LGBT法案をめぐる動きと、欧州での波紋

前記事の続き。経済同友会が「修正LGBT法案」を後押しする署名を政府に提出したようです。署名そのものはまだアップされていないようなので、後でチェックします。

Lgbt法案後押しへ経済人500人署名 新浪氏「包摂的な社会を 2023.5.16 経済同友会の新浪剛史・代表幹事は16日、性的少数者を含めた多様な社会の実現を目ざす立場から、企業経営者ら約500人超の署名を集めたと発表した。岸田文雄首相に届け、主要7カ国首脳会議(G7サミット)後に見込まれる国会での「LGBT理解増進法案」の議論を後押しし、早期成立を経済界から促す。定例記者会見で、質問に答えた。署名文書では、性自認や性的指向、民族、障がいの有無などで不利益を被らず、だれもが活躍できる場をつくることがビジネスには重要だと強調。「多様性があり、公正で包摂的な社会づくり」を目ざす経営者らの宣言の形をとり、賛同者を募った。同友会の会員約1500人のうち約400人、さらにG7各国の商工会議所のメンバー企業の幹部らも含めて計500人余りが名を連ねたという。

 本来なら、LGBTのような極めて人口比が低いマイノリティのために、わざわざ経済団体や企業が乗り出すことはありません。おまけに、「基本的人権」はすでに憲法によって遵守が義務付けられている。しかし、LGBT法案を仕掛けたのはグローバリストの「経済的/政治的意図」であり、先進国の産業界はもはやそれに逆らうことはできなくなっているのです(コロナと同じ)。日本の産業界もその渦に巻き込まれているため、ここは自民党の修正案を一応評価し、G7(=グローバリスト組織)に対しては、「『性自認』という言葉をもりこむべきだった」「署名を出した」などと言い訳しているわけ。肝が据わっていれば、「そんな法律など要らん」と本音を吐くことができるはずですが。

 でもね、日本の社会では、個人の性指向や性に関する自己認識などは基本的に表に出てこなかったし、オモテに出たところで、ほとんどの人々はそれを「個人的問題」として黙ってやり過ごして来たのです。ところが、そこに突然、出てきたのが「ジェンダー革命」でした。ぉれは人間の性は、生まれつきの性ではなく、本人の「性自認」で変えられるという、常識ある人は決して受け入れられない考え方です。LGBT法案は、決して当事者の権利保護のためだけではなく、実際は人々のコントロールと「反対派」つぶしを狙っている。その最大のターゲットは、前記事で書いた通り、子どもたちであることに、一般市民は全く気付いていない。そして朝日新聞やLGBT活動家が、グローバリストとシンクロナイズして動いているのは、下の記事でも明らかでしょう(強調:山本)。

「差別を増進する法律に」 LGBT理解増進法案、後退に抗議 2023年5月16日 18時40分https://www.asahi.com/articles/ASR5J658KR5JUTIL01S.html 自民党の総務会が16日に了承した「LGBT理解増進法案」の修正案の内容が、2年前に自民も含む超党派議員連盟を中心に作成し、合意した法案から「大きく後退している」として、当事者らが同日、東京・永田町の衆院議員会館で抗議集会を開いた。全国52の当事者団体が抗議に賛同したという。党内の保守派に配慮した結果、「差別は許されない」という文言を「不当な差別はあってはならない」に、「性自認」という言葉を「性同一性」に変えた修正に当事者らは抗議。「子どもに教えると混乱する」といった意見が出たことから、「学校の設置者の努力」という独立した項目を削除し、事業者の項目と一体化させる変更もあった。トランスジェンダー当事者として情報発信してきた浅沼智也さんは、「早期成立に向けた意気込みは積極的に評価してきたが、国際社会に向けた『やってる感』を演出するだけで、G7サミット主要7カ国首脳会議)をやり過ごそうとするのは到底許されない」と批判した。

G7に向けて、「性自認」という言葉を盛り込んだ法律の制定と、「学校における包括的性教育」を可能にすることが、左派メディアとLGBT活動家の使命だったわけ。しかし、こんな法令が通るとどうなるか、その最近の例を一つだけあげておきます。

トゥールーズ フランスのサッカークラブ、反ホモフォビアキャンペーンへの参加を拒否した選手を排除 2023年5月16日(CNN)

フランスのサッカークラブ、トゥールーズは、リーグの反ホモフォビアキャンペーンへの参加を拒否した選手をリーグ1のナント戦から排除した。FCは、「プロチームの何人かの選手が、LGBT運動を象徴するレインボーカラーがついたウェアを着ることに反対を表明した」と、日曜日に声明で発表したが、誰が反対したかは述べていない。しかし、同クラブのモロッコ人ディフェンダー、ザカリア・アブークラルは、ツイッターで「このキャンペーンに参加しないことに決めた」「私が大切にしている価値観は『リスペクト』。他者だけではなく自分自身の信念への敬意も含まれる。それゆえ、私はこのキャンペーンに参加するのに最適とは思っていない」と書いた。

 …初めて知りましたが、Wikiによれば「旧称国際反ホモフォビアの日(IDAHO[1])とは、毎年5月17日に行われる、LGBTの権利の侵害に対する認識を広め、関心を高めることを目的とした記念日である。 1990年,世界保健機関が同性愛を国際疾病分類から除外したことを記念して定められた」そうです。そんな記念日に存在意義があるとは思えないけど、グローバリストの魂胆と根回しを知るためには重要かもしれません。

 この件で、クラブリーグの選手たちは写真のようなウェアを身に着け、横断幕を持つことを要請されたそう。そしてそれを拒否した人は排除・・・モロッコ人ならおそらくイスラムでしょう。イスラム教圏では(本来なキリスト教圏でも)、同性愛は禁じられているから拒否するのは当然で、それはFCもわかっていたはず。・・・つまりLGBTの権利擁護という法令の下では、一般的な反対もできなくなるし、反対を口にもできなくなる(ヘイトだもんね)、そして宗教的信念も殺されかねないわけです。その意味は非常に大きく、決して座視できません。2023.5.17

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/