米子産廃、出来合い「専門家会議」の茶番

鳥取県米子市に計画されている「県の」産廃処分場計画の続報です。

 

専門家会議、安全性説明

淀江の産廃処分場計画 地元住民は納得せず

2018.2.24 日本海新聞  米子市淀江町に鳥取県環境管理事業センターが計画する産業廃棄物管理型最終処分場の建設をめぐり、市民から反対意見が出ていることを受けて県が設置した専門家会議が23日、同市内で開かれた。専門家が計画に問題ないとの見解を示した一方、傍聴した住民からは批判的な意見が出た。 専門家会議は、地元関係者の不安や疑問に対する同センターの見解について、専門家が検討・評価する目的で設置。北海道大大学院の松藤俊彦教授(廃棄物処理工学)、九州大大学院の中山裕文准教授(環境システム工学)、鳥取環境大の角野貴信准教授(生物地球科学)の3人が出席した。3人は、地元関係者の意見を地下水や魚介類への影響など16項目に分類して回答。このうち汚水流出について、粘土成分を含む土を2枚の遮水シートではさんで敷いたうえで、漏水検知システムを設けるため「浸出水が埋め立て地以外に漏れ出す可能性は大変低い」とした。 会議後、松藤教授は海水を真水にできる逆浸透膜で浸出水を浄化するなどの対策もしているとして「技術的には問題ない」と評価。意見を聞き取った県生活環境部の酒嶋優部長は「今後の意見調整の一助にしたい。合意形成はいつまでとは考えていない」と話した。(以下略)

 

 こうなることは、鳥取県が専門家会議を作る、と発表したときからわかっていました。日本では、科学者のほとんどは技術馬鹿で問題の根本がわからず、飼い主を裏切るようなことはしません。ところが、地元の反対運動・「水を守る会」は、この専門家会議を評価し、さらに自分たちが推薦する「専門家」を入れるよう求めていたことを後になって知り、驚きました。注意したけど流れは変えられず(「推薦」した北村氏はこの会議を欠席、批判を述べるつもりなどなかったことがはっきりしました)。また、開催4日前にこの会議開催通知が届いた時も、反対派は、抗議するでもなく、日を改めてくれと求めるつもりでいることを知り、驚いて以下の抗議文を書いて送りました。

平成30221

鳥取県知事

 平 井 伸 治 様

「専門家会議」開催への抗議

 昨日(220日)、「淀江産業廃棄物管理型最終処分場整備計画に関する専門家会議の開催について」なる「お知らせ」が回覧されてきました。それによると、同会議を223日(金)午前9時から11時まで開催する、傍聴者50までとのことです。しかし、これは事業に反対する本地区住民の意思を完全に無視した一方的なやり方であり、以下のとおり会議開催に反対します。

 一、まず、開催日のわずか四日前に知らせるというのはあまりに非常識です。

 二、次に、平日昼間の開催では住民の多くは仕事で傍聴できません。これも住民の「知る権利」を侵害します。

 三、私たちは今、この計画の「元」となっている県条例そのものについて疑問を呈し、説明を求めていますが、貴殿が選出された「専門家」は全員工学畑で、一人としてそれに答えられる能力はありません。

 四、また、「専門家」は、何十年にもわたって焼却炉・処分場のそばで暮らしてきた住民の気持ちなど知らず、貴殿の意図に沿う結論を出すのは目に見えています。

 五、貴殿が言われる「専門的・科学的見地からの議論」は、上記条例の問題がすべて片付き、地元が処分場計画の中身を「聞く姿勢」を見せてからでも遅くはありません。その順番を逆にしないでください。

 本会は初め、貴殿の「専門家会議」の提案に期待し、いろいろ提案もしてきましたが、その後、問題の根源である「県条例」を知るにつれ、疑問が深まり、本事業計画は合法性を欠いていると考えるに至りました。なぜ産廃処理施設を県費で建設するのか、なぜ半径500m圏内の住民しか説明会に参加できず、意見も言えないのか、漁協の反対をどう扱うのかなど、答が得られていない多くの疑問があります。

 つまり、私たちは、本事業計画の合法性(地方自治法・廃棄物処理法、漁民の漁業権問題など)を議論しない限り、手続きを先に進めるのは違法だと確信しているのです。それに対し、貴殿は、この専門家会議開催で「専門家は事業に賛成した」との結論を得て、手続きを先に進めようとしているとしか思えません。それには、議論に異議を唱える傍聴者は少ないほどよく、そこで平日昼間の開催、急なお知らせとなったのでしょう。これは、住民の「知る権利」を侵害するだけでなく、住民だましにつながります。

 貴殿は、地方自治体の長として「全体の奉仕者」でなければならないにもかかわらず、本事業は産廃排出企業に便宜を図るものであり、貴殿は「一部の奉仕者」と化しています。これは非常に不適正・不適切です。

 結論:本事業を進める口実に使われかねない「専門家会議」の開催を中止し、事業の根拠である「県条例」についての説明会を開くよう、強く求めます。返事は文書にて代表までお寄せ下さい。以上

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 ところが、水の会のメンバー(高齢の政党関係者)からこの文書に激しいクレームがついたため、文章を勝手にいじくって出したことが、後になってわかりました。たとえば、「貴殿が選出された「専門家」は全員工学畑で、一人としてそれに答えられる能力はありません」は、「先生方に失礼だ」と削除された模様。・・・まさかこういう非常識なことをやられるとは思わず、山本さん、怒り心頭。元の文章に差し替えるように求めましたが、最終的にどんな文章を出したのかも不明だし、今も差し替えていないでしょう。この手の反対運動にスパイが入り込み、かく乱・分断工作をするのはよくあることですが、本物の反対派なら、県や「先生方」の立場を気遣ったりしません。

 このままでは水の会はいずれ沈没するでしょう。合理的に考えられる若者が主導権を握る必要があります。2018.2.26

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/