珍しく風邪をひいて記事アップが遅れていますが、今年も、①廃棄物問題。②ワクチン・医療、③汚染・公害、④再エネの分野で、日本ではあまり報道されない情報を、山本の解説付きでお伝えしてゆきます。どうぞごひいきに。
さて、今年の第一報は「再エネ」分野で、かなりショッキングなニュースが入っています。
ポーランドは全風発の解体・撤去を打ち出す
2018年12月26日 ポーランド政府は12月、新たな風発の建設禁止と、すべての既設風発解体をもりこんだ「2040年までのポーランドのエネルギー政策」を発表した。エネルギー相は、これは「政治的決断」だと述べた。ポーランドでは数百の風発建設が予定されており、政府は風発投資者と今より低い価格での電力買取契約を交わしているが、新しい政策によると、すべての風発は2035年までに解体され、古い風発の建替えもできなくなる。既存の風発が景観から取り去られた後、土地は別の用途に使われることになる。
風発建設を推進してきた西側諸国は、ここ数年、風発のコストダウンに力を注ぎ、最新技術を駆使した次世代が風発への建替えをもくろんできたが、ポーランドが風発の全面廃止と完全撤去を決めた以上、これらの計画の実施は困難となる。
この政策の背景にあるのは、風発周辺住民の根強い反対。例えば、ロウア―シレジア地域の風発は全国の2%に過ぎないのに、風発関連の社会的対立102のうち9つがここに集中しており、大きな政治問題になっている。また、「ストップ風発」などの組織は、「風発推進は人々を馬鹿にしている」として政権を攻撃し、風発に高い税金を求めるなどしてEU委員会が乗り出す騒ぎになっている。すでにポーランドでは、10Hルールがあり(風発高の十倍以内の距離に人家がある場合、建設は禁じられている)、今のままでは最新の大型風発は陸上には建てられないことから、新政策では今後、洋上風発に転換を予定している。
参考:stopthesethings thousand of furious rural voters wysokienapiecie.pl.
風発反対派にはとびあがりたくなるほど嬉しいニュースですね。単に「廃止」というだけでなく、法律で撤去を義務付けることになるのだから(もっとも今の段階ではまだ法律ができているわけではありません)。また建設コストの高さを考えれば、洋上風発ならOKというのも無理な話で、いずれこちらもつぶれるでしょう。
ちなみに、この大転換のもうひとつの背景となったのは、再エネ導入による電力料金の高騰です。ポーランドは石炭産出国であり、エネルギー自給率が高い国でした。でも、温暖化論者にとって、「石炭産出国」はつぶさなければならない「悪」。そこで不要な再エネを押し付けた結果が、人々の反抗を招き、新たなエネルギー政策につながったのです。
そういえば、フランスでは昨年秋以来、数万から数十万規模のデモが起きていますが、その引き金になったのも燃料価格高騰と電力料金値上げ(炭素税)です(その他全般的な生活費高騰も)。ネット上には、暖房のない部屋で厚着をして寒さに耐える家族の苦労話がよくとりあげられています。それ以前に、原発大国のフランスで電力料金値上げとは筋が通らず、フランス人の反発も当然でしょう。だから、フランス国民の80%が「黄色いベスト運動」を支持していると伝えられているのです。ポーランドではそのフランスよりさらに先を行っているわけですが、この問題、それほど単純ではなく、明日以降、続編をアップします。2019.1.13