住民無視で進む「ごみ広域処理」計画

 昨日のアメリカの記事ですが、理論的に考えると、改正法が成立すれば、やがて再改正が行われ、国籍に関係なくアメリカに入国する人間は全員、この法律の対象となるはずです・・・いやあ、ますますアメリカには行けなくなる。それも狙いなんだろうけど。

 ところで、ごみ関連のニュースもたまっているので、まとめてアップします。( )が山本のコメント。 

 

ごみ収集車「公園に専用路は違法」 住民側、日野市長を提訴
東京新聞 2016104日 日野市がごみ収集車を通すための専用路を公園予定地内に造るのは違法だとして、住民九十六人が三日、大坪冬彦市長に対し、設計業者に支払った手付金約九十六万円を市に賠償することなどを求める訴訟を東京地裁に起こした。市は二〇一二年、小金井、国分寺両市と可燃ごみの共同処理を表明。日野市内に新焼却施設を建て、二〇年度から使用する予定だが、収集車の専用路を北川原公園の予定地内に造ろうとして住民が反発している。訴状によると、市が公有財産である公園予定地に目的外の専用路を造ろうとするのは、大坪市長が適切に管理していないためで、管理者の責任を定めた地方自治法に違反していると主張。手付金の賠償のほか、専用路の建設費用を今後支出しないよう求めている。住民らは七月、設計委託料を支出しないよう求めて住民監査請求したが、市監査委員は九月六日付で「主張に理由がない」として棄却していた。立川市内で三日、記者会見した原告の住民たちは「専用路がなければ共同処理もできない。小金井、国分寺の住民とも対応を考えていくべきだ」と話した。市は「訴状が届いていないのでコメントできない」と答えた。

 (住民訴訟としては面白いところに目をつけたと思います。地方自治法、都市公園法違反、さらに、道路法、都市計画法がかかってきそうな感じ。この計画は、地域の自治体ぐるみで反対していたので、十分阻止できるはずでした。ところが、反対のリーダーたちが突然、「小さな焼却炉ならいい」とかいって市と手打ち……現地の運動を見た私は、最初からそういうシナリオだったのだろうと思いました。「おまかせ住民運動」ではよくあるケースです。この訴訟も「アリバイ証明」にならないことを祈ります。)

 

石川)輪島の産廃処分場問題で「住民投票を」:朝日新聞デジタル

2016/09/23 – 輪島市門前町の大釜地区に産業廃棄物処分場を建設する計画について、住民らが22日、「輪島の産廃問題を考える会」を発足させ、建設の是非を問う住民投票の実施に向けて署名集めを始めることを決めた。発足集会には住民ら約150人が参加し、処分場問題について意見を交わした。集会では、市産業廃棄物最終処分場建設問題検討委員会の委員長として2008年に「建設反対」を市に答申した碇山洋・金沢大学教授56が講演。市や市議会の処分場を実質的に受け入れる方針について「市民にも委員長にも何の説明も無いまま答申が覆された」と批判し、「一度受け入れれば次々と作られる恐れがある。数世代にわたる選択を市長、議会だけで決めるのは不適切だ」と話した。講演後、参加者からは「計画は終わったと思っていた」「市や議会は住民の声を聞こうとしていない」などと意見が出され、住民投票の実施を求める方針を決めた。考える会代表の板谷外良・剱地区長75は、「処分場は市の産業や観光に影響を与える恐れがある。10月中旬にも署名活動を始められるよう、準備を進めたい」と話した。

 (輪島の処分場の件は、当ブログでも何回か扱っています。原発銀座・福井の放射能廃棄物も受け入れることになりかねない計画ですが、運動の立ち上がりは遅く、あまり危機感も伝わってきません。どんな住民投票を求めているの不明ですが・・・住民たちのこの「のんびり」が狙われている気もします。どこまで戦えるやら。)

 

諏訪・板沢に最終処分場 21年度から埋め立て

2016105http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20161005/CK2016100502000014.html

 岡谷市と諏訪市、下諏訪町でつくる湖周行政事務組合は四日、広域ごみ処理施設から出る焼却灰の最終処分場を、諏訪市湖南の板沢区に建設すると公表した。二〇一九年度中に着工し、二一年度から埋め立てを始める。最終処分場をめぐっては、三市町が一一年三月、諏訪市内に設けることで合意。同市が建設地の選定を進めていた。建設地は、県道諏訪箕輪線から板沢区の集落に下る市道を挟んだ山林原野で、面積は約七万四千平方メートル。土地の大半を板沢区と地元住民が所有する。諏訪市は、市単独の最終処分場やごみ処理施設が東側に偏って設置されていたため、西側を中心に候補地を探し、湧き水が少なく、飲料水源からも離れた板沢区の山林に絞り込んだ。一三年度から区と協議を重ね、今年九月二十日、湖周行政事務組合と市、区の間で建設に関する合意書と土地の賃貸借契約書を交わした。今後は、下流域の辰野町の住民や森林所有者らを対象に説明会を開き、理解を求めていく方針。建設する最終処分場は、埋め立て地を屋根で覆ったクローズドシステム型で、焼却灰の飛散や流出、臭気の拡散を防ぐ。焼却灰を洗う水は水道水レベルの水質まで高度処理して施設内で循環利用し、河川への放流はしない。岡谷市内山に新設し、十二月に本格稼働する広域ごみ処理施設「諏訪湖周クリーンセンター」で発生する焼却灰の約50%を処分し、埋め立て規模は同センターの三十年間の稼働を前提に約三万立方メートルを計画している。湖周行政事務組合長の今井竜五・岡谷市長は会見で「今後は安全、安心に配慮し、着実に建設を進めたい」と述べた。

(いわば諏訪湖の上流に、半永久的な毒物の捨て場を作る計画。ごみ焼却から出る灰ーー飛灰と底灰ーーのうち、飛灰は毒性が強く、海外では有毒物質として特別な管理が求められます。しかし、日本の環境省は、両方混ぜて埋めれば問題なしとの方針。このケースも「屋根で覆」って安全だとするようですが、有毒物質の埋設が安全であるはずはない。焼却灰の水銀汚染やダイオキシン汚染が東京でも関西でも続いていますが、どの地域だってーー特に首都圏はーー危険な焼却灰をよその土地に押し付けたがっているのです。人口が少なく、山に囲まれ、中央高速が通っている長野県はねらい目ですが、反対の声はあるのやら。)

 

 すべての地域で共通するのは、国策「ごみの広域処理」が始まって以来、自治体が住民の声を完全無視するようになったこと。補助金を伴った「上から指令」が、住民自治の枠組みを破壊したわけです。もちろん、違憲・違法ですが・・・(これに関しては拙著「ごみ処理広域化計画」をどうぞ)。したがって地元では、「アバウトな反対」ではなく、知識と戦略をもとにした行動が必要です。2016.10.5

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/