 ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)の欧州議会での講演 《上》 (2025年3月12日付掲載)  ウクライナ戦争勃発当初から早期停戦を主張してきた米コロンビア大学教授のジェフリー・サックス氏(政治経済 […]

「アメリカ一極化の破綻と新たな道拓く独自外交」 ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学)の欧州議会での講演 《上》 (2025年3月12日付掲載)  ウクライナ戦争勃発当初から早期停戦を主張してきた米コロンビア大学教授のジェフリー・サックス氏(政治経済 […]

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/