横須賀新ごみ、いよいよ着工へ

 神奈川県のがれき受け入れ騒ぎは、この↓横須賀・三浦の新ごみ処理施設建設に市民の目を向けさせないためのものであることもわかっていましたが、反対派がいっこうに現れないなか、もうここまで進んでいました。

15年秋に事業着手/横須賀ごみ処理施設アセス評価書縦覧/神奈川

2013年11月26日 http://www.kensetsunews.com/?p=22724       

神奈川県は26日、横須賀市が計画している「横須賀ごみ処理施設に係る環境影響予測評価書案」の縦覧を開始する。県のごみ処理広域化計画に基づき、横須賀市と三浦市内で発生する可燃ごみなどを安全で安定的に処理するため、横須賀市長坂5-3878廃棄物最終処分施設、発生土処分場を建設するとともに、宅地を造成する。201410月に事業着手し、203月の完了を目指している。
 土地利用計画は、廃棄物処理施設の施設用地約3.ha、場内道路約0.ha、雨水調整池約0.haと、関連区域の新設搬入道路約700m、既設改修道路約450m。発生土処分場は約7ha。宅地造成は、施設用地約3.ha、場内道路約0.ha、雨水調整池約0.ha、造成の法面約0.ha、残置森林約11.haを予定している。
 廃棄物処理施設(RC・S造)は、ストーカ式焼却炉で処理能力は1日約360t。揺動式、並行揺動式、階段式の選定はメーカーの提案で決定する。破砕施設(RCS造)は建築面積約2900㎡(高さ22m)とする。同処理施設の建設と併せ、焼却に伴う熱を有効に利用して発電し、温室効果ガスの排出量を削減。循環型・低炭素型社会の形成に役立てる。工事は新設・既設道路工事、宅地造成工事(解体工事)から着手する。宅地造成工事などを終え事業着手3年目から施設本体建設工事を開始。約3年間で完了する。6年目の施設稼働を予定している。同審査などは日本気象協会が受託した。同評価書案は26日から環境農政局環境部環境計画課などで縦覧する。意見書は1419日まで受け付ける。[ 2013-11-26  5面 関東面]

 当初、「発生土処分場」なんて話はなかったと思うけど、広さ7ヘクタールは芦名処分場の埋立面積5ヘクタールより広いから、事実上、最終処分場になってしまいかねません。そうさせないように文書で約束させなければ。また、どこのごみを年間どれくらい燃やすのか、ごみ質は? いつまで稼動させるのか、施設停止後はどうするのか、事故がおきたときの対応、住民への補償などはどうなるのか? それらのこと約束した公害防止協定を結んだのでしょうかね。なお、流行の環境保全協定は官側の協定なのでNG。
 それにしても、現在の芦名処分場からたった2kmしか離れていない場所に新焼却炉+処分場ができるというのに、住民は沈黙。この「沈黙の住民=シープル」こそ公害施設建設の最大の条件なんですけどね。実は、がれき受け入れでもすんでのところで手をあげそうになった自治会連合会が、この件でも早々と受け入れを決めたのも、シープル反応を見越していたからでしょう。このあたり、横須賀市のHPを見るとわかります。

「平成18年度から、本市の全域を対象に候補地の選定作業を開始し、最終的に建設計画地を現在の不燃ごみ減容固化施設周辺(横須賀市長坂5丁目)としました。
 平成221月に建設計画地を公表し、以後、地元の連合町内会や各町内会に対する説明会や建設計画地の視察等を行いました。
 平成235月に設立された
「横須賀市新ごみ処理施設建設計画対策協議会」と協議を重ね、
 平成231117日に同協議会から建設計画地を長坂5丁目3,878番地付近とすることについて容認するとの文書が提出され、平成23125日に建設計画地の容認に関する協定書の締結をしました。」http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4240/shinngomisyorishisetu.htmlには、

 ね?設立からわずか半年たらずで「建設OK」を出すという簡単さ。対策協議会の目的は「連絡調整」(建設が前提)だし、メンバーもお上意識の強い町内会長らだから、市長や市職員、ごみ族(議員)の言うままに動かされたのではないか。また、「容認」たって、各自治会の総意がとれたわけでも、了解があったわけでもないから、住民のほとんどは対策協議会の存在さえ知らないんじゃないかな。当然、「容認書」も見ていないはずです。なので、下に全文をあげます。マーカー部分に注意。

『横須賀市新ごみ処理施設の建設計画地の容認について』
 秋気いよいよ深まり、貴職におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申しあげます。平成221月の建設計画地発表以来、横須賀市資源循環部による説明会が開催され、施設建設のための環境アセスメントや測量調査等の業務が開始されました。また本年531日に地元の代表として、ごみ処理施設建設計画に関すること及び地元の要望について、横須賀市と検討及び調整することを目的とした当協議会が設立し、各部会において建設計画についての検討が始まりました。かねてより、建設計画地について様々な議論が行われていますが、横須賀市が各機関と調整するなか、東京電力との打ち合わせで、ごみ処理施設建設計画地へ電力を供給してもらうためには、申し込みをしてから受電までの期間に大変時間を要することが判明し、当初の整備スケジュールどおり整備するためには、今年度中に建設計画地を決めなければ、スケジュールに支障をきたす、との説明を受けました。協議会として検討が始まったばかりですが、このような状況を踏まえて、先般118日に総会を開催し、横須賀市が建設を計画している新ごみ処理施設の建設計画地(横須賀市長坂5丁目3,878
番地付近)を容認することと決定しました。なお、建設計画を進めるにあたっては、引き続き当協議会と協議し、地元の意見を尊重し、誠意をもって対応してくださるよう申し添えます。http://yuto.net/?p=1035

 「東電さまとお上のために、容認いたしますよ」とは、なんと卑屈な。ごみ焼却炉は資源の大量浪費家、特に電気をむさぼる施設であり、放射性物質を再拡散させる施設だから、盗電を喜ばせるだけで、311後の日本では「建ててはいけない」のです。おまけに圧倒的多数の人々は盗電退治を望んでいる。おまけに横須賀には米海軍基地があり、処理対象物に、そこの汚染ごみもはぎれこみかねないのに・・・原発も基地も、出来るべきところに出来ているのです。2013.11.26
 

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/